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電遊詩人

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真名哲也が2001年にスタート直後のau公式サイト向けに提供していたデジタルポエム企画『電遊詩人』の中から代表作を紹介。 横10文字×縦10,20,30文字の3種の定型詩は「p…
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#旅

天空の巨人

size:medium 遠い南の島で見た 夜空に輝くオリオンと 再会したのは故郷の町 少年時代 星座と神話に 魅せられて 何度も通った展望台を 帰郷の折に訪れた 何十年の時を超え 何万キロを旅しても 変わらぬ姿と 変わらぬ距離で 天空の巨人は 南の空に輝いている >>next

メコンの夕陽

size:small 地球の未来を思う時 メコンの夕陽が 目に浮かぶ 大河山野を前景に 空を橙色に染め上げる 多分僕らが滅びても あの絵は永久に 変わらない >> next

小さな地球

size:small 2分前に 異国の友から 届いたメール 1分前に 返事を打ったら 10秒前に 再リターン 地球は随分 小さくなって 友達の輪は 大きくなった >> next

コトバの川に栄える文明

size:long 何処からか湧き出た 無数の呟きが 絶えることなく流れる タイムラインという コトバの川 黄河 インダス エジプト メソポタミア 人類最古の文明は 大河のほとりに 栄えたが デジタル世界の 新たな川辺に いかなる文明が 育つのだろう? >> next

砂漠で見る夢

size:long 乾いた砂漠を 独り行く 旅の男が夢を見た 砂地に咲いた 可憐な花の 蜜に群がる蝶の群れ 色とりどりに 天に舞うと やがて輝く星になる 深まる夜の闇の中 無数の星は川となり 大地に向けて流れ出す 静かに眠る旅の男が 目覚める頃 砂漠に現る オアシスの泉 >> next

まぶたの裏の水平線

size:medium 旅した先なら たやすく見えた 水平線が 街に戻ると 少しも見えない でも僕は知っている 目をつぶって 深呼吸を繰り返せば まぶたの裏に甦る 水平線があることを 眼球という もうひとつの 内なる地球を 独り静かに 今日も旅する >> next

虹の伝説

size:medium かつて 選ばれし者のみ 虹が見えるという 不思議な島に行った 空と海の青は眩しく 原色の花々は 美しかったが 虹を見ることは できなかった 君をなくして 再訪したその島で 今度は綺麗な虹を見た 胸の傷に沁みる涙が 心に虹を架けるという 伝説を聞いた >> next

砂上の楼閣

size:medium 人影の消えた 浜辺に残る砂の城 波打ち際に建つが故に 満潮の波に侵略を許し 次第にその姿を 消して行く 手にした栄光 築いた財産 叶えた夢… 思えばそれらも 砂上の楼閣 いつしか崩れて 無へと帰す 残るは波音ばかりなり >>next

ハマヒルガオ

size:small 陽光の下で 潮風に吹かれ 波音を聴きながら 見る者全てを和ませる 南国の砂浜に咲く 可憐なハマヒルガオよ 君のように暮らしたい >>next

不変の時を生きる

size:medium クジラたちよ 同じ哺乳類に属し 同じ星に生まれ 同じ時代を生きながら なぜ君たちは 不変の姿を受容し 不変のリズムで旅重ね 不変の時を生きるのだ 海から陸への進化の道 そこを戻れば見える 世界があるのかい? >>next

君と僕の間の関係

size:medium 割り切れない事が多い リアルな世界に比べて 0と1で成り立つ デジタル空間は 明確でいいよね 君と僕の間の関係と 別の誰かとの違う関係 たとえそれらを無数に 重ねたところで 総和はいつも 2で割り切れるから >>next

楽観的な未来

size:medium まだ見ぬ国の 見知らぬ人々と ひとつに繋がっている 確かな実感 何者にも縛られず 孤高に存在する 心地良い浮遊感 都市から遠く離れ その身を南国の海に 浸してこそわかる インターネット空間の 楽観的な未来 電脳の海も広く青い >>next

もうひとつの宇宙

size:medium 無限に広がる 電子ネットワークは 僕らを包む もうひとつの宇宙 ならばそこに輝く 星々を作ってみよう 心に浮かぶコトバで 織り成す呟きの詩が 何かの引力で 繋がった君の 眼前のディスプレイで きらめくといいのだが >> next

sub:電遊詩人

size:long 嵐が近いのか? 薄暗い空に 信号のごとく点滅する 「0」と「1」の光 吹き付ける風に混じる 微かなノイズ… 昨日は 静かな一日だった 足元に寄せる波と 頭脳に響く電波は 共に穏やかで 掌のアンテナが 常に3本立っていた 自らこの世界を 目指したのか? 気付けば 迷い込んでいたのか? それさえ今は 忘れてしまった 電脳の大地 吟唱と共に 旅を先へと進めよう >> next