090.キャンドルライトの向こう側
2003.11.4
【連載小説90/260】
珍しく深夜にこの手記を入力している。
僕が暮らす小さな小屋の窓からは月光が射しこんでいるが、仕事をするには明かりが必要で、デスクの上にキャンドルを置いている。
お気に入りのキャンドルは、半分に割った椰子の実にトランスアイランド産のヤシ油を原料とする蝋を流し込んだもので、パームキャンドルと呼んでいる。
島内各戸のナイトライフの明かりは、ソーラー充電式ライトが主流だが、こと執筆作業や読書時の灯火には微風で揺れるキャンドルの炎が