「サーブが効く確率を上げるためにはどうしたらいいのか?」という問いを、哲学的に解いてみた。
哲学の勉強を1年以上やってきて、卓球のことがいくつか分かってきました。
今回は、
「サーブが効く確率を上げるためにはどうしたらいいのか?」
という問いに対する、僕なりの哲学的な回答を紹介します。
「既にサーブをしっかり出せる人が、よりサーブで先手を取る方法」
という感じの内容なので、ちょっと上級者向けかなと思います。
正直、これが正しいのかどうか、見当もつきません。
でも、僕なりの答えにたどり着いちゃったものは仕方ありません。
誰かのヒントになるかもしれないので、とにかく書いていきます。
人は、物をどう「認識」するのか。
「哲学」にもいろいろなジャンルがあるんですが、今回は「認識論」「経験論」というジャンルを使っていきます。
(ありがとう、ジョン・ロック。)
そんなに難しい話にはなっていないはずです。
例えば、目の前に綿があるとします。
綿を見て「柔らかそう。」と思います。
しかし、よく考えたら、これはおかしいことです。
なぜなら、目は、光と色を識別する器官であって、物の柔らかさを判断する能力は持っていないからです。
にも関わらず、確かに、綿を見て「柔らかそう。」と思います。
こんなことができるのは、一体なぜでしょうか。
それは、過去に「綿を触った経験」があるからです。
綿を見て、綿を触って、綿に対する視覚と触覚を結びつけることで、次に綿を見たときに、あの柔らかさを思い出すことができるのです。
この、感覚と感覚を結びつけることを、「共通感覚」と言います。
卓球経験者と素人の違いは、共通感覚の有無にある。
卓球で、相手が下から上にスイングしたときに、僕たち卓球経験者は、強い上回転を瞬時にイメージします。
これができるのも、過去の「相手が下から上にスイングしたとき、上回転の強いボールが来た」という経験から、共通感覚を得ているからです。
強い選手は、共通感覚をしっかり持っているからこそ、瞬時にラケット面を作ることができます。
素人は、共通感覚を全く持っていないので、相手が下から上にスイングしたこと自体は認識できても、それが何を意味するのかはさっぱり分からず、強い上回転に対応することができないのです。
サーブが効く・効かないとは?
本題のサーブですが、これも同じです。
自分の出したサーブに対して、相手が共通感覚を持っているかどうかが、効くかどうかを決定します。
例えば、自分が出したサーブが、相手が普段練習している人のサーブと似ていて、
「このスイングの感じは、横下かな。」
「このバックスイングの感じは、フォア前かな。」
など、共通感覚を利用できるとき、サーブは効きません。
自分が出したサーブが、相手が普段練習している人たちの、どのサーブとも似ていなければ、共通感覚が無いので、サーブは効きます。
つまり、サーブが効くようにするためには、
「相手が見慣れていないサーブを出す」
ことが必要となります。
サーブが効く確率を上げる2つの方法。
「相手が見慣れていないサーブを出す」
とは言っても、相手の練習環境なんて知るわけがありません。
そんな中で、相手が見慣れていないサーブを出す方法は2つです。
①ユニークなスイングでサーブを出す
他人とは違う、オリジナルのスイングでサーブを出せば、相手が見慣れている確率が下がるので、サーブが効きやすくなります。
②スイングの種類を多く持つ
同じ回転のサーブを、いろいろな種類のスイングで出せれば、どれかひとつでも相手が見慣れていない確率が高くなります。
サーブをいろいろ出してみて、効くサーブを見つけたらそれを使っていくことで、あらゆる相手に対してサーブで優位に立つことができます。
ということで、結論がふたつ出ましたが、オリジナルのサーブを発明するのは、かなり難しい作業です。
なので、
「スイングの種類をたくさん持つ」
ということが、今回の哲学的な結論となります。
確かに、福岡春菜さんや伊藤美誠選手など、サーブの名手は数え切れないくらいの種類のサーブを持っているイメージがあります。
ひとつのサーブを極めることよりも、種類を増やすことこそが、サーブを良くする秘訣なのかもしれません。
「ヒッチ」と「コック」でスイングの種類を増やそう。
ということで、サーブの種類を増やしていきましょう。
増やし方は自由で、決まりなんて無いんですが、今回はバックスイングの種類を増やしていきます。
バックスイングとは「反動」であり、反動を大きくすることで、サーブをより強くすることができます。
そして、反動を大きくする手の使い方に「ヒッチ」と「コック」があります。
これは、野球のバッティングで使われるもので、実は多くの卓球選手も、これらを取り入れています。
(もう、哲学は関係ありません。)
・ヒッチ
バックスイングを取るときに、真っすぐ引くのではなく、遠回りすることで反動を大きくします。
(【必見】ヒッチを使えば、バッティングが良くなる!?)
・コック
手首を返す動作を入れることで、反動を大きくします。
(【ミノルマン打撃術】コックの使い方教えます!!)
このヒッチとコックを組み合わせて、サーブの種類を増やしていきます。
巻き込みサーブ12例+α
①上にヒッチ
【上にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
バックスイングを真っ直ぐ引くのではなく、上に遠回りすることで反動を大きくします。#平野美宇 選手など、このタイプの巻き込みサーブを使っている選手は多いと思います。 pic.twitter.com/HBFpd8uDOT
②下にヒッチ
【下にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
バックスイングを下に遠回りすることで反動を大きくします。#芝田沙季 選手や #塩見真希 選手の巻き込みサーブは、このタイプに近いように見えます。 pic.twitter.com/LG1Qgbjm01
③前にヒッチ
【前にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
一度前にスイングしてから、バックスイングを取ります。
順横回転のサーブでこれを使う人は多いですが、巻き込みサーブではあまり見かけません。#早田ひな 選手の巻き込みサーブは、複雑でよく分かりませんが、多分これを使っているのではないでしょうか。 pic.twitter.com/4zkNz0uKHV
④後ろにヒッチ
【後ろにヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
バックスイングを後ろに遠回りすることで反動を大きくします。#伊藤美誠 選手が、よくこれを使っています。 pic.twitter.com/6Oda7DxEuf
⑤上にコック
【上にコック】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
手首を上方向に「クッ!」と利かせることで、反動を大きくします。 pic.twitter.com/dX0Hg1LY4s
⑥下にコック
【下にコック】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
手首を下方向に「クッ!」と利かせることで、反動を大きくします。 pic.twitter.com/vkRLPZioR9
⑦上にコック×2
【上にコック×2】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
コックを二度入れることによって、反動をより大きくします。 pic.twitter.com/6a7O4SA421
⑧下にヒッチ+上にヒッチ
【下にヒッチ+上にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
ヒッチを二度入れることで、バックスイングの軌道がかなり長くなり、大きなエネルギーを生み出すことができます。 pic.twitter.com/BJWzRjT1fh
⑨上にコック+上にヒッチ
【上にコック+上にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
上方向にコックをした勢いで、そのまま上方向に大きくヒッチをします。 pic.twitter.com/3a1e8Ph1mR
⑩下にコック+下にヒッチ
【下にコック+下にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
下方向にコックをした勢いで、そのまま下方向に大きくヒッチをします。 pic.twitter.com/GKes9Q6fov
⑪上にコック+下にコック+下にヒッチ
【上にコック+下にコック+下にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
上方向にコックをしてから下方向にコックをして、その勢いでそのまま下方向に大きくヒッチをします。
計3つも入れれば、反動をかなり大きくすることができます。 pic.twitter.com/pyLQScwtpx
⑫下にコック+上にコック+上にヒッチ
【下にコック+上にコック+上にヒッチ】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
下方向にコックをしてから上方向にコックをして、その勢いでそのまま上方向に大きくヒッチをします。 pic.twitter.com/pxFxG1TE9J
+α 順横サーブのグリップで巻き込み
【グリップを変える】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
ヒッチとコック以外にも、サーブのバリエーションを増やす方法はいろいろあるでしょう。
順横回転サーブのときのグリップで巻き込みサーブを出すのもひとつのやり方です。#劉詩雯 選手が、このタイプの巻き込みサーブを使います。 pic.twitter.com/3apYf4D4K8
+α 順横サーブの構えから巻き込み
【構えを変える】
— 卓球哲学者 星名勇太@吉祥寺卓球倶楽部 (@TableTennisinst) March 29, 2021
構えの時点で巻き込みサーブだと悟られないことも大切です。
順横回転サーブの構え、グリップで、巻き込みサーブを出すのもひとつのやり方です。#丹羽孝希 選手は、順横の構えから順横と巻き込みの両方を出します。 pic.twitter.com/n0WRFaSnyg
まとめ
これらはあくまで一例です。
同じ「上にヒッチする巻き込みサーブ」でも、フォームは人それぞれで構いません。
ここでの例に無いヒッチとコックの組み合わせでも構いません。
全く別の方法でサーブの種類を増やしても構いません。
自由な発想で、サーブの種類を増やしてください。
「バックスイングが違っても、当て方が一緒だったら結局同じじゃん。」
と思う人もいるかもしれませんが、案外そんなこともありません。
バックスイングが違うことで、自分では同じ当て方をしていると思っていても、実は違う当て方をしていることもあります。
実際に当て方は同じでも、バックスイングが変われば、相手からの見やすさが変わることもあります。
わずかな違いが思わぬ効果を生むこともあるので、わずかな違いも良しとして、とにかくいろいろと試してみてください。
また、サーブの種類を増やし過ぎると、質を維持できません。
僕は別に試合に出たりはしないので、質を上げることなんて考えず、とにかくサーブが出せればそれで満足なので、10種類以上持っているわけです。
たぶん、試合で使えるものはひとつもありません。
なので、試合に出ることを考えれば、ある程度効くサーブだけを厳選する必要があります。
なので、アイデアはたくさんある中で、練習して、いろいろな相手に試して、使えそうなサーブだけを正式採用するという流れになるでしょう。
それで、メイン3種類+サブ3種類のように、サーブのラインナップが揃って来ればバッチリです。
ということで、ひとつのスイングでサーブを出せるようになっただけで満足せず、スイングの種類をどんどん増やしましょう。
そして、対戦相手次第で、一番効くものを選んでいきましょう。
この手法できっと、サーブが効く確率は上がっていくのではないでしょうか。
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