漫画やアニメで扱われる「馬の描写」について

これは今年の年末年始にAbemaTVでアニメを見ていて、その中で描かれていた馬の描写が、あまりにも現実とかけ離れていたから呟いたもの。
ストーリーに大きく影響するわけではないが「移動手段」のひとつとして、馬が使われるのはアニメ等でよくある設定の1つだと自分は思っている。だが、描く人や校正担当に知識がないから、頭絡とうらくの描かれ方だったり、腹帯はらおびの描かれ方に変なところが出てくる。
ひとつの例として、これはとある漫画内での描写。

領民0人スタートの辺境領主様
第2巻 P 102

この馬が装着しているのは、頭絡と無口むくちが合わさったようなものだと思われる。
無口とは何ぞやという人のために商品画像を添付しておいた。

そしてこの馬はハミを咥えていない。
ハミを使うことなく馬を操る方法もあるのだけど、馬の目の横に位置している丸い輪っかは無口のソレなので、やっぱりおかしい。

要するに、これを書いた人も校正の担当者も馬のことは知らないといって良いはずだ。
こんな些細なところは物語に影響しないからちゃちゃっと描いとこうと思ったのかどうなのかは知らないけれど、意外と見てみたら沢山ある違和感。あれ、ちゃんと描かれてないぞと思うことは多い。

以前、将棋の渡辺くんで渡辺明九段が話していたことだけど漫画で将棋が取り上げられていても、二歩にふ(将棋の反則)をしているのに気付かず指す描写とかがあると萎えるし、逆に盤駒がちゃんとしてて、盤面もしっかりしてたら「あっこの人将棋好きなのかな?」と思うみたいなことを言っていた。

ちなみにそんな将棋の渡辺くんの中でも馬の描写でちょっとおかしいところがある。

将棋の渡辺くん
第6巻 P 63

頭絡の部分はしっかり描かれていると思う。
ケチをつけるとすれば、ハミに繋がっているのと鼻革に繋がっている部分はそれぞれ独立したものだから、1本に見えるけど実際は2本ある。ただそれを絵で書くのは難しいと思うし、実際問題としてこれは小さいコマだから仕方ない面もある。馬の歩き方はこうじゃないけど、まぁそこは目を瞑ろう。書くの難しいし。

ただ、パドックを回ってる絵で馬の背に鞍がないのは、ちょっとどうなのよと読んでる時に思った。もっと言えば腹帯はゼッケンもまとめて止めるためにあるしなぁ…と。

ただ、物語に大きな影響があるか?と言ったらそうじゃないからこそ見過ごされているんだろうなと思う。

僕はこの記事を通して、文句を言いたい訳じゃない。描くなら少しだけでいいから馬のことを知って欲しいと思うだけ。
取り上げた作品はちゃんと世に出ている作品だけど、直されていないということは作者や校正担当など出版に関わる者の誰もがおかしいと言わなかった・思わなかった訳であり(おかしいと思っていても〆切だった可能性もあるが)それは、馬のことを知らないからそうなっているのだろう。

ウイニング・チケット
第1巻 P 85

全部が全部、ここまで正確に描いてくれるような馬の文化を作り上げていきたいが、どうやれば出来るだろうか。
恐らく無理なんだろうなぁと思いつつ、どうにかならんかなぁ…と思っている。
例えばお箸の持ち方だったり、お膳に乗って出てくる定食のごはんと味噌汁、おかずの位置だったりと同じくらい、馬の描写はこうなってるよね。と誰しもが分かるくらいにまで馬のことを知って欲しい。

それくらい馬は魅力的な動物だと思ってる。

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