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ピンチョス空間のモジュール性

大昔、小学校の夏休みの宿題で、電子回路ブロックと作ろうとしたことがある。音が鳴るキューブ、光が点くキューブ、波形を生成するキューブとかを作って、これを好きに連結して遊ぶというやつ。当然仕上がらず、中途半端なものを出して銀賞をもらった。先生に完成してたら金賞だったとか言われたけど、今考えるとめちゃくちゃ無謀だったな。でもそういう、モジュールを作って組み立てて遊ぶみたいなこと、昔から好きなんだと思う。

なんとなく、ピンチョスにも同じ雰囲気を感じてる。

ピンチョスづくりはとにかく楽しい。出来上がりを想像しながら組み立てを計画するのが楽しい。皿の中の宇宙だ。なんなら、小宇宙(コスモ)を感じてるのかもしれない。

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カツオのピクルスマスタードタルタル、触感の良いカリカリのクラッカー、ディルとスモークパプリカ粉

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パンチェッタのクリーム煮(ベシャメルに玉ねぎとチーズ)に、塩気の強いブルーチーズとハチミツ、フライドオニオン、コショウ


昔読んだパトリス・ジュリアンの料理本で、主に3つのテクスチャを一皿の中で組み合わせるのだとあった。たしか、「とろっとした柔らかさ」「サクッ・カリッとした歯触り」「しっかりした噛み応え」のはず。これがいまでも指針になってる。たぶん、均等に入れるんじゃなくて、主役になるテクスチャを決めて、それを引き立てるカタチで他のテクスチャを置くほうがいい。

もちろん、塩味甘味酸味、各種旨味、スパイスといろいろ考える要素はあるんだけど、これらは各テクスチャに連合させてモジュール化してる気がする。ウマミの強い歯ごたえのある肉に、甘酸っぱいとろっとしたソースと、スパイシーなかりっとしたトッピング、みたいな。だから、ピンチョスはモジュール基底が張る空間なのだ。

このシステムでもうちょっとやってみる。限界が見えたり、飽きたりしたら、また新しいシステムの旅にでるかもしれないね。


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鮭アラが安かったので1日塩して焼いて身をほぐして刻んだケイパー、オリーブ、レリッシュと混ぜたもの。ラディッシュをトッピング

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鴨のリエット、オールブランクラッカー、スダチのコンフィチュールとパセリソース

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クラシックなサルモレホ(ガスパチョのもったりしたやつ)ピンチョス。生ハムとパセリソース。

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カジキマグロのたたきのタルタルに、黒オリーブ・ドライトマト・ナッツのソースのトッピング

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生ハムのムースにキウイコンフィチュール、マルチシードクラッカー

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