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橘的打ち合わせ

 一昨日、書き下ろしの打ち合わせを電話でした。コロナ以降、編集氏と対面で打ち合わせをすることが、めっきりなくなったのだ。
 まあ、対面だろうが電話だろうが、やり方は同じ。違うのは、そのあとで酒を飲むか飲まないかぐらいだ。

 かつてはこちらからアイディアを出したこともあった。また、無茶振りもけっこうあった。「快感ウォッチ」なんてのは、このタイトルでと言われて、それから内容を考えた。妖怪ウォッチなんぞ見たこともなかったのに。あと、ナントカのランドセルというやつも、タイトル先行だったのだ。私がそういうものを書きたいと希望したわけではない。いや、マジで。

 ともあれ。

 近頃では完全にお任せの場合を除いて、とりあえずどんなジャンルが希望なのかを言ってもらう。そうすると、人妻ものだとか農村ものだとか団地ものだとか、何らかの方向が提示される。
 それを受けて、こちらは第二ワードを出す。たとえば人妻だけだと漠然としすぎているから、どこの人妻か、どんな人妻かといった、特徴づけるものを加えるのである。これもありきたりのワードだとつまらないので、多少なりとも意外なものや、これまで書かれていないところを狙う。但し、あまり突飛だと読者が離れるので、そのあたりの加減が難しい。正直、失敗することもある。
 で、うまい組み合わせが見つかったら、あとはその場で大まかな内容を提案し、OKがもらえればプロット作りに入る。

 打ち合わせは、だいたいいつもこんな感じ。時間はそんなにかからない。一昨日も30分ぐらいで終わったし、長くても1時間ぐらいか。ネタを振られれば何か思いつくから、考え込んでもまとまらず、続きはまた明日なんてことにはならない。おそらく、アドリブで連載を乗り切った経験が生かされているのだろう。

 ちなみに、打ち合わせで話したことは、大まかな部分しか憶えていない。メモなんぞ取っていないんだもの。そのほうがプロットを作るとき、無理やりなこじつけをしないで済む。さらに執筆のときも、プロットをいちいち見返したりせず、書きながら次を考える。そのほうが流れが自然になる。

 結果、原稿を出すのが遅れる。駄目じゃん。