論語とそろばん

「論語とそろばん」セミナー2020   2020/01/18

セミナー1
P・Fドラッカーと日本―渋沢栄一、明治維新、日本美術  井坂康志氏

このセミナーは「渋澤ドラッカー研究会」の井坂さんの講演から始まりました。内容はドラッカーから見た渋沢栄一でした。

ドラッカー(1909-2005)は第一次世界大戦、第二次世界大戦を経験されています。ヒトラー支配下のドイツで焚書を経験し、アメリカに渡りました。
ドラッカーは‘現実の観察者’で、極端な合理主義を嫌いました。「これだけが正しい」という万能薬は存在しないという考え方です。
また、「大事なのは社会」とし、お寺、神社、商店街のような人のつながりに価値を認めていました。
渋い(=精神的な深みのある)水墨画、禅画を好み、1959年に初来日されました。「正気を取り戻し、世界への視野を正すために私は日本画を見る」という言葉を残されています。
収集された日本画は現在、千葉市美術館に寄託されています。
昨年、千葉市美術館でドラッカー・コレクション展が開催され、渋澤ドラッカー研究会の仲間たちと共に鑑賞しました。観ていると中に入り込んで行けるような絵が多かった事が印象的でした。

渋沢栄一(1840-1931)は明治維新後、新政府に入って経済官僚として活躍、明治6年(1873年)に政府を辞めて実業家に転身され、福祉の仕組みの基礎にも関与されました。
「官尊民卑の幣止まず」という言葉を残しています。

ドラッカーは自らを社会生態学者という言葉で表現しています。それは社会を生き物のように見ることです。
明治時代における渋沢栄一の活躍を高く評価し、(1)教育の重視、(2)文化の独立、(3)人材の活用、この要因を体現するのが渋沢栄一であると、2005年のNHKスペシャル「明治」の中でおっしゃっていたとのことです。


セミナー2:アダム・スミスと渋沢栄一の思想からみた今後の資本主義  堂目卓生氏

次は、アダム・スミスを研究されている堂目氏による講演です。
堂目氏は思考法におけるスミスと渋沢の共通点を4点にまとめました。
1.人間の賢明さと弱さの両方を認める(寛容な人間観)
2.人と人とのつながりを重んじる(人間関係の重視)
3.何事もバランスを重んじる(中庸の精神)
4.「弱者」(貧者)に目を向ける(経世済民の思想)

堂目氏は、
・「弱者」と呼ばれる人びとを中心に置き、「弱者」と向き合うことで「命の輝き」に共感し、自身の中にある「弱さ」(心の壁)から解放される社会
・市場原理を活用した自由な生産、交換、消費によって、「命の手段」(財とサービス)が人びとに行き渡る社会
を構想し、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)を構想の場とされています。その場の理念は「命を大切にし、一人一人が輝く社会」です。

私はエッセンシャルマネジメントスクールで本質行動学を学んでいます。堂目氏の社会構想に共感出来るので、同じような事を構想し実現のための場を創られているので安心しました。


経営者インタビュー:「論語と算盤と経営」 講師:朝倉祐介氏  聞き手:守屋淳氏

朝倉氏はシニフィアン株式会社共同代表で、社会課題の解決に向けた事業の確立と後世に残すべき新たな産業の創出をテーマに、未上場スタートアップ、新興上場企業に対する経営支援事業、並びに産業金融事業を行っています。

一緒に行った方のnoteに詳細かつ興味深いレポートがあり、下にリンクします。


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