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平日、誰もいないシックなサウナ空間で流離(さすら)う
今年(2024年)の春先にオープンした『3S HOTEL ATSUGI』は、小田急線本厚木駅から徒歩1分。
宿泊客だけでなく、日帰りの入浴もありとの情報を得て、全くのなんでもない平日、休暇を取って行って来た。
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小田急線本厚木駅の南口を出てすぐ。
旧パークインホテル厚木をこの春にリブランドオープンしたもの。日帰り入浴の営業時間は、早朝5時から10時までと、12時から25時まで。前者は前泊の宿泊客と一緒の利用になるだろうと予想し、空いていることを期待して12時ちょうどに到着した。
料金は前払いで¥1800なり。入店から3時間過ごすことができる。大小のタオルが1枚づつ付く。アメニティも充実しており、十分、手ぶらで利用できる。追加料金で館内着のレンタルもあり。僕は、サウナハットだけ持参した。
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オープンと同時に入ったこともあって、利用客は僕1人。
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調光は、全体的に抑えめ。タイルや壁の色もグレーや黒を基調としており、都会的な、とでも表現すればわかりやすいだろうか。
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洗い場のシャワーは全部で7台。掛け湯溜めは上からシャワーで足される仕組みで、光の色が変化し続ける。
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紫まで。僕1人のためだけにこの演出。
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通常の湯船は2つ。手前が体温より低い設定、奥は適温か。
お風呂は完全スルーして、サウナ室へ。
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サウナ室入り口。サウナハット掛けには、当然、何も掛けられていない。サウナマットを持って、中へ。
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中央のストーブを挟み、ベンチは左右に向き合う形。
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右側は上下2段。
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左側は1段で、上方に窓。外光が取り込まれる。
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アロマ水の入った水桶が置いてあり、セルフでロウリュし放題。この日はジンジャー系の香り。
写真ではわかりづらいが、実際は、もっと暗く感じる。iphoneのカメラ性能の恐ろしさ。あかりは、窓からの外光と、ダウンライトが一つだけ。あとは、座椅子下、板の隙間から漏れる仕組み。テレビなし、BGMなし。
温度計は90℃を示している。さっそく、ロウリュしてみる。高く積まれたサウナストーンが鳴き声をあげる。3杯。ゆっくりと蒸気が降りてくるのを待つ。サウナ室も予想以上に広く、20人程度入れてしまうのではないか。中央の通路スペースも広く、これなら熱波アウフグースイベントだって開催できるだろう。
無音に近い世界。
聞こえてくるのは、時折り掛け湯溜めに自動で足される水の音くらい。
熱すぎず、計算され尽くしたコンディション。5分足らずで、しっかりと発汗。7分程度たったところで、水風呂へ。
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おわかりいただけるだろうか。13.5℃!
ビジネスホテルに併設された浴室の、水風呂の設定域ではない。3S HOTELが浴室に力を入れているのがよくわかる数字だ。大抵、どこも18℃程度か。たまに20℃を超える水風呂もあるほど。のぼせてしまう。
掛水して入ると、しっかり冷たい。キンキンに冷えている。15℃を下回ると、睾丸が一気にキュッとなるのがわかる。極上の刺激。
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ローチェアが5脚。ここは、半外気浴スペース。ブラインドの外からは、下界の雑踏が聞こえてくる。
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1番奥の椅子に腰掛け、足を伸ばす。植物がスポットライトとブラインドからこぼれる外光に照らされ、僅かに吹き込む風に揺れている。小田急線の喧騒。外は、平日の真っ昼間なのだ。なんという至福。
罪悪感のかけらもない。堂々と、有給休暇で、快楽のみを能動的に欲する贅沢な時間を過ごす。サラリーマンに与えられた、数少ない特権の一つだ。
浴室にはいつまでたっても誰も入って来なかった。広いサウナ室、自分のタイミングで、自分好みの湿度までロウリュを繰り返し、普段は御法度である禁断の寝サウナも体験できた。足の指が1番熱くなる逆転現象によって、普段とは違う流離(さすらい)が訪れる。
この半外気浴スペースは、駅近などの都心部においては、最適解であると認識している。まずは、当然周囲からの視線を遮らなければならない問題を解決するために。さらにセミオープン状態によって、外光と、風と、雑踏音を取り込むことができる。これによって感じる季節のうつろいが、より一段高い流離を連れてくる。そして何より、このスペースが最も効果的なのは、空調を効かせることができることだ。完全な外気浴だと、冬は当然足先から冷えてしまうし、夏場は(特に日中は)暑いだけ。それを空調でコントロールしながら最適な環境を提供することができる。この日も、何とも快適な温度の中、まどろみながら厚木の街の音を聞いていた。
全裸で感じる空気は、間違いなく、もう夏だ。
さてこの夏、どんなふうに、過ごそうか。
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