サーブの得点率を上げるべきか、レシーブの得点率を上げるべきか、どちらを優先すべきか計算してみた。【卓球のための数学】

卓球は、サーブ側が有利とされています。

基本的にそれは正しいでしょう。



なので、

「サーブのときは2点取ろう!」

「レシーブのときは1点取ろう!」

という目安をよく聞きます。



そして、それを実現するために、

「サーブ練習をして、確実に点を取れるようになろう!」

「レシーブ練習をして、50%点を取れるようになろう!」

なんて考えます。



しかし!



これを両方練習する時間なんてありませんよね!?

どちらか片方をやる時間だけ、ちょうどありますよね!?

そうですよね!?



さぁ、サーブ練習とレシーブ練習、とちらを優先すべきか、今から計算していきます。

数学人間による卓球数字遊びの始まりです!


計算開始

Aさんのサーブ時の得点率がx%、レシーブ時の得点率がy%のときの、ゲームを取る確率を計算していきます。

xとyにいろいろな数値を入れて比較することで、サーブ練習とレシーブ練習の優先度を導き出します。

試しに、サーブ60%、レシーブ30%で計算してみましょう。

ここからしばらくはガッツリ数学なので、親の仇のように数字を憎んでいる方は、「ベストな上達ルートを辿ってみた。」まで親の仇のようにスクロールしてください。

では、計算をしていきます。



まずは、サーブ時とレシーブ時で、それぞれ10回ラリーをして、何点取れるのか、その確率を求めます。

結果は一番右側です。

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この10ラリーずつを合わせたのが1ゲームになります。

全通りを掛け算したものが、下の図です。

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この中で、合わせて11点以上取っている部分を全て足したものが「勝ち」。

合わせて10点取っている部分を全て足したものが「デュース」。

合わせて9点以下しか取っていない部分を全て足したものが「負け」になります。

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次に、デュースになったときの勝率を計算します。

デュースでは、2点連続で取ると勝ちになります。

なので、

Aさんの勝率=0.6×0.3=0.18=18%

となります。

相手のBさんの勝率は、

Bさんの勝率=(1-0.6)×(1-0.3)=0.4×0.7=0.28=28%

となります。

残りの54%は11-11で再びデュースになり、同じ計算を繰り返します。

つまり、デュース時の二人の勝率は、

「0.18対0.28の割合」

となります。

よって、デュース時の勝率は、

A=0.16599×0.18÷0.46=0.06495
B=0.16599×0.28÷0.46=0.101039

となります。

これを先ほどの勝率に足すと、以下の図のオレンジの部分のように、最終的な勝率が出てきます。

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ということで、サーブ時の得点率が60%、レシーブ時の得点率が30%のとき、ゲームを取る確率は約30%となりました。


ベストな上達ルートを辿ってみた。

あなたは、サーブ10%レシーブ10%の初心者です。

勝率は下の図の通り、ほとんど0%です。

ここからの最適な成長ルートを辿っていきます。

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ここから、サーブとレシーブのどちらかを練習して、得点率を10%上げていきます。

「サーブ20%レシーブ10%」と「サーブ10%レシーブ20%」のどちらが良いでしょうか。

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どちらも、得点率は同じになりました。

「サーブ20%レシーブ10%」と「サーブ10%レシーブ20%」は、数字を反転しているだけです。

この場合、得点率は一致します。

なので、どちらを選んでも良いんですが、卓球はサーブが有利であり、サーブの方が手っ取り早く10%上げられそうなので、サーブ練習を選びます。



ということで、「サーブ20%レシーブ10%」に成長しました。

ここから、サーブとレシーブのどちらかを練習して、得点率を10%上げていきます。

「サーブ30%レシーブ10%」と「サーブ20%レシーブ20%」のどちらが良いでしょうか。

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「サーブ20%レシーブ20%」の方が勝率が高くなっています。

これは、レシーブ練習をした方がお得ですね。

ということで、「サーブ20%レシーブ20%」に成長しました。

さぁ、どんどん練習をしていきます。

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次はまた数字を反転しているだけなので、どちらを選んでも勝率は同じです。

手っ取り早くサーブ練習をします。

ということで、「サーブ30%レシーブ20%」に成長しました。

さぁどんどん行きます。

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「サーブ30%レシーブ30%」の方が勝率が高くなっています。

これは、レシーブ練習をした方がお得ですね。

ということで、「サーブ30%レシーブ30%」に成長しました。


これはもしや…

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「サーブ50%レシーブ40%」まで一気に成長させました。

完全に同じことを繰り返しています。

これからもこの調子で、サーブ率とレシーブ率を揃えるのがベストなんでしょうか。

しかし、数学という学問、そして卓球というスポーツは、そんな単純なものではなかったのです。

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次は「足して100%」のゾーンに入ります。

なんと、全てが勝率50%になります。

自分が「サーブ60%レシーブ40%」だと、相手も「サーブ60%レシーブ40%」となり、条件が完全に一致するので、勝率が五分五分になります。



さて、僕たちは一貫して、手っ取り早い方を選んできました。

サーブ練習をしましょう。

「サーブ60%レシーブ40%」に成長しました。

さぁここから、勝率5割以上のゾーンに突入します。

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「サーブ70%レシーブ40%」の方が勝率が高くなっています。

これは引き続きサーブ練習をやるっきゃないですね。

どんどん行きましょう。

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サーブ90%まで、サーブ練習をやり続けました。

途中から急に、サーブに特化することが是となっていて、気がついたらサーブ練習ばかりやっていました。

ということで…

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この道が、最適な上達ルートとなりました。


結論

結論としては、

「勝率が50%以下なら、サーブとレシーブを均等に伸ばすべき。
勝率が50%以上なら、とにかくサーブを伸ばすべき。」

ということになりました。



なので、

「なかなか勝てない…」

という人は、勝率50%以下の状態なので、均等に伸ばしてください。

サーブの方が得意なら、レシーブの練習をしてください。



「もっと安定して勝ちたい!」

という人もいるでしょう。

そういう、勝率50%以上の状態の人は、サーブを極めてください。

レシーブなんてやっている場合ではありません。

サーブに集中してください。

そしてサーブに伸び代を感じなくなったら、レシーブ練習を始めましょう。



勝てないときは、レシーブ練習。

勝ててるときは、サーブ練習。

周りのレベルを上げてまた勝てなくなったら、レシーブ練習。



これがベストな上達のループです。

数学がそう言っています。

絶対にこの通りにやってください!



上達の最短経路は、GoogleマップもNAVITIMEもジョルダンも教えてはくれません。

ホシナの数学を信じるのです!

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