永遠にコンビニおにぎりへ辿りつけない

『コンビニおにぎり』と書いて、『ちかくてとおいもの』と呼んでやりたい。きっとお似合いだ。

 安いもので100円、高いものでも200円と少し。手軽さと多様性の象徴こと、コンビニおにぎり。しかし、いかにも「手軽で簡単ですよ」と言いたげな面をして、実際私たちの手が届かない場所に鎮座しているのが、彼奴らコンビニおにぎりである。

 何が悔しいかって、家で再現できないのだ。『コンビニおにぎり 再現』と検索ウィンドウに打ち込めば、多くの人が再現に挑み、レシピを残しているのが見て取れる。私も試そうとした。原材料とにらめっこをし、レシピを読む。塩、日本酒、昆布だし、うま味調味料、その他もろもろ。分量は完璧、あとは炊き上がりを待つばかり……

 だというのに、違うのだ。あの米にしっかりとつき、かといって角の立たないほどよい塩味が、どうにも得られない。ただ昆布だしと塩の味がする、まずくもうまくもないご飯があるだけである。味付けが米の甘みをちっとも引き立てていない、ご飯が。

 海苔もそうだ。あのパリパリ感を出すのは難しい。サラダ油を用いてパリッとさせているのだろうが、私が再現しようとすると、多少なりとも湿気てしまう。風味も違う。

 当然、私のやり方がまずいだけであって、他のご家庭ではコンビニのそれとほぼ違わない逸品を生み出せている可能性は、非常に高い。だが、私にはどうにも遠いのだ。再現はとうに諦めた。

 つくづく、企業努力というもののありがたみと、果てしなさを実感するばかりである。

(年季入ってそう風な文章でお送りしてみました。ローソンの和風ツナマヨおにぎりLOVEです)

#エッセイ #コンビニ