年末調整でなぜ還付になるのか
前回で、年末調整は年税額の確定と前払い(源泉徴収)の精算で、
前払いが確定した年税額多いと還付、確定した年税額が前払いより多ければ
不足額を徴収されることになるとまとめました。
今回は、なぜ前払い(源泉徴収)の方が多くなって還付となるのか考えていきたいと思います。
1. なぜ、前払の方が多くなるのか(還付になるのか)
<結論>
ざっくりいうと、前払い(源泉徴収)時には考慮されていなかった税金を減
らす要素が年末調整時に考慮されるため前払いの方が確定した年税額より
多くなるからです(※)
※正しい表現ではないかもしれませんがイメージを作るには、これぐらい
ざっくりした方が良いと思います)。
<所得控除について>
税金が課税される所得から控除することができる所得控除というもの
が 14種類あります。
① 雑損控除 ② 医療費控除 ③ 社会保険料控除 ④ 小規模企業共済掛
等金控除 ⑤ 生命保険料控除 ⑥ 地震保険料控除 ⑦ 寄付金控除
➇ 寡婦控除 ⑨ 障害者控除 ⑩ 勤労学生控除 ⑪ 配偶者控除 ⑫配偶者特別控 ⑬扶養控除 ⑭基礎控除
しかし、これらの所得控除のうち源泉徴収時は次の4種類し か考慮されて
いません。
①社会保険料控除 ②扶養控除 ③配偶者控除 ④配偶者特別控除
しかし、その人の個別の事情によって年末調整時に考慮される控除があり
それが考慮されることで年税額が前払いよりも少なくなる結果となりま
す。
還付されるケースとしては、
① 年の中途で結婚して配偶者控除又は配偶者特別控除を年末調整時
に受けることとなったとき
② 保険に加入しており、生命保険料控除、地震保険料控除を受ける
ことができる
③ 年の途中で子どもが退職し扶養の条件を満たしている
④ 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入しており小規模企業共済等掛金
控除を受けることができる
など
<税額控除>
また、所得控除ではなく税金から控除する税額控除ですが、住宅ローン
控除(2年目以降)がある場合も還付の要素となります。
年末調整までに、前払い(源泉徴収時)には反映されていない控除を把
握しておきましょう。
2. 年末調整ではできない所得控除、税額控除
① 雑損控除
② 医療費控除
③ 寄附金控除
これらの所得控除を受けることができる場合は、確定申告をしてください。
確定申告をするのが辛い場合は、所得控除を受けることを諦めるという考え
方もあるかもしれませんが、もったいないので確定申告をした方が良いと思います。
また、住宅ローン控除の初回を受けるためには確定申告が必要になります。
2回目以降は年末調整時に控除可能です。
情報の整理、共有から始めていきます。 後々、節税や経費削減などの戦術的な情報を提供できたらと思います。