【厳選過去問】令和3年 企業経営理論【組織論】

企業経営理論を攻略する上で重要な厳選過去問をピックアップします!
合っていたか、間違っていたかだけでなく、各選択肢の正誤のポイントを確実に整理してください。

前回に引き続き、今回は令和3年度の組織論を取り上げます。

<戦略論>
第2問:PPM
第7問:競争戦略
第12問:情報財の特性

<組織論>
第15問:戦略と組織
第17問:組織コミットメント
第22問:両利き組織

<マーケティング>
第30問:製品戦略(共創)
第38問(設問1):顧客価値
第38問(設問2):顧客ロイヤルティ


第15問

経営戦略に関連する組織の運営・設置に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A.D.チャンドラー(A.D.Chandler)の「組織は戦略に従う」という命題に基づけば、事業の多角化が進んだ企業では事業部制組織が採用され、地理的拡大が進んだ企業では機能(職能)別組織が採用されることになる。

イ 機能(職能)別組織において、各機能部門長は事業戦略の策定・執行に関する最終責任を負っている。

ウ 事業部制組織とカンパニー制組織は類似した特性を有するが、両者の最大の違いは、事業部制組織では各事業部が企業内部の下部組織であるのに対して、カンパニー制組織では各カンパニーが独立した法人格を有している点にある。

エ プロダクト・マネジャー制組織とは、研究開発型ベンチャー企業における事業部制組織のことであり、責任者であるプロダクト・マネジャーは、研究開発の成果に関する責任を有している。

オ 持株会社は、その設立に関して一定の制限が定められているものの、規模の下限は設定されていないことから、中小企業においても目的に応じて活用することができる。


↓↓↓↓解答が表示されます↓↓↓↓



正解:オ

戦略と組織に関する理論は数多くありますが、基本形として以下のイメージを持てると良いかと思います。
例えば、製品メーカーが徐々に規模を拡大する例です。

単純組織:一人から数人の組織
  ↓ 仕事量が増えると
単一職能別組織:特定の製品・サービスを供給するために分業
  ↓ 自分たちで販売もしたい(垂直統合)
集権的職能組織:トップの集権体制のもと、職能部門が従属
  ↓ 関連事業に参入したい(関連多角化)
事業部制組織:各事業部に分権
  ↓ M&Aで異業種に参入したい(無関連多角化)
持株会社:各子会社に分権

と、事業拡大に合わせて適した組織形態が変わっていきます。
同じような問題で令和2年の第17問がありますので、合わせて復習してみてください。


第17問

個人が特定の組織との間に形成する継続的な関係性を説明する概念として、組織コミットメントがある。組織コミットメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 組織の価値観や目標と個人のそれらが一致する場合、個人にとっては組織内で新たに成長できる余地が限られるため、個人の組織コミットメントは弱くなる。

イ 長期にわたって1つの組織に参加し続けることが望ましいという社会的な規範は、個人の組織コミットメントを強めるように作用する。

ウ 特定の専門的な職務に対する思い入れの強さは、個人の組織コミットメントを強めるように作用する。

エ 特定の組織内では高く評価されるものの、労働市場ではほとんど評価されない技能を習得することは、個人の組織コミットメントを弱めるように作用する。

オ 年功序列的な給与体系の下では、短期間で転職を繰り返すことが個人にとって経済的に不利に作用するため、個人の組織コミットメントは弱くなる。



↓↓↓↓解答が表示されます↓↓↓↓



正解:イ

コミットメントとは、経営学では多義的な意味を持ちますが、組織コミットメントはメンバーがその組織にとどまろうとすることを指し、イメージがしやすいのは「忠誠心」「執着」です。
人は組織に対するコミットメントが強くなると、そこに居続けようとします。

情緒的要素:その組織に対する愛着
継続的要素:長くいることにインセンティブが働く(年功賃金など)
規範的要素:一つの組織に長くいることが社会通念的

選択肢ウが不適切のなのは、専門的な”職務”に愛着があるのであれば、他の組織で同じ専門的な職務に就ければ満足するので、今いる組織へのコミットメントは必ずしも強くなりません。その他の選択肢の正誤判断はしやすいと思います。


第22問

企業の長期的成長のためには、既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)のバランスを取る経営が重要だと言われている。C.A.オライリー(C.A.O’Reilly)とM.L.タッシュマン(M.L.Tushman)は、この深化と探索を両立する組織能力を両利き(ambidexterity)と名づけた。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットが経営理念を共有し、公平性を確保するために、共通の事業評価基準を構築する必要がある。

イ 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットのオペレーションを効率的に管理するために、機能横断的なチームを設計する必要がある。

ウ 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しつつ、異なる文化が生まれないようにするため、ビジョンを共有する必要がある。

エ 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離し、探索ユニットに独立性を与えるとともに、全社的な資産や組織能力にアクセスする権限を与える必要がある。



↓↓↓↓解答が表示されます↓↓↓↓



正解:エ

「両利き組織」からの出題です。昨年より試験委員を務める山岡徹先生の主要研究分野であり、昨年出る出ると予想していたら、やはり出ました。

組織は、既存事業領域を「深化」することと新規事業領域を「探索」することの両方とも大切です。一方で、一般的な思考様式は既存事業領域に沿って行われやすいので、新規領域の探索が行われにくくなります。

例えば、お勤めの会社の目標は何によって定められているでしょうか?
おそらく、既存事業の売上高や利益であることが多いと思います。そのため、既存領域を深化させることがインセンティブとして働きやすくなります。

よって、意識的に「探索」を進めていくことが重要であり、そのために「組織構造的に切り離す」、「文脈的(人事制度など)に切り離す」という取り組みが有効となります。
例えば、社内ベンチャーなどで探索専門部署を組織構造的に切り離すことは「構造的両利き」の代表例です。一方で、就業時間の20%は自由な研究をしてもよいとする”20%ルール”のようなものは「文脈的両利き」の代表例です。

選択肢の正誤判断のポイントは「切り離すことを許容すること」です。新規事業は結果が出るまで時間がかかったり、リスクに挑戦する必要があったりすることが多いため、異なるマネジメント体制や組織文化を許容することが重要になります。
一方で、選択肢オにある通り、社内の経営資源には全社的にアクセスできるようにしていくことが重要となります。


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次回はマーケティング論について取り上げます。
お楽しみに!

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