【厳選過去問】令和3年 企業経営理論【戦略論】

企業経営理論を攻略する上で重要な厳選過去問をピックアップします!
合っていたか、間違っていたかだけでなく、各選択肢の正誤のポイントを確実に整理してください。

今回は令和3年度の戦略論を取り上げます。

<戦略論>
第2問:PPM
第7問:競争戦略
第12問:情報財の特性

<組織論>
第15問:戦略と組織
第17問:組織コミットメント
第22問:両利き組織

<マーケティング>
第30問:製品戦略(共創)
第38問(設問1):顧客価値
第38問(設問2):顧客ロイヤルティ


第2問
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発した「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」(以下「PPM」という)と、その分析ツールである「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス(BCG成長-シェア・マトリックス)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア PPMの分析単位である戦略事業単位(SBU)は、製品市場の特性によって客観的に規定される。

イ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」では、縦軸に市場成長率、横軸に戦略事業単位(SBU)の売上高をとり、その2次元の座標軸の中に各事業が位置付けられる。

ウ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「金のなる木」に分類された事業は、将来の成長に必要な資金を供給する。

エ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「花形」に分類された事業は、生産量も大きく、マージンは高く、安定性も安全性も高い。

オ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「問題児」に分類された事業からは撤退すべきである。


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正解:ウ

PPMを学習する上では、縦軸横軸がそれぞれ何を表すかを押さえることががポイントです。
縦軸:市場成長率→キャッシュアウトを規定
横軸:相対的市場シェア→キャッシュインを規定

また、エ、オの選択肢にある通り、PPMは「キャッシュフロー」から見るものであって、「利益(マージン)」は考慮していません。なので、成長性もシェアも低い「負け犬」にも高収益の事業はあり得ます

そのほか、PPMは「事業間のシナジーを考慮していない」「市場の定義が難しい」といった限界も問われやすいので押さえておきましょう。


第7問
競争戦略に関する事項の説明として、最も適切なものはどれか。

 ア M.ポーター(M.Porter)によれば、競争戦略の基本は、規模の拡大による低コスト化の実現と製品差別化の同時追求にあり、製品差別化と結びつかない低コスト化の追求は、短期的には成功を収めても、中長期的には持続的な競争戦略にはならない。

イ ある特定の製品の生産・販売の規模を拡大することによって、生産・販売に関わるコスト、特に単位当たりコストが低下する現象は、「範囲の経済」と呼ばれており、コスト・リーダーシップの基盤となる。

ウ 経験効果とは、累積生産量の増加に伴い、単位当たりコストが一定の比率で低下する現象である。この累積生産量と単位当たりコストの関係に基づくと、将来の累積生産量から単位当たりコストを事前に予測して、戦略的に価格を設定することができる。

エ 製品差別化が実現している状況では、当該製品の顧客は代替的な製品との違いに価値を認めているために、競合製品の価格が低下しても、製品を切り換えない。したがって、このような状況では、需要の交差弾力性は大きくなる。

オ 製品ライフサイクルの初期段階で、コスト・リーダーとなるためには、大幅に価格を引き下げて、一気に市場を立ち上げるとともに、市場シェアを高める「上澄み価格政策」が有効である。


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正解:ウ

M.ポーターの3つの基本戦略では、「コストリーダーシップ」、「差別化」、「集中」のうち”どこかの領域で卓越したポジションをとること”が重要としています。

■コストリーダーシップ:
 アイテム絞って大量生産
  →一方、多様な顧客ニーズに対応できない
■差別化:
 多様なアイテムで顧客ニーズに対応
  →一方、アイテムが増え大量生産しにくい

つまり、コストリーダーと差別化にはトレードオフがあり、両立できないから「中途半端になるな」という理論です。
ただし、それらを両立できるのが「集中」です。競合がいないような”独占市場”を作り上げることで、両者を両立することが出来ます。

また経済性効果では、規模の経済と経験効果の違いが頻出です。
規模の経済:その時一時点の生産量の違いによって生み出される効果
経験効果:過去からの累積生産量によって生み出される効果

そして、経験効果を活用した戦略の一つが「浸透価格戦略」です。選択肢オは浸透価格戦略の説明であり、初めは赤字になるような低価格で販売して顧客を増やし、徐々に生産量が増えることで経験効果が生まれ、利益を出そうとする戦略です。
市場投入時は赤字となるような価格で、競合からすると「あんな安くて利益出るの?」となるので、参入意欲が減退します。


第12問
ソフトウェアやコンテンツなどの情報財には、独自の特性があるとされる。その特性やそこから派生する状況として、どのようなことが想定できるか。最も適切なものを選べ。

ア インターネットの普及によって情報財の流通コストは低下しているために、情報財をその一部でも無償で提供すると、広告収入以外で収入を獲得することは不可能になる。

イ 情報財では、幅広いユーザーが利用するという特性から、スイッチングコストを生み出して顧客を囲い込む方策は、例外的な状況を除いて有効ではない。

ウ 情報財では、複製にかかるコストが相対的に低いという特性から、個々の顧客が持つ価値に応じて価格差別を行うことは困難である。

エ 情報財において、ネットワーク外部性が大きい状況では、顧客数が増えるほど、その情報財の価値は顧客間で希釈化され、個々の顧客が獲得する効用は低下する。

オ 制作・開発には多額のコストがかかるが、複製にかかるコストは低いという特性を持った情報財では、コモディティ化によって製品市場で激しい価格競争が生じると、複製にかかるコストの近傍まで製品価格が下落して、制作・開発にかかったコストが回収できなくなる可能性がある。


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正解:オ

情報財の特性は、
①複製容易性:追加的コストがかからない
②非排他性:複数人が同時にアクセスできる
③非空間性:オンラインで瞬時に伝送できる

という特性があります。

そのため、ユーザーを早期に獲得して「ネットワーク外部性」を生み出すことや、獲得したユーザーの他社への乗り換えを防ぐ「スイッチングコスト」を生み出すことが有効です。

また、選択肢オにある通り、複製コストが極めて低いことから、サービスで差別化が図れないと、「無料であることが当たり前」となるようなコモディティ化が進みます。アプリなどをイメージするとわかりやすいですが、その場合、基本サービスは無料で提供し、「広告収入などで利益を得る」「上位グレードの有料版で収益を得る」ということが重要になります。


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次回は組織論について取り上げます。
企業経営理論は2次試験にも通じる科目なので、重要度高く学習してください!

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