【厳選過去問】令和2年 企業経営理論【戦略論】

企業経営理論を攻略する上で重要な厳選過去問をピックアップします!
合っていたか、間違っていたかだけでなく、各選択肢の正誤のポイントを確実に整理してください。

今回は令和2年度の戦略論を取り上げます。

<戦略論>
第3問:業界の構造分析
第6問:垂直統合
第8問:イノベーション関連用語

<組織論>
第16問:組織管理システム
第17問:期待理論
第20問:職務設計理論

<マーケティング>
第31問:デジタル・マーケティング
第37問(設問1):顧客満足
第37問(設問2):サービス・ドミナント・ロジック


第3問

「業界の構造分析」の枠組みに基づいて考えられる、売り手(サプライヤー)と買い手(顧客)との間での交渉力に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア 新たな企業が売り手として参入できる場合には、新規参入が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

イ ある売り手が供給する製品と他社の競合製品との間での互換性が高い場合には、互換性が低い場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

ウ ある売り手が供給する製品を買い手が他社の競合製品に切り換える際に、買い手がその製品の使用方法を初めから学び直す必要がある場合には、その必要がない場合と比べて、買い手に対する売り手の交渉力は低下する。

エ 売り手が前方統合できる場合には、前方統合が不可能な場合と比べて、売り手に対する買い手の交渉力は低下する。

オ 売り手側のハーフィンダール指数がゼロに近づくほど、買い手に対する売り手の交渉力は高くなる。



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正解:エ

業界の構造分析、攻略法は『プラス10点もぎ取り道場 PR動画』でご紹介しています!とにかく丸暗記では対応できません

とはいえ、実際に問題で問われると、主語と述語がごっちゃになって対応しにくいですよね。

今回の問題を、”必要性””代替性”に着目しながら見てみましょう。

ア 売り手側の参入障壁が低い→売り手側のフィールドにプレイヤーがウジャウジャ存在するようになる→売り手の代替性が低くなる(替えが利くようになる)→売り手の交渉力は低くなる(買い手は高くなる)

イ 売り手の製品の互換性が高い(他社製品でも代用できる)→売り手の代替性が低くなる(替えが利くようになる)→売り手の交渉力は低くなる(買い手は高くなる)

ウ 買い手が他社製品に切り替えようとする際に面倒が生じる(スイッチングコストが高い)→売り手は買い手が他社製品に切り替えるのが面倒であることを知っている(売り手の必要性が高くなる)→売り手の交渉力が高くなる(買い手は低くなる)

エ 売り手は買い手を買収しようとチラつかせる→売り手の交渉力は高くなる(買い手は低くなる)

オ 売り手の市場のハーフィンダル指数が低い(市場内で多くの企業がシェアを分かち合っている)→売り手の代替性が低い(替えが利くようになる)→売り手の交渉力は低くなる(買い手は高くなる)
※ハーフィンダル指数とは、各企業のシェアを2乗和した数値。ハーフィンダル指数が高い場合は、業界に支配的なリーダー企業が存在する。

上記のようなロジックが組めるとベストです。ただ、ここまできれいに解かなくとも”必要性””代替性”に着目すれば正答の確率は上げられるはずです。出題頻度が高いので、是非モノにしてください!



第6問

設計、生産、販売などの活動から構成されるバリューチェーン(価値連鎖)の中で、どのステージ(活動)を自社で行うかの決定が、その企業の垂直統合度を決める。
自社で行う活動の数が多いほど垂直統合度が高く、その数が少ないほど垂直統合度が低いとした場合、完成品メーカーA社の垂直統合度を高くする要因に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア A社が使用する素材については、仕入先が多数存在しており、どの仕入先からでも、必要な時に品質の良い素材を仕入れることができる。

イ A社が使用する部品を製造しているすべてのメーカーは、A社に納入する部品製作のために専用機械を購入し、その部品はA社以外に納入することはできない。

ウ A社の完成品を使用する企業や工場は、A社の完成品を使用できなくなると、日常業務が成り立たなくなったり、生産ラインが維持できなくなったりする。

エ A社は、完成品を作るために必要な原材料や部品を提供している会社との間で、将来起こりうるすべての事態に対してA社が不利にならないような契約を交わすことができる。

オ A社は販売代理店を通じて製品を販売しているが、景気の回復局面ではその販売代理店はライバル会社の製品を優先して販売する。 



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正解:オ

垂直統合と市場取引からの出題です。
垂直統合と聞くと、普段馴染まない言葉なので苦手意識を持たれる方が多いですが、要は内製化のことです。
組織の内部で行う「垂直統合」と、他社に外注する「市場取引」の違いが問われていると理解したほうがイメージしやすいかもしれません。

着眼点は「経営資源」「コントロール」です。
内製化する場合は、自社で設備や技術など経営資源が必要となりますが、生産量や納期の意思決定は自分たちでできるのでコントロールしやすくなります。
反対に外注する場合は、相手の経営資源を活用することで、自社で資源を確保することが必ずしも必要でなくなりますが、外注先が強気の交渉をしてきたり、約束を守らなかったりとコントロールしにくくなります。

このような観点から考えると、
ア 品質の良い素材をいつでも安定して調達できるのであれば、自社で経営資源を確保して内製化する必要は無さそうですね。

イ A社のために専用機械を持っていてA社にしか部品を納入できないのであれば、部品メーカーはA社に依存しており、相手が強気に交渉してくることはありませんね。コントロールしやすいのであれば、自社で経営資源を確保して内製化する必要は無さそうですね。

ウ A社の完成品を使用する企業や工場は、A社に依存しており強気に交渉することは難しい状況ですね。それであれば、相手を買収して支配下におかなくとも、外注先の関係でコントロールすれば良さそうですね。

エ 自社が不利にならないように契約でコントロールできるのであれば、自社で経営資源を確保しなくとも、外注で相手をコントロールすれば良さそうですね。

オ 販売代理店がライバル製品を優遇するなど、A社を揺すってきていますね。それであれば、買収してA社製品しか取り扱わないようにコントロールすることがプラスに働くかもしれませんね。

このような観点を持ってもう一度解いてみると、”原理原則”が掴めてくると思います。



第8問

以下のA欄の①~④に示す新製品開発やイノベーションを推進するための取り組みと、B欄のa~dに示すこれらの取り組みに当てはまる名称の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【A 取り組みの内容】

① 新興国で開発された製品や技術を先進国に導入すること
② 新製品に関わる各部門が、外部環境における関連する領域と卓越した連携を持つこと
③ 製品の構造を分析し、動作原理、製造方法、設計図の仕様、ソースコードを調査し、学習すること
④ 職務よりもプロセスを重視した、事業プロセスの大きな設計変更を伴う職務横断的な取り組み

【B 取り組みの名称】

a リバース・エンジニアリング
b リエンジニアリング
c バウンダリー・スパンニング
d リバース・イノベーション

〔解答群〕

ア ①-a  ②-b  ③-c  ④-d
イ ①-a  ②-d  ③-c  ④-b
ウ ①-b  ②-d  ③-a  ④-c
エ ①-d  ②-c  ③-a  ④-b
オ ①-d  ②-c  ③-b  ④-a



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正解:エ

こちらの製品開発やイノベーション関連の用語も頻出ですね。
特に今年は「リバース・イノベーション」間違いなく出題されるのではと予想しております。

リバース・イノベーションとは新興国向けに開発した製品を先進国に還流させることで、先進国内でもイノベーションを創出することを指します。
「イノベーションのジレンマ」の考え方にもある通り、市場が成熟している先進国内では機能面での競争が激しくなり、ユーザーが望む以上のオーバースペックに至ってしまうことが多くなります。

一方で、新興国向けに機能を絞った製品が現地で成功するとともに、そのような製品がかえって先進国内でも機能と価格のバランスが良かったり、あるいは新たな用途を開拓することで、先進国でもヒットすることがあります。

このような新興国→先進国へとイノベーションを還流させる現象のことを「リバース・イノベーション」といいます。


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次回は引き続き令和2年組織論について取り上げます。
直前期、まだまだ実力は伸びますので前向きに!

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是非ご活用ください!

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