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「たびのくま」の想い

「たびのくま」代表の増本眞美さんとは、「楽々テラス」さんでお料理されている時に知り合いました。後日あらためてお会いし、人と人を繋げる活動や、そこにある想いをお聞きしてきました。ぜひ読んでみてください。

大野:いつもお料理をされている姿をお見かけしていたから、てっきり料理研究家の方かなと思っていました。イベンターなんですね。
眞美:さすらいのイベンターです(笑) 料理は、eumo加盟店でもある「佐々木ファーム」のお野菜や、「ゆいのたまごハコニワファーム」の卵などを、多くの方に味わってほしい、知ってほしいという思いで始めたことなのです。
大野:お塩だけの味付けとか、シンプルなお料理が多かったのは、そういうコンセプトがあったからなのですね。実際、塩加減が絶妙だったりして美味しかったです。ではそのために調理師免許を取られたのですか?
眞美:いえ、私は薬剤師免許を持っているのですが、薬剤師免許があれば食品衛生管理者資格は得られるんです。 料理は今教室に通っています。ちょっと変わった料理教室で、「あなたの好きな味付けは何なのかを知り、究めていきましょう」っていうコンセプトなんです。自分の感覚を大事にしなさいよっていうのが教えの根幹にあります。
大野:それって大事なことかもしれませんね。
眞美:そう。1年ほど前から、「宙札(そらふだ)」っていう、オラクルカードを使う占いをしています。カードを引いてもらうのですが、そこに描かれた絵とか文字って、ちゃんとその人の気づきのキッカケになるものが出てくるのです。そういうものなんですよ。誰もがそういう感覚は持っているものだと思っていて。自分の持っている感覚を大事にしてほしいと思っています。

大野:そのあたりのお話も、もう少しうかがいたいのですが、その前に、eumoや佐々木ファームさんとのお付き合いのきっかけなど、教えていただけますか。
眞美:東日本大震災の時に、私は「ふんばろう東日本支援プロジェクト」に関わっていて、そこで西條剛央さんを知りました。西條さんは今「EMS(エッセンシャルマネジメントスクール)」の代表をされています。 2015年に西條さんと、新井和宏さんの新刊の出版時期が偶然重なったことがあって。合同で出版記念講演会が開かれました。その会場で新井さんのことを知ったのです。そこからの流れで佐々木ファームのことも知り、「ありがとう会員」になりました。
大野:EMSって、アプリにコインがありますね。
眞美:はい。EMSのスクールコインが「ems(エムス)」です。主にEMSの卒業生の間で流通しているコインで、私はコミュニティマネージャーをしているんですよ。設計の段階では関わっていなかったのですが、これからもっと積極的に関わっていきたいと考えています。

大野:ところで、先ほどちょっと話が出ましたが、前職は薬剤師だったのですか?
眞美:大学は薬学部だったのですが、入ってみて、わたし薬が嫌いだって気づいたんですよ(笑) それで臨床検査技師になって、長く病院で働いていました。 でもあるとき、予防医学にも興味があったので、病院を辞めて町の薬局に勤めてみたことがあって。そうしたら、あらみなさん、身体の調子が悪かったらすぐに薬飲んで治しちゃおうとか、それって本質的なことはどうでもいいのですね、と気づかされました(笑)
大野:そして今はイベンターとして人と人を繋げる活動をされていると。
眞美:そうですね。いろんなコミュニティと関わっていますが、eumo加盟店でもある「一般社団法人Ecological Memes」のコンセプトがいちばん私に合っているんです。代表理事の小林泰紘さんは、不耕起、無施肥、無農薬の協生農法を実践されている方です。 私も畑や森の整備に行ったりしたことがあるのですが、自然を相手に動いたら、人ってもっと楽になるのにな、って思います。 先ほどの占いの話にも通じるのですが、世の中には、頭で考えて苦しい思いをしている人が多いです。でも自然のなかで過ごしたり、畑仕事をするなどして、実際に身体を動かせば、みんなもっと楽に生きられるんじゃないかと思っています。 たとえばイライラしてしまうのは、相手のせいじゃなくて、自分に力が入っているだけだと思いますが、自然に入ると、そういう余計な力が取れるんですよ。なぜなら命は生かされているから。そうやってみんなが楽になれば、世界平和にも繋がるんじゃないかな。

大野:「命は生かされている」っていうのは、病院に勤めていた頃に、何かそう感じるキッカケがあったのでしょうか?
眞美:最初はもっとずっと前ですね。谷川俊太郎の「祈り」っていう詩を10代の頃に読んで、すごく共感したことがあります。そこでは、人間が傲慢すぎるっていうようなことを言っているのですが、そういう風に思っていたんですよね、私も。 この詩では、人間は命の歓喜のために生まれてきたんじゃないかって、言っています。 地球上の生命には、細菌の頃からずっと続いている大きな流れがあって、その流れのなかで命の歓喜のために生まれてきたのに、主張の違いで対立したり、戦ったりするのは違うんじゃないかっていう詩なんですよ。
大野:では、ずっとその想いを軸に活動されてきたということですか。
眞美:はい。でももうひとつ、私が臨床(治験)コーディネーターをやっていたときに、ひとつ大きく気づいたことがあります。 新薬の治験をする対象の方って、治療法がないから、つまり難病なんですよね。でもその人たちと実際にふれあってみると、その人たちは病気のことを、それほど苦に感じていなかったんですよ。私に本をくれたりとか、逆に気遣ってくれたりして、なんていうか、普通にやさしい人たちなんです。 だから病気自体が不幸なんじゃなくて、それを苦に思うことが不幸なんだなって気付きました。苦に思う人は、普通の生活をしていても、それを苦に思うだろうし。 もちろん普通の生活を送れているわけではないけれど、その方たちは、ずっとそればかりを気にしているわけじゃない。置かれた状況のなかで、人にできることをやっているっていうことに、すごく感動したんですよね。 それって、変に力を入れなければ幸せだって話したことと、根っこは一緒なんです。

大野:では最後に、今後の活動について考えていることなどあれば教えてください。
眞美:「Ecological Memes」や「EMS」、「手放す経営ラボ」、「eumo」等に、重複して参加していたり、関わっているのって、私だけじゃなくて、けっこうたくさんいますよね。その理由は、どのコミュニティも、この社会をちょっとでも良くしていこうっていう、同じような方向を目指しているからだと思います。だから、そこをお互いが感じていって、共有出来たらいいなと思っていて。間を繋いでいくことで、共感や理解を深めていく活動をしていきたいのです。
大野:社会全体から見れば、どのコミュニティも決して大きくはないですものね。
眞美:そう。少数派なのは、実験という要素もあるからですよね。世の中、出来上がった答えを知りたい人が大方だから。
大野:たしかにそうかもしれませんね。

ー取材を終えてー さまざまな分野を学び、そして活動されている眞美さんですが、軸にあるのは、本来生かされているはずの人と自然、そして人と人との付き合い方が、もっと平和になればという願いなのだと知りました。眞美さん、ありがとうございました!

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