対等な関係づくりが成功の秘訣!?M&Aでスタートアップを応援するということ
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対等な関係づくりが成功の秘訣!?M&Aでスタートアップを応援するということ

こんにちは!マネーフォワード広報部の田淵です。

みなさんはM&Aについてどんなイメージがありますか?私は漠然と「身売り」や「敵対的買収」のイメージがあって、ちょっとだけネガティブに感じていました。

しかし、先日開催した「イノベーションを創出するスタートアップのM&Aの最新トレンドとPMI成功の秘訣」というオンラインイベントを通じて、M&Aは事業や人材へのシナジー効果などたくさんのプラス効果が期待でき、スタートアップを次のステージに成長させるために有効な手段だったことを学びました!

このnoteでは、スタートアップM&Aのトレンドや、登壇者のみなさまのスタートアップ業界への熱い想いなどをイベントの様子を通してお伝えしていきます!

登壇者

青木 義則 様
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
EYパルテノン マネージング・ディレクター パートナー
EY Startup Innovation Co-Leader
川名 将斗 様
経済産業省 経済産業政策局 産業創造課
新規事業創造推進室 室長補佐 
中馬 和彦 様
KDDI株式会社 事業創造本部
ビジネスインキュベーション推進部長
KDDI ∞ Labo長 
菅藤 達也
株式会社マネーフォワード 執行役員CSO
株式会社クラビス 代表取締役CEO

本イベントの前半では、今年発表された「スタートアップM&A動向調査 2020」(EY Japan)や「大企業×スタートアップのM&Aに関する調査報告書」(経済産業省)をもとに、スタートアップのM&Aを取り巻く最新トレンドや課題について青木様、川名様より解説いただきました。

それによると、スタートアップがEXIT※する方法として、日本ではこれまで株式を公開するIPOが主流でしたが、M&Aの件数も年々増加してきているそうです。

※出資者(創業者・エンジェル投資家・ベンチャーキャピタル等)が、これまで資金調達で支援してきたスタートアップ企業から利益を回収することを意味しています。

国内のスタートアップM&Aトレンド

国内スタートアップへのM&A件数は近年増加しています。2020年はコロナの影響で4月~6月に落ち込みましたが、通期では前年比微減の90件で着地しました。M&Aの件数は増加していますが、IPOとの比率で見ると1:1。アメリカではM&Aが9割を占めているため、日本でもM&Aが活性化することが期待されます。

売り手の会社はIT企業が多いですが、極端に集中しているわけではなく、幅広い業種の会社がM&Aのターゲットになっています。年数でみると比較的若い会社が多く、全体の7割くらいが会社を作って8年未満です。逆に、買い手の企業を見ると、新興上場企業と非上場企業が全案件の9割を占め、1999年以前に上場した伝統的企業は全体の1割弱となりました。

M&Aをする目的は、主に新規事業創出と既存事業の強化の二つがあります。全体的には新規事業創出のためにM&Aをするケースが多いですが、新興上場企業がM&Aをする場合は既存事業を強化する目的が比較的多いようです。

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日本でM&Aが少ないのはどうして?

M&Aの阻害要因としては以下のような理由があります。

・M&Aよりも自社単独での研究開発を優先する。
・株主から短期的な利益を求められるため、M&Aのような中長期的な投資が選択肢に入りにくい
・スタートアップに対するM&Aの成功率が10割でないといけない(失敗が許されない)と考える傾向がある。
・買収企業と被買収企業(=スタートアップ)の間でバリュエーションが合意に至らない
のれんの減損が発生すること、及び投資家からのネガティブな評価を懸念する。

なお、調査時には上から4つめと5つめの項目が多かったとのことですが、調査発表後は3つ目の「M&Aの成功率が10割でないといけない(失敗が許されない)」という点についての反響がとても大きかったそうです。
研究開発は失敗が許されるけれどM&Aは失敗が許されないという風潮があり、M&Aに手が出せないケースが発生しています。しかし、中長期の研究開発の成功率は18%、M&Aの成功率は36%というデータがあります。

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スタートアップとのM&Aというのは、時間の面でも、費用の面でも、リスクの面でも自社単独の研究開発投資よりも効率的なケースがあり、また成功率だけでいうと自社での研究開発よりもM&Aの方が高いというデータがあることが分かったので、もっと積極的にM&Aの選択肢を検討してもよさそうですね。

M&Aはあくまで手段の一つ

イベントの後半では、KDDIとマネーフォワードの実際の事例を交えたパネルディスカッションが行われました。以下、そのイベントの様子をお届けします!

青木様(以下敬称略):菅藤さんは2017年にご自身の会社であるクラビスをマネーフォワードに売却してグループジョインされました。マネーフォワードさんからオファーがあった時はどうでしたか?

菅藤:マネーフォワード代表の辻と純粋に意気投合したんですよね。別にマネーフォワードからM&Aさせてくれみたいな話があった訳じゃないんですよ。事業のシナジーとか相性とか補完性とか色々考えたら一緒にやった方がお互いうまくいきそうだなと。経営陣と会話していても盛り上がるし、純粋に一緒に経営したいなと思えました

サービスの紹介とか代理販売契約みたいなのはマネーフォワード以前にいろんな会社さんとやらせていただいたりしていたのですが、コミットメントが弱くなってしまい、お互い本気になりにくいというのはすごく痛感していました。なので次はがっつりM&Aかもしくは全くやらないかどっちかなんじゃないかなっていう感覚はずっと持っていました。マネーフォワードへは僕の方から「M&Aをした方がむしろうまくいく可能性は高いですよね。」と言いました。

菅藤さん2

青木:中馬さんはKDDIさんで買う側として色々な取り組みをされていらっしゃるかと思いますが、御社のM&Aに対する交渉の仕方を教えていただけますか?

中馬様(以下敬称略):菅藤さんがおっしゃった通り、そもそも買うことありきでは無いです。基本的にスタートアップの皆さんは何かしらの新しいことがやりたいという想いで事業を生み出しています。そんなスタートアップの方を応援して一日も早く大きくするというだけの話だと思っています。僕らは、グロースさせるのは長けている。ですが、ゼロイチを生み出すのは全然得意ではないんです。僕らはイノベーティブな会社ではなくて、イノベーティブな人を応援するのが得意な会社だと思っています。

僕らからするとM&Aは矢印の向いている先が一般的な考えとは逆で下から上に支えるという絵を描いています。支援者側にいかに回れるかが重要で、上から命令するようになったり、矢印が上から下に向いたりした瞬間うまくいかなくなると思います。

青木:KDDIさんってCVCからマイノリティ投資をされることもあれば、M&Aされることもあれば、必ずしも出資しないケースもあると思うんですね。何か判断基準はあったりしますか?

中馬:結局はパートナーさんにとって何が一番良いのかということなので、明確な基準は無いですね。金銭的な部分やキャンペーンなど、資本関係があることによってできる支援もあるので、そういう支援のためにはマイノリティ投資をしますし、そこから先僕らが一緒になった方がよりグロースできるとなればM&Aを提案したりします。

青木:この会社とどんなコラボレーションができるかなという所からスタートして、手法はむしろ後から決めていくという感じのスタンスでいらっしゃるのですね。

仲間になってくれる企業をリスペクトし対等な関係を築く

青木:菅藤さんに伺いたいのですが、マネーフォワードさんの中では M&Aという言い方をせずに、グループジョインという言葉を使われてらっしゃるのは何か理由があったりしますか?

菅藤:M&Aって言葉は難しそうで、ちょっとかっこ良く聞こえるかもしれませんが、当事者の心ってどう思ってるのかなって思うんですよね。マネーフォワードの考え方としては、自分たちではできないことを上手にやっている方に仲間に入ってもらうっていう感覚です。要するに、本当は自分たちでやりたいと思っていたけどできなかったから悔しい。一方ですごくそれに対して覚悟を持って作っている人たちがいて、その方達が仲間に入ってくれると。それってもう最大級のリスペクトっていう感じなんですよね。

被買収企業の社員の方たちにも、「僕らはこの会社に求められてジョインしてきたんだ」って思っていただけると「マネーフォワードグループの一員としての活躍はどうあるべきか」ということを自発的に考えてもらえるようになるんですよね。そういったことを当たり前のカルチャーにしようという考えがあり、マネーフォワードとして初めてのM&Aとなった僕の会社の時からグループジョインという言葉を使うようにしています。

中馬:言葉って態度に出ちゃうと思うので僕も大事だと思います。一方でお互いに媚びる必要も無いと思います。どっちが上とか下とかじゃなくて、お互いに長けている部分を活かして補完しあえばいい。だからやっぱり対等なパートナーというのが大事だと思いますし、私は大企業さんと仕事をするときでも20人規模のスタートアップの方と仕事をするときでも同じ姿勢で望みます。

中馬様

青木:M&Aはスタートアップをどう取り込むかって思いがちな人もいますが、KDDIさんの場合はむしろスタートアップさん側に既存の事業をくっつけちゃうとか、SORACOMさんみたいに1回IPOで外に出ていくのを認めるとか、そこも起業家との対等な関係っていうのがあるのかなと思ったのですがどうですか?

中馬:そもそも認めるって概念自体が上下関係からの発想だと思っていて、結局SORACOMの事例でいえば、社長である玉川さんはどうしたいかという話です。トヨタの世界中の車には僕らのモジュールが入っていて、その管理を全てKDDIが全部受託してるんですよ。つまりIoTはグローバルな事業なんです。KDDIの営業がだいぶグロースしたので国内の売上は10倍になり、IDは100倍になりましたけど、ここから先はグローバルにいかなくてはいけないわけです。しかし、グローバル化については、僕らができることもあればできないこともあります。例えば人材という面では、グローバルで勝てるための人材を獲得しようと思ったら、KDDIグループの規則の中でのインセンティブとか、そういうところでは制限が出てしまいます。KDDIグループの関連会社で残りながらも彼らが次のステージに行く、それは結果僕らとしてのグループ全体としてのIoT事業が強くなるということに繋がるので、皆で喜んで応援してるという感じなんですよね。

起業家が持つモチベーションを応援したい

青木:菅藤さんはクラビスのCEOかつ、マネーフォワードの執行役員CSOでもあります。M&A後、グループジョインした企業のキーマンが辞めないために意識的に取り組まれていることはありますか?

菅藤:例えばグループ会社の非常に優秀なメンバーのチャレンジを後押ししてマネーフォワードの経営や事業に携わってもらうみたいなこともあります。せっかく「マネーフォワードグループ」っていう新しい資産を手に入れたんだから、出来る限り活用してもらう仕組みを作っています。

中馬:スタートアップのCEOの方ってやっぱり、立ち上げてある一定の所までは興味があるんですけど、グロースに関して必ずしも興味ない方もいらっしゃるわけですよ。大企業と一緒になるメリットは、大企業のアセットを使ってグロースできることだから、事業をグロースさせたいのか、新しい事業を起こしたいのか、チャレンジングなことがやりたいのか、それぞれモチベーションが違うので、これはそれぞれに合ったものでやりたい人がやればいいと思っています。実際、起業家の方で辞めた方もいますが、その後新しい事業を立ち上げたら必ず一番最初に連絡をいただきます。「また事業を立ち上げるのですが、支援してくれませんか?」みたいな感じで。「グロースの段階になったら応援するから、頑張って」と言うと。「は~い!」とか言ってまたみんな帰っていきます。なので、起業家の方との関係はとても良いですよ。

青木:その方が0→1が得意だったら、0→1の所で2回御社に貢献していただく方が、苦手な1→10とかを頑張ってもらうよりも良いということですね。

M&A写真

あとがき

イベント参加者は100名超、当日は参加者からもたくさんの質問をいただき、時間を延長して質問に回答するほどの盛り上がりでした。事後アンケートからは「本音の話を聞けて良かった」「経験談や具体例が豊富で参考になった」というポジティブなご意見を多数いただき、イベントの満足度も95%以上という数字で終了することができました。

実際にM&Aに取り組まれているKDDI中馬様、マネーフォワード菅藤からはグループジョインする企業と対等な立場で支援するという考えを教えていただき、これまでM&Aに対して抱いていた、漠然としたネガティブなイメージが大きく変わりました。

マネーフォワードのM&Aに対する考え方は、菅藤のnoteもぜひご参照ください!


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航空会社でのサービスオペレーションの仕事を経て、現在はマネーフォワードで広報をしています。新卒時代に住んだ北海道が大好きで、将来は北海道に家を買うのが夢。