「安心して過ごせる余生」を実現するためには、先立つモノが必要だろうというお話

このニュースは、先日、僕のTwitter(現・X)でも取り上げた内容だ。

YouTubeの概要欄に書かれている文章は、

運営は厳しいとのことですが「安心して過ごせる余生を」と馬を受け入れる思いを取材しました。

RSKニュースより抜粋

と書かれているが、これには正直疑問だ。

僕は、安心して過ごせる余生を支えるものとして、目先のカネが必要不可欠であると考える。それが無くて、クラウドファンディングを使っているのならば「安心して過ごせる余生」という言葉に「偽り」があると思う。

飼育崩壊は言い過ぎかもしれないが、運営が厳しい状態では「安心して過ごせる余生」を担保しているとは言えないだろう。
その状況で、クラウドファンディングをしたとしても、一時的には状況が改善される可能性はあるけれど、結果的に10年、20年経ったときにどうなるか?というのは、分からない。
簡単な話をすれば、馬を1頭受け入れて年間に最低でも100万円かかるならば、それを20年先まで確保していればいい話で、それが出来ないなら計画に無理があるので、やるべきじゃないと思う。

そして、どうでもいいことだけど、途中で草を食む馬を見て「ここはサラダバー」と紹介しているが、馬の主食は草なのだから置き換えて説明するなら、おかわり自由の米食べ放題、だろう?と思ったのも書き記しておく。

RSKニュース より

また、競馬の世界は良血馬でないと生き残ってこれない。おじいちゃんがディープインパクトというのは、普通の人からしたら引き付けられる要素になるのかもしれないけど、業界人からするとそれは違う。
父のスピルバーグは天皇賞を勝った馬と説明されているが、そういう馬でなければ種馬にならないし、種馬になってもスピルバーグの場合は種付け料がリーズナブルで100万円以下だ。ネームバリューとして弱い。

この辺りに、一般ニュースとして報道される時の馬と競馬を知っているサイドからの見方は大きく異なっていて、それが現実を見えなくさせる理由の1つになると思っている。

僕は、養老牧場としての形を否定しない。
やりたいようにやったらいいと思う。
でも、計画に無理があるならば話は変わる。
最終的に影響を受けるのは馬。
そして、業界全体の信頼を失う理由にもなる。ただでさえ、引退競走馬のクラウドファンディングについては僕が言及してきたこともそうだけど、計画が杜撰なところが多い。実際に計画が実行されていない例もある。
野放しにしているクラウドファンディングの運営元もそうだし、問題視されない・泣き寝入りを余儀なくされているところもある現実。

報じられないこともあるはずだ。そのところをしっかりとチェックしたい。

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