《CRA-YON｜クレヨン》ムエット×3
先日NOSE SHOPで取り扱いが始まったCRA-YONの全３種類の香水ムエットを嗅ぎました𖦸𖦸𖣖
CRA-YON
2020年4月から始動したフレグランスブランドで、AGONIST創設者の二クラス夫妻が新たに立ち上げたプロジェクトです。
ヴィーガン素材100%、ジェンダーレス、エココンシャス&サスティナブルなプロダクト、ポップてチャーミングで“一吹きの香りがあなたの世界をカラフルにする”香水だそうです。AGONISTの路線からはぐいっと異なります。
イエロー、ピンク、オレンジをイメージカラーにしたポジティブな３種類の香りがローンチされました。ムエット試香なのでトップノートや肌にのせた感じは分かりませんが、参考程度に感想を記録しておきます。
1)Sand Service／サンド サービス
まばらな草むらのスポット、踏み固めた黄褐色の土色。心は軽く、地に足ついた、抽象的なアーシー・グリーンノートです。なにか特定の場所だとか、植物の種類にフォーカスしたものではなく、変にノルスタジーを呼び起こさないところが上手いです。
調香には、緑色と黄土色が交互に置かれていて、限られた色数（香り）でデフォルメされています。自由な想像の余地がある香りですが、核心的な景色が浮かびます。
トップノートのバイオレットリーフとカルダモンが、ざあぁっと横に概念的な地平線のカーブを描くオープニング…ムエットでも、そういう気配からはじまりました。ボディノートは視点が自分自身へ寄っていって、足裏で土や草を確認するような、イリスやパピルスの質実的な連想をさせる香りで、リアリティを加えています。
奇抜とは言いませんが確かにユニークで、心をグイッと引き上げるようなイエローを感じる、とても好きなアーシーでした。
トップ｜バイオレットリーフ、カルダモン
ボディ｜オリス、パピルス
ベース｜アンバー、レザー、シダーウッド、サンダルウッド
2)Vanilla CEO／ヴァニラ シーイーオー
袋から既にふんわり漏れ香っているクリーミーなバニラ、ルシヤージュはこんな印象でしょうか。ムエットを取り出すと、しっとり厚いフローラルの花弁がバニラを抱き抱えていて、これほど潤沢で華のある香りがコンパクトに収まっていることに驚き、好感をもちました。
しっかり濃いピンクカラーが、誰かに誇示するための香り立ちをするのではなく、自分を満たすだけの範囲に十分に咲いています。満面のかわいい香りですが、誰の横槍も許可しない、テリトリーとも感じる拡散範囲があって、全てをわきまえた上で甘く香っている自負、責任感があるバニラオーキッド。ジェンダーレスな香りかどうかはさておいて、行動に自信と責任感がつくコンセプトは良く伝わります。クリーミーなピーチっぽさもあり、バニラビーンズぽくもあり、肌ではどう香るのかとても気になります。
トップ｜マンダリン、バニラオーキッド、アンバー
ボディ｜バニラオーキッド
ベース｜アンバー、ウッド
3)Passport Amour／パスポート アムール
すべり落ちていく、ひとつの完全な球形で無傷のダマスクローズノート！あまりに見事ゆえにこれから沈む運命だと分かる、ドラマティックなはじまりです。ムエットでこのクオリティなら、実際のプッシュはどれほどなのか気になります。
夕日の円周が土と接する、ほんのすこしグリーン調なカーネーションや、境界線をぼかすパチョリ。影が伸び、香りの温度が下がっても、傾く陽そのものがダマスクローズなので、存在感が消えることはありません。別の香りに置き換わっていくような展開は全く想像できないので、肌の上でもきっとクリアなロージーが最後まで残るだろうと思います。
まどろっこしくなくて、あか抜けていて泥臭くない、透き通ったまま幕引できる「永遠の愛」です。
トップ｜ダマスクローズ
ボディ｜アガーウッド、カーネーション、パチョリ、シダーウッド
ベース｜ムスク、サンダルウッド、アンバー
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色やタイトルからも使い心地を想像しやすく、選びやすく、コントロールできそうな香りだと思います。今後どんな色が増えるのか楽しみです！
ニクラス夫婦の作品、どうしてもAGONISTと並べてしまいます。
香りに導かれるまま深く遠くまでたどり着けそうなAGONISTが好きなので、そこだけを比較すると、CRA-YONは明快で、ワンプッシュで到達できるエネルギッシュな香り、という印象です。
CRA-YONは的確な香りとパッケージングがされています。
迷いがなく、即効性があり、決してチープではなく、そこにたどり着くまでの行程をCRA-YONが「あとは飛び乗れば良いだけ！」にしてくれている。クレヨンは、塗りたい色が見たままに発色します、すばらしいネーミングです🖍
いただいたサポートはすべて香水にそそぎます𖦸𖦸‼︎