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今年の新入社員に聞いた、初任給の意外な使い道

今年、僕の勤める会社には、170名を超える新人が入社した。一時期の100名程度だった頃に比べたら、かなり多くの人材を獲得したことになる。売り手市場と言われる昨今、超氷河期を生き抜いた僕には、羨ましい限りの環境だ。
その170名の中から、研修を終え、僕の職場である研究所7号館にも数名が配属となった(機密上、正確な人数は伏せます)。
昨日、彼らと話す機会があったので、月並みだが、気になることを質問してみた。
初任給の使い道について。
初任給の設定も、ここ最近の賃上げの波に乗って、昨年度より3万円程度上がっているらしい。入社2年目の連中は、今年の新人には奢る必要ないですね、などと冗談めいて話していた。
財布や釣り竿など、それぞれ、自分の欲しいものを買った、と答えが返って来たが、1番驚いたことは、それとは別にみな共通の使い道があったことだ。
それは、食事をご馳走したり、高いお酒を買って渡したり、両親や家族への感謝の気持ち表したものだった。
え?それ、今、常識なの?
確かに、初任給で両親を食事に招待すると言った話は、別に珍しいものではない。でも、ここだけでも打率10割、全員がそんないい子ちゃんに振る舞えるのか?その辺りを聞くと「同期や、大学時代の同級生たちに聞いても、みんな家族にご馳走することがほとんどです」と返ってきた。「テレビで毎年、初任給を何に使ったか、そんな質問を街頭でしているのを見て、そこで必ず親への食事やプレゼントが挙がります。それらを見て、そうするべきだと自然と刷り込まれているのかも」と続けた。
恥ずかしながら、僕は今まで一度も、親を食事に誘いご馳走した経験がない。そのことにかけては、僕の方が新人だ。
他にも、これから買いたいものを聞いてみた。すると、こちらも意外な答えが返ってきた。
「車は欲しいですね」
えっ?車離れが連呼されているじゃん、どうなったの、それ?
「確かに都会で生活するには、不要かも知れません。駐車場とか維持費も高いでしょうし。でもここみたいな片田舎だったら、やっぱり車はあった方が便利だし、独身寮の駐車場もタダみたいなもんですし」
まあ確かに、いくら車離れの単語が一人歩きしても、自動車メーカーのここ数年の「過去最高益」の方が流行りワードとして強いかも。こちらは円安と輸出の影響が大きいとは言え、国内でも当然業績は悪くないはずだ。販売の絶対数は減り続けても、同時に人口も減り、高齢者が免許を返納する率も上がり、そういう要素を加味して考察した場合、そこまで車離れは進んでいないのではないか。それはあくまで比較対象が80年代や90年代で、他の生活水準を落としてでも、無理して車を購入していた時代に比べれば(車離れは進んでいる)、そんな注釈が付きそうだ。
じゃあ、最後にアレも聞いてみよう。最近の若者は(このカテゴリーの仕方が、僕がどうしようもないおじさんであることを証明している)お酒飲まないって聞いたけど、そうなの?
3人とも一斉に、笑顔で答えた。
「飲み会大好きです。最初は普通にビールです。周りにもあんまりいないですよ、酒嫌いな奴」

予想していた答えと全て逆。
こういう違和感が、時代の転換期を物語るのかも知れない。日本の未来に、少しだけ期待してみるか。

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