H24 法規 問11

まず、問題文の中に分かりにくい単語があるので整理しておく。

○MCCB(Molded Cace Circuit Breaker)
 →配線用遮断器

○SD(スライダック)
 →電圧調整器

○高圧補償リアクトル
 →試験容量を小さくするために、ケーブルと並列に設置するリアクトル

○リアクトル電流
 →リアクトルに流れる電流

○充電電流
 →ケーブルの内部導体と外部導電層の間の静電容量を充電するための電流

○金属遮蔽層接地線
 →ケーブル外部の金属遮蔽層の接地線

では問題へ。

(a)
まずは試験電圧。
電技解釈第15条より、最大使用電圧が7000[V]以下の交流電路の試験電圧は、
「最大使用電圧の1.5倍の交流電圧」
とされている。

問題では公称電圧が6,600[V]と与えられているので、最大使用電圧Vₘは電技解釈第1条で、
公称電圧1,000[V]以下:1.15倍
公称電圧1,000〜500,000[V]:1.15/1.1倍

よって、
 Vₘ = 6,600 × 1.15/1.1 = 6,900[V]

試験電圧Vtは
 Vt = 6,900 × 1.5 =10,350[V]

充電電流を求めるには、試験電圧とインダクタンスXᴄが必要で、Xcを求めるには静電容量が必要。

静電容量Cは、1線の1kmあたりの対地静電容量が与えられているので、3線ではその3倍となる。ケーブルのこう長は150mなので、

 C = 3 × 0.22 × 150/1000
  = 0.099[μF]

周波数fは50[Hz]と与えられているので、Xcは

 Xc = 1/2πfC
       = 1/(2π × 50 ×0.099 × 10⁻⁶)
       ≒ 32,169[Ω]

オームの法則より、充電電流A2は

 A2 = V/Xᴄ
      = 10,350/32,169
      ≒0.322[A] →322[mA]

よって、一番値が近い(4)が正解。

(b)
試験用変圧器の容量(電圧×電流)は、機器の損失は無視するとあるので、変圧器の一次側も二次側も同じとなる。
なので、試験用変圧器二次側に流れる電流(A4)が分かれば、単相交流発電機の容量Pを求めることができる。

 A4はA2とA3を合成したもので、A2は(a)で求めたもの。
 A4は補償リアクトルに流れる電流で、許容印加電圧をかけた場合の電流値が与えられており、電流と電圧は比例するので試験電圧を印加した際の電流値を比で求めれば良い。

 13,000[V]:300[mA]
= 10,350[V]:A4[mA]

 A4 = 300 × 10,350/13,000
       ≒ 239[mA]

合成電流A3は、A2とA4を合成したものであり、A2は容量性、A4は誘導性と位相が反対なので、打ち消し合う。よって、

 A3 = A2 - A4
       = 322 - 239
       = 83[mA]

以上より、Pは

 P = V × A3
     = 10,350[V] × 83[mA]
     = 859,0504[V•A]
     ≒ 0.859[kVA]

よって、一番近い(1)が正解。      

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