拘束具のキオク(世界)
これは心理面接用のテキストである。Mさんに読んで欲しくて書いたものである。キオクの話なので断片的になるかもしれない。
意識が生まれたとき、はじめてのキオクは僕が眠っている。夢の中にいて目を閉じている。生き物の様に幻聴が聴こえる、幼い女の子の声でまだ眠ってていいよと言ってくる。やがてこの場所は自宅の近所にある片山商店ということに気付いて不思議な気持ちになるのだけど商店を営む夫婦は僕が大学生の時に自殺してしまう。僕はそのことをいつも気にして頭の中で幻聴をイメージしたことを思い出してしまう。
僕は小学生の頃子供みたいな拘束具と会話をしていた記憶がある、拘束具というのは幻聴のことである。生き物みたいに世界があるのである。悪いことを話したり聴いたりするし、実際に現実になって嫌な思いもした。片山商店夫婦の自殺もその一つである。
だから幻聴が他人へ影響を与えるものだし僕も影響を受けていた。悪いことが現実にならないように注意したし幻聴が病気だとは当時夢にも思わなかった、誰にでもあることでみんな怖くて黙っているだけだと考えていた、神経質にならないように対策していた。
拘束具のキオクは生まれる前の夢の中と生まれた後の現実を行ったり来たりする。
今僕は夢の中松下の家にいる。松下の家の拘束具になっている。拘束具は生き物に付いているものでどんな人間ににも存在すると信じていた。僕は何も話さずだまっている。夢を見ているように映像だけが時々見える、日本人がでてくる。とても断片的だ。松下であろう家の人、涙をながす女の人(カゲロウ)、花見をするために英霊塔に集まる人々、僕が墓に入るシーンもある四角い部屋にいて幻聴が現在と未来を行き来する。
僕と幻聴は友達みたいな関係になってくる。はじめは話を聞いているだけだったのがこちらからも話すようになって最後は僕が拘束具みたいになってくる。幻聴は生まれた後現実の世界で向き合うと病気と思うくらいひどいものだけど夢の中でも散々な目にあった。生まれる直前、拘束具から離れることがうれしかった。僕は生まれる前から夢の中で苦しんでいたのだ。生まれてからも拘束具に苦しめられるのだが幻聴の正体はさっぱりわからない正体不明の生き物、声がするように感じるだけだ。断片しか思い出さない夢の中だからかもしれない。
ここからMさんに触れる。夢の中の登場人物を紹介する。Mさん、Mさんの拘束具、夢の中の本人、もう1人の本人、幻聴と少し複雑だけど離れずについてきてほしい。
場所はデイケアだと思う。もう1人の本人とMさんに交流がある。夢の中の本人が黙ってみている。幻聴がぶつぶつなにかいっている。夢の中の本人はもう1人の本人とMさんに無関心だ。幻聴がうるさいので夢の中の本人はどうしたんだろうと思っている。途中からMさんの拘束具も出てくる、2つのタイプがある。何も言わずに無言のタイプと子供のように無邪気なのだ。夢の中の本人はもう1人の本人がMさんの事を好きなんだろうと思っている。夢の中の本人はMさんの拘束具を見て子供なのになと思ってしまう。場面が切り替わって松下の自宅、夢の中の本人がいる。Mさんの無言の拘束具があんたにすることにするとつぶやく夢の中の本人はなんのことかわからない。もう1人の本人が人は人殺しだ人は恐ろしいと言っていて夢の中の本人はどうにもならないなとあきらめてしまう。幻聴がいうにはもう1人の本人が本当のあなたよという。
話は変わって生まれた後の現実の世界、小学3年生くらい。小学生の頃には幻聴から色々聞かされた。デイケアの話や大学の話、卒業旅行でフランスに行く話、社会人の話。現実に将来おこることだった。
デイケアのメンバーが登場する。Mさん、Kさん、IWさん、Iさん。4人とも小学3年生の僕に質問する。印象に残っているのがMさんが伊達メガネの話なんかたのしいことを聞かれた気がする明るいイメージがある。Kさんは僕の性格を気にしている、静かな人ですねと言う、IWさんは小学校生活のことを聞いてくる、Iさんは家での生活・カップラーメンをもらおうと言うのが印象的。僕のことがわからないので質問する感じ。
幻聴が話すことで現実の僕が大変な思いをすることもあった、病気になったことが大きい、なるべくしてなった気がする。周囲の人が亡くなったり喧嘩をしたりして不幸になる事件も起きた。実際にいろいろなことが起こるんだけど現実の僕の力ではどうしようもなくて放っておくしかなかった。若い20代の頃までは幻聴の声に周囲の環境が連動するので現実の世界と思っていた。良い事悪い事にせよ病気と思わなかった。
大学の時は幻聴がいう登場人物が現実になって夢の中にいるみたい。社会人になっても幻聴の言う通りになるようだ。
幻聴が病気になったのが最近ですごい攻撃を受けてどうしていいかわからなくなる。それでデイケアのMさんに相談して幻聴ごとデイケアで面倒見てもらっている、デイケアから離れて僕と拘束具だけの関係になると攻撃がはじまり病気が再発する。
幻聴と周囲の環境が連動するときは僕も生活ができるが1人になろうとすると大変な目にあう、でもこれだけ色々いわれるとなぜだろうと意味づけしたくなるけど僕も50年幻聴と生きてきて理由なんてなにもないことがわかってしまった。おそらく亡くなるまで消えないだろうし別の次元にいかないと苦しみが消えることもないだろう。人間の力でどうにか出来るもんだいじゃない。