見出し画像

マネーフォワードが考える「必要最小限」の保険とは

こんにちは!マネーフォワード広報部の田淵です。

マネーフォワード 固定費の見直し』より、『マネーフォワード ME』に登録されているデータを使って診断できる「保険の見直し」機能がリリースされました。

実際に診断してみたところ、私は保険が「不要」という診断になりました。

保険2

※上記画像の金額はダミーの数値です。

私自身社会人になってから当たり前のように保険に加入し、保険が「不要」という考えは無かったので、とてもびっくりしました。
本当に保険は要らないのか、「保険の見直し」の考え方や開発の背景について、責任者である志賀俊一さんにインタビューしました。

プロフィール

志賀俊一  2019年入社。
マネーフォワードホームカンパニー 事業開発部長
2007年にIT系ベンチャー企業に入社、PMとしてベンチャー、大手複数社で経験を積み、担当したサービスは30以上になる。新規事業開発の経験も多数。マネーフォワードでは、入社時から事業開発部で新規事業の立ち上げに従事し、2020年より現職。『マネーフォワード お金の相談』や『マネーフォワード 固定費の見直し』を新規事業として立ち上げ、2021年7月1日に「保険の見直し」機能をリリース。

志賀さん2

家族に遺すのと同じように、今を楽しく生きるためのお金も大事

ーさっそくですが、実際に私が診断したら保険は「不要」と出てきました。保険が「不要」というのはどういうことなんでしょうか。

マネーフォワードは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げています。「保険の見直し」機能は、ユーザーの家計改善をサポートしたいという想いで作ったサービスなので、必要最小限の保険という考え方をベースに診断がでるようにしています。

日本は、世界と比べて社会保険が充実している国です。社会保険の内容を理解し、貯蓄を投資へ回すなどして可能な限り金融資産を増やしながら備えれば、保険は、必要最小限でも良いのではないか、という考え方です。具体的には、必要最小限として死亡保険:3年間、医療 / がん・就業不能保険は直近6ヶ月を設定しています。
そのため、遺族が暮らしていくのに十分な金融資産がある方には、保険が不要という診断結果が出ることもあります。ただ、これも保険の解約を迫るのが目的ではなく、自分や家族が楽しく安全に生きていくために何にお金を使うべきかを再考するきっかけにしていただくための機能です。

自分に万が一のことがあった時を心配して家族のために保険に入っておくというのも一つの考え方ですが、今を生きることにお金を使うというのも大事だと考えています。コロナの影響などで今の生活が苦しい方には、特にこれが当てはまると思います。

ー死亡保険を死後3年間にしたのはなぜでしょうか。

調査の段階で、必要最小限の期間を3年と設定している資料もあれば1年、5年としているものもあり、明確な定義は無いことが分かりました。その中で僕たちは現行の制度にもある「遺族への譲渡の特例期間」である3年という区切りを採択しました。

「3年」という期間について、僕個人の話をすると、我が家は僕が大黒柱です。お金の面では、僕に万が一のことがあると家族が困ることになる。知的障がいのある子どもが二人いますので、元々は、「人より多くお金を遺してあげたい」という気持ちがありました。お金があれば社会と断絶してもどうにかなる。でも、これは本当に僕が個人的に考えていることですが、家族には僕がいなくなった後も3人だけの世界から一歩踏み出して欲しいと思いました。遺したお金が減っていくタイミングで、ある意味必要に迫られて、社会との繋がりを持てるような生き方を模索していけるのではないかと信じています。実際に、3人分の生涯に渡る生活費を残すほどの保険に入るのは、今の生活に対する負担が大きいという問題もあります。そう考えた時に、「3年」は、遺族が自立して生活を始める、つまり生計を立てるために就労先を見つける期間としては妥当な期間ではないかという感覚もありました。
必要最小限の保険という考え方を知ったうえで、家族旅行とか、今できる楽しみに使えるお金を増やすというのも、良いと思いませんか?

子どものためのプロダクトづくりが原動力

ー確かにそうですね。私は旅行が好きなので、生きているうちに行きたい場所がたくさんあります。そういう楽しみにお金を使えるようになると人生がより充実しますね。
ところで、家計における固定費は他にもありますが、今回「保険の見直し」機能を開発することになった経緯を教えてください。

先ほどお話ししたように、僕の子どもには知的障がいがあります。障がいがある人でも『マネーフォワード ME』に連携すれば自分のお金を自動で最適化してくれる、家計・資産の管理を自動化できるようなサービスを作りたいという大きな夢が根底にあります。
小さな一歩ですが、そんな想いから、『固定費の見直し』サービスを立ち上げました。実際『マネーフォワード ME』のユーザーさんからも固定費を見直したい、削減したいという声が多かった。そこで第一弾として、2020年11月に「電気の見直し」の機能を開始しました。
第二弾が保険になったのは、日本の保険加入状況を見てもっと改善できる点があると感じたからです。生命保険文化センターの調査※には、日本での生命保険の世帯加入率は88.7%、一世帯当たりの年間払込保険料は平均38.2万円というデータもあります。
もちろん、保険に関してはさまざまな考えがあると思いますが、今の生活を圧迫して保険に加入していないか? 保険を見直すことで、今の生活を豊かにできないか?というのが出発点です。

※ 出典(公財)生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査調査」より
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/30/p003-045.pdf

長期間のシミュレーションにも対応予定

ー根底にはお子さんへの想いがあったんですね。「保険の見直し」は9月にアップデートを予定していますが、どのような内容でしょうか?

長期間でのシミュレーション診断が、新たなパターンとして追加されます。こちらはサービスリリース当初から予定していたアップデートです。
これまで必要最小限の保険について話しましたが、死亡保険について、必要最小限と設定した3年だけではなく、子どもの養育費や教育費などを加味したうえで遺族の一生分の期間を設定できるようになります。
必要最小限の保険というのは一つの考え方でしかありませんので、遺族に長期の保障を遺せるようなシミュレーションをしたいという方にも使っていただいて今後の保険について考え直すきっかけにしてもらえると嬉しいです。
両方を比較することによって、より見える化されるというのもあると思います。

ー今回「保険の見直し」を段階的にリリースしたのはどうしてですか?

スピード感をもってサービスを提供し、ユーザーの声を踏まえながらブラッシュアップしていく方法を採用し、段階的なリリースにしました。
「保険の見直し」は、ユーザーの家計改善をサポートすることが目的なので、最初のリリースは必要最小限という考えに基づいた診断になりました。メッセージ性が強いコンセプトからリリースしたほうが、より明確に反応を拾い上げられるという考えもありました。

ー長期のシミュレーションとなると、遺族が将来受け取るであろう年金を考慮しなくてはいけなかったり、開発も一段と難しくなりそうですね…。開発で大変だったエピソードはありますか?

開発に必要な難しい言葉を理解して、ロジックに落とし込むのが大変でした。
例えば、「中高齢寡婦加算」ってご存知ですか?遺族年金の加算給付の一つなのですが、大人でも知らない人が多いと思います。それをどのエンジニアが見てもに分かるように枝分かれ表のようなものを作ってロジックを説明し、開発をしてもらうのですが、やっと表が完成したと思っても「〇〇が抜けている」みたいな感じで1か所間違いが見つかったりして。そうするとまた修正が必要で、20回くらい作り直したと思います(苦笑)。
でも、少しずつ完成に近づいていく、ユーザーにもうすぐ届けられるんだ、というワクワク感が、緻密な作業の繰り返しの中でも、チームに明るい雰囲気を常にもたらせてくれたと思います。事業開発部は課題を解決することを楽しめる人の集まりだと思います。本当にいいチームで仕事ができています。

最適な固定費を提案してくれるサービスを目指す

―最後に、『マネーフォワード 固定費の見直し』サービスの今後の展開を教えてください。

今後は、『マネーフォワード ME』に連携すれば最適な固定費を提案してくれるという世界観を目指します。見直せる固定費の種類をもっと増やして、『マネーフォワード ME』に連携をすると、例えば「あなたは電気代は大丈夫だけど、保険料は見直した方が良いですよ」といったアドバイスが出るようになるようなイメージです。
そうした機能のリリースを積み重ねて、冒頭にもお話しましたが、ゆくゆくは家計や資産を自動で最適化してくれるような世界、「お金はマネーフォワードに任せておけば大丈夫」という世界を作りたいと思っています。

あとがき

志賀さんが家計の見直しサービス『マネーフォワード 固定費の見直し』を作りたいと思い始めたのは、マネーフォワードに入社する前の2017年頃だそうです。4年前から着実にステップを踏み、企画を実現までもってきた背景には、お子さんのためにプロダクトを作りたいという強い想いが隠れていました。普段は、朗らかな志賀さんの奥に潜む強い原動力に触れて、私も胸が熱くなりました。

『マネーフォワード 固定費の見直し』はこれからどんどん成長していきます!お楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?