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21才の夏(4)

翔は尚希が女癖が悪く、優子の好意に甘えて、ずるずると高校時代から側を離れない事を知っていた。尚希は優子のキャバの同期の子にも手を出していて、その女の子には優子には言わないでくれと口止めしていた。優子は今でも尚希の側にいると緊張するんだと同僚の前で話した。しかし、優子の方から尚希に付き合って欲しいという事はなくて、尚希も複数の女性と交流を続けなながら、特定の子と付き合うのは避けつつ、独身を謳歌していた。翔は適当に要領良く生きる、二人に反発を抱いていたのである。

翔はクラブも経営していて、美人のホステスを何人も自由に扱う事ができた、自分の思う通りに動かせるのだ。優子も子飼いにすれば、自分の店で働かせようと考えていたのだ。その為には、尚希を優子とは違う道を歩かせる必要があった。翔は尚希に一次的に良い生活・想いをさせてやろうと考えた。翔の経営力があれば、一人の男を金持ちにする事なんて造作もない事であった。翔はクラブの綾という子を、尚希に近づけた。綾はスタイルも良く、美人で清潔感のある服装に、地味なメイクとホステスには見えない容姿をしていた。翔は綾の事を保健室の先生みたいだなと話した。

尚希は外車のディーラーをしていた、営業成績は良く、新人を教育するのも上手だった。先輩は良い加減、不良は辞めとけよと諭したが、後輩の受けは良くて、週末は女遊びに忙しかった。綾は後輩の子と知り合いで、当日飛び入りで、合コンに参加した。綾は目立つ子ではなかったが、言葉の使い方がとても上品で、立ち振る舞いが他の女性とは違って見えた。尚希に小学校の保健の先生をしていると嘘をついた、しかし翔の言う様に見た目からはクラブのホステスをしている様には見えなかったので、尚希も綾の言う事を信じてしまったのだ。

翔は綾に、自分から積極的に話しかけて、尚希の事をとにかく褒めろとアドバイスした。翔は、尚希がとても自尊心の高い男だと見抜いていた。褒められる事に優越感を感じて、綾が自分の事に気があると思う筈だと分析していた。そして綾に外車に興味がある事、今乗っている車を買い替えようと思っている事を伝える様にと語った。尚希は綾が自分の事を褒めてくれるので、悪い気も起こらず気分が良かった。車の事を相談されたので、来週末にでもうちの店に来れば良いよと声を掛けた。

翔は綾に尚希に付き合っている女性がいるか必ず確認してと伝えた、もし尚希が優子の事を持ち出したら、直ぐに合コンから抜ける様に指示を出した。しかし、もし付き合う女性がいないと言うなら、いつも店でしているサービスを尚希に見せてやるのだと伝えた。尚希の心のすきを直ぐについて、落とす事ができれば、やがて二人を思い通りに出来る筈だからと説明した。

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