近い人と遠い人(2)

近い人を犠牲にする度合いを考えよう

さて、前回からの続きです。

会社の経営がうまくいかなくなるとお金が足りなくなります。
銀行から借りれなくなると、知人から借りるようになります。
まずは家族・親戚・そして大切にしている友人や先輩。

お金を借りることが悪だとは思いません。返せるのであれば借りてもいいのかもしれません。
でも、もしかするとそのお金は、我が子の大切な進学資金かもしれません。毎年少しずつためてきたお年玉かもしれません。
私の場合はそんなものまで家族にお願いして会社につぎ込んでいきました。

返せなくなりそうなときにどちらを優先?

さて、経営がうまく行かないということで、自転車操業になってきたら、経営者の目線はすべてお金で換算されるようになります。
経営理念でどんなことを言おうとなんと言おうと、お金で換算するようになります。
社員さんがサービス残業しても当たり前。ボーナスがなくても当たり前。だってこれだけ頑張っても金回りが悪いんだし。
1年の計画を立てても、ちょっと計画がずれてしまうとすぐ資金ショート。金融機関は返済返済ばかり言ってくる。残念なことに会社の入金の8割は約束手形だったので、金融機関が約束手形を割引(手形を担保に短期資金を借り入れる)してくれないと資金が回らないので、金融機関に対してはきっちり返済をしていました。

家族や親戚、友人にはもうすぐ返すと言いながら全然返さず、ちょっとでもあろうものならさらなる借り入れを頼む。
もうむちゃくちゃです。

まさに近くの人に対して自分の負債を押しつけ、善意を当たり前のものとして扱い、遠くの人に対して義理を果たしていた状態が数年続きました。

近くの人を巻き込む前にやめる勇気を持つ

最終的に倒産してしまいました。
自分の家が競売にかかるのは仕方がないとして、親の家、祖父母の家、義理の父の家も抵当に入っていますから、競売に進みました。
ありがたいことに、義理の父の家は自分自身で買い戻してもらえ、祖父母の家も叔母がなんとか買い戻してくれたので、家自体は残りました。
しかし、かわいがってくれた叔母とは非常に疎遠になりました。
もちろん色んな方々に出資していただいたり貸していただいたりしていましたので、そういう方々に顔向けもできず関係も途切れてしまいました。

前向きの出資などはいいと思います。出資自体はリスクがあるものですし、そこがわかっている人からはいいと思います。

しかし、遠くの人たちの義理を果たすために、自分の借金を人に押し付ける(その人たちからお金を借りて、別のところの支払や返済に当てるわけなので、押し付ける以外の何者でもありません)

そのような状態になったとしたら、抜本的な改革、最悪は会社倒産をしたほうがいいです。そのほうが、人生リスタートするときに応援してくれる人も出てくるでしょう。

結論ですが、家族をお金の面で守れない状況に、経営している事業がなってしまったら、抜本的なリストラ、もしくは倒産廃業を躊躇なく行うべきです。そのタイミングを見誤ると、本当に近い人を不幸にしてしまいます。

自省を込めて。


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