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健太(マエケン)ありがとう!②

今日は投手が速いボールを投げる、というメカニズムについて考えてみましょう。まず大事なのは踏み込み足(右投手は左足)の地面反力です。この地面反力が下胴(骨盤)に伝わり骨盤が回転し、それが上胴(両肩)に伝わり両肩が回転し、腕、指と運動連鎖し、ボールに伝わることでボールは投じられます。簡単に言ってしまうと、これらの連鎖がうまくいけば、より速いボールが投げられる、という事になります。

もちろん、全ての動きが重要なのですが、このうち上胴が回転する時大切になってくるのは、「肩甲骨」です。この肩甲骨の①「運動性」と②「安定性」と隣の筋肉との③「連動性」の3つの要素が高いパフォーマンス発揮には欠かせないのです。

アスリートにとって「上半身の滑らかな動きと肩甲骨の働きはイコール」と言っていい程重要です。打つにせよ、投げるにせよ、また走るにせよ、肩甲骨の役割は高いのです。アマチュアの選手とプロの選手を同時進行で指導して来た私には、高いレベルのプレーが出来る人程肩甲骨はよく動くということを強く実感しています。投打で活躍する大谷選手の肩甲骨の可動域が驚くほど広いことは有名です。

これまで、この肩甲骨の動きが良い、というのは先天的なものであると考えられてきましたが、今では後天的にもトレーニングする事で、機能を上げる事ができるということがわかってきました。したがって、私は野球選手のトレーニングを組む際には、必ず肩甲骨エクササイズを入れています。

前田健太投手が、投球前に「マエケン体操」をしているのはご存知だと思います。実は健太にあのマエケン体操を教えたのが、私の意を汲んでくれた当時SCAに在籍していた荒木和樹理学療法士(現日立製作所トレーナー)です。彼は私が3回目のロッテ復帰時にも、日立製作所のコーチに就任した時も一緒に連れて行った戦友です。

とはいえ、荒木氏は健太にいきなりあの体操をしなさいと勧めたのではありません。まずは肩甲骨の働きの重要性をしっかり説いてから、その機能を高める方法としてあのエクササイズを教えたのです。その結果、彼は重要性を充分に理解し、取り入れてくれたことでその後、16年も続けてくれているのです。

つまり、健太は、前回お伝えした「投手の指力」と、この「マエケン体操」、その両方を私どもSCAがきっかけで始めたのです。この事実は我々のようにスポーツを裏から支える側の人間にとって、実に嬉しく、また、非常に光栄なことです。また、そんな縁もあり、今でも彼は、時々思い出したかのように、オフシーズンSCAに自主トレをしに来てくれたりします。以下、健太の思い出の品をご紹介します。

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1つ目は、健太がドラフトに指名されたばかりの時に、SCAのボードにサインして貰ったものです。有名になる前なので、まだサインらしいサインも出来上がっていない、ほぼ普通に名前を書いただけの、初々しいサインです。ある意味、こちらの方が価値あるかもしれませんね。

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一方こちらは、プロ入りし一流投手の仲間入りをした後のサインです。明らかに違いますね。

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そして、3つ目です。私のジムには健太に無理を言って頂いたユニホームを飾っています。


それにしても、ダルビッシュ投手や、健太のような一流の現役メジャー投手が惜しげもなく、自分のトレーニングや経験をした事をYouTubeに上げてくれる、こんなありがたい事はないですね。

一人でも多くの野球選手に見てもらい、ぜひとも成長に繋げて貰いたいと思います。それこそが日本野球のレベルアップに繋がり、彼らもそれを望んでいるのですね。素晴らしい時代になった、と思います。


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