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新年度に立てた目標が、決して成就しない理由。

4月1日。
我々日本人にとって、実は最も身辺に変化をもたらす節目の日かも知れない。

節目といえば、1月1日を思い浮かべる人が多いと思う。でも、この元日、確かに新年を迎える特別な日ではあるが、身上的に変化を伴うのは稀な場合が多い。ひたすら飲み続ける正月が終われば、いつもの場所でいつもの生活が戻ってくる。それを、少しだけ重くなった体と心でこなすだけだ。環境が変わらない状態だからだろうか、新年に立てる目標は、個人的な事案が多い気がする。
今年は痩せるぞ!彼女が欲しい!禁煙したい!などなど。
目標というより、もはや願望に近い。

それと比較して、4月1日は、自らが身を置く環境ごと変化する節目の日、となる場合が多い。
入社、入学、引っ越し、新しい部署、新しいクラス。席替え、新上司、新同僚、新テーマ、新委員会、などなど。加えて、社会的な法律や税制度など、この日を境に変わるものも多い。
そのためか、4月1日に立てる目標は、より公(学業や仕事上)のことが多い気がする。少なくとも、僕の場合はそうだ。
英語の成績を2段階上げるぞ!部下の話は笑顔で聞こう!締切は絶対守るぞ!など。

元日、新年度、それぞれ目標を立てること自体は素晴らしい。それを最後まで成し遂げて、自らの成功を掴み取る人も、中にはいると思う。
ただし、人間は悲しい動物である。1ヶ月も経たないうちに、目標を立てたことすら忘れてしまう、そんな人が大半なのではないか。
そういう僕も、4月1日、目標を立てた。
本日、5月7日、連休明け。立てた目標の内容は、面白いくらい何も覚えていない。

僕は、読書が好きだ。週末の図書館通いは完全にルーティン化している。朝、寝る前、雨の日の通勤のバスの中(晴天時は自転車通勤だ)、酒を飲まない平日の夕食後など、活字を目で追うことが日課だ。
図書館に置いてない本や、いち早く読みたい新刊は、Amazonで購入する。便利な世の中だ。大抵、翌日には届く。
ここで、不思議なことが起こる。僕は「図書館本優先現象」と呼んでいる(センスないネーミングですいません)。
身銭を切って買った本よりも、図書館で無料で借りてきた本を優先して読んでしまうのだ。
理由は「購入した本は、いつでも読むことができる」からだ。
でも。
いつでもは、いつまでも来ない。対して図書館の本は、2週間後には返却しなければならない。だから、優先して読むことになる。

これぞ、締切効果である。ライター講座に通い、多くの人から締切の大切さ、偉大さを説かれた。
どんな優秀なライターでも、締め切りがなければ、ペンを走らせることはできないと言う。締切が設定されることによって、優先順位が自動的に昇格する。これこそが、図書館本優先現象の正体だ。

元日や4月1日の節目の日に立てる特別な目標は、きっとその人の心の中の大切な叫びであるはずだ。今現在の悩みナンバーワンと言っても過言ではない。優先度は、高いはずだ。少なくとも、その目標を立てた瞬間は。
では、なぜその上位目標を成就させることができずに、数日後には忘却の彼方に押しやられてしまっているのか。

答えは、やはり期限の設定だと思う。「今年こそは」「今年度は」と、一年後の、現状とは大きく変わった自分を夢見る。人間の集中力は15分周期で一旦切れてしまい、継続の限界は90分と言われている。一年は525600分ある。限界の90分を何周廻ることが出来るだろうか。
集中もせずに、人生を左右するほどの大きな課題を、乗り越えることなどできるわけがないのである。
だから、新年や期首に設定した目標など、無意味だ。忘れてしまった目標を、必死に思い出すのに、また無駄な時間を要する。だったらこんなもの、立てない方が有意義ではないか?

それを有意義にするのも、締切しかない。1年先、は無期限と同義だ。その期間は、最長でも1ヶ月先くらいではないか。
期限を設ける本当の意味は、行動目標と逆算にあると思う。実感できる近い期限を設けると、そこまでに自分が何をしなければならないのか、具体的な行動目標をイメージすることができる。これがなければ、人は動くことができない。
さらに、来週までに、明日までにと、達成イメージから逆算して、やるかべきことを自分のスケジュールに組み込むことができる。
ここまでして、初めて人は動くことができるのだ。

この1ヶ月を、毎月積み重ねていく。そうして初めて、年始や期首に立てた壮大な願いに手が届く。

1月1日も、4月1日も、6月4日(僕の誕生日)も、全部、ただの1日だ。そのただの1日1日を、繰り返していくしかない。人生には、リセットボタンもないし、ワープのルートなどない、と理解することが、実は一番効率的な生き方であると、最近やっと気がつくことができた。

地続きだ。今日と明日、そして明後日。1ヶ月後、1年後。
1年後の自分を作るのは、今日、今現在の自分だと、この歳にしてやっとわかった。なぜわかったのか。
答えは、簡単。ずっとできなかったからだ。今までの逆をやればいい。
1日1日を、大切に。
お気づきだと思うが、これまで偉そうに書いて来たこの内容には、何の信憑性もない。まだ僕の中で成功事例がないからだ。

この記事の価値を高めるのは、僕自身しかいない。
一年後、どうなっているのか。
今回は、少しだけ、楽しみだ。

さて、連休明け、ぼちぼちやりますか。

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