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FIREした理由⑥FIREのトリガー


リストラ

2015年ころにFIREという言葉を知り、その方法について調べてみたところ、FIREのための条件は、ほとんど既に私に備わっていて、もう少しの努力で達成可能であると分かりました。
あとはきっかけなのですが、20年以上同じ会社に勤めていて、それなりに責任のある仕事を任されていたため、なかなか一歩踏み出せない状況でした。

会社には早期退職制度があったのですが、対象年齢が50歳以上のため、5年以上も先のことでした。
自己都合で辞めても良いのですが、退職金が大幅に減らされるなど色々と不利な条件になっていたため、50歳まで我慢するしかないと半ば諦めかけていました。

そのような悶々とした気持ちで仕事をしていましたが、2018年前後に会社が大幅な事業再編を実施することになりました。
一部の事業を売却するという内容も含まれていて、社内は戦々恐々としてかなり雰囲気が悪くなっていきました。

私は人事部門だったため、組織改編の推進役を担うことになり、制度設計や社員説明などを担当しました。
しかし、会社が進めようとしている組織改編には、大義名分が感じられず、一部の事業と人員を切り捨てる、いわゆるリストラであるということに気づいていました。
そのように、会社の経営陣に対して反感を抱きながら、社員の生活を左右する施策を実施しなければならないという立場に置かれたことが、FIREを決意する大きなきっかけとなりました。

日本のサラリーマンは、長らく終身雇用に守られて安心して人生設計が出来ていましたが、それが既に崩壊していることに、我が事として直面しました。
FIREムーブメントの一つの目標である、組織や会社などに依存せずに経済的に自立するということの重要性を、身にしみて感じたからです。
幸い私自身は、FIRE可能な条件に近かったから良かったのですが、リストラのあおりを受ける会社の従業員を見ていると、やるせない気持ちになりました。

コロナ禍での変化

働き方の変化でFIREの準備

そのような精神的に辛いリストラ施策を進めていたのですが、2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが発生しました。
私はデスクワークが中心の職種だったため、リモートワークに移行し、業務の大半が在宅勤務となりました。
この時点で、私の組織改編の仕事はほぼ完了していて、いつでも会社を退職しても良い状況だったのですが、早期退職優遇制度が適用される50歳までまだ数年足りません。

その当時私は、一つの子会社の管理を任され、自分の裁量で仕事を出来る立場だったため、在宅勤務になったことによって、かなり時間的に余裕が生まれました。
往復2時間かかっていた通勤時間が無くなり、また、そのころの仕事内容は、一日3、4時間あれば片付く程度のものになっていました。
もちろん、一日8時間きちんと拘束はされますが、仕事で成果が出ていれば、時間の使い方は裁量に任されるため、1日の半分は自由時間になったようなものでした。
その空いた時間を使い、FIREに関する情報収集と準備を密かに進めることが出来ました。

また、時間的に余裕が出来たため、それまであまり出来ていなかった運動をするようになり、体力的にもメンタル面でも充実していきました。
こういった仕事と生活を見直し、体力や精神力を高めることが出来たおかげで、「夢想」や「逃避願望」に過ぎなかった早期退職が、「経済的自由を手に入れて自己実現を図る」というFIREへと昇華して行きました。

支出の抑制

そして、コロナ禍ではもう一点、支出の抑制という変化がありました。
人流がストップし、飲食店などは大きな損失を被りましたが、私の場合もともと気の進まない飲み会に出るのは嫌だったので、無駄な夜の付き合いが減ったのは勿怪の幸いでした。
飲み会のメリットはたくさんあると思いますが、私の場合40歳を過ぎたころから胃や肝臓が少し弱っていたので、健康面でも無駄な飲み会が減ったのは良かったと考えています。
もちろん、無駄な支出が減ったというのは、FIREに向けた大きなメリットとなりました。

また、私は元々料理が好きだったのですが、忙しさにかまけて、社会人になってからはほとんど自炊をしていませんでした。
しかし、コロナ禍で外食を避ける風潮が出たため、自炊を再開しました。
飲食店の原価率は約30%と言われていますが、私が食事をほとんど自炊に切り替えたところ、食費は70%減とまではいかないですが、半分以下には減っています。
また、お酒はほとんど家飲みをするようになったため、これも外で飲むのと比べ酒代は半分以下に減っていると思います。
このように無駄な飲み会が減ったことと、外食から自炊に切り替えたことが、支出を抑制するというFIREの条件に資することに繋がりました。

コロナショック前後の資産状況

20代のころから様々な金融商品に手を出し、大損したこともあれば儲けもあり、一進一退でしたが、長年継続してきたおかげで、40歳を過ぎたころにはそこそこの資産価値になっていました。
しかし、FIREの最低条件の「年間必要支出の25倍」にはまだまだ届かない状況でした。

そのような中、新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年前半に株式などが大暴落しました。
その時、私の金融資産もかなりダメージを受けましたが、以前リーマンショックなども経験していたおかげで、割と客観的に落ち着いた行動をとることが出来ました。

一部の株が暴落傾向にあったので、しばらく回復の見込みがないだろうと思った航空、飲食、小売り系の株や、ホテルREITなどを売却し現金化しました。
その後、暴落していた株を、高配当株を中心に物色して購入したところ、金融緩和や政府の補助金によって株価が上昇していく流れに乗ることが出来ました。
その時に買った株の含み益と高配当利回りによって、FIREを数年早められる見通しが立ちました。
具体的にどのようなものに投資したかは別途書こうと思います。

FIRE実現に向けて

2018年以降の会社のリストラ策の推進と、新型コロナの影響による環境の大きな変化、投資環境の好転により、私自身はFIREに向けて大きく動き出しました。
元々は、50歳過ぎくらいに早期退職して、あとはのんびり過ごそうと考えていただけでしたが、退職を前倒しして、50歳を待たずにFIREを実現する可能性が大きく増したのです。
コロナ禍は辛く苦しい経験でしたが、災い転じて福と為すで、私の場合、資産面でもFIREに向けて前進することが出来ました。

そして2023年、FIREすることになりました。

チューリップ。かつてオランダで「バブル」を生んだ花。

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