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八丈島でマグロを狙う旅 -八丈島の釣りの基本はムロアジ-

今回八丈島では泳がせ釣りでマグロやカンパチなどの大型魚を狙った訳だが、今まで餌釣りをしっかりやってきて良かったと思う出来事があった。

何を狙うにしても泳がせ釣りの餌にするのはムロアジやショゴ(カンパチの子供)で、それらが釣れない時はスズメダイやオヤビッチャを使う事もある。スズメダイやオヤビッチャは居ついているので群がいないという事はないがムロアジやショゴに関しては釣れない時は全く釣れない。

 私は釣行初日の早朝ムロアジが一匹しか釣れなくて、そいつが弱る前に泳がせたら90分後にカンパチが食ったので大変幸運だったが、なかなか一匹のムロアジがカンパチに化ける事は少ない。その後もムロアジの確保が難しくて釣行二日目までは何とかムロアジやショゴを手に入れる事ができたが、釣行三日目にはついにムロアジを入手する事ができなかった。

しかし島の釣り人は私がムロアジを釣る事ができなかった日にも何とか三匹のムロアジを釣り上げているし、それを元気に保管し良い状態で再度海に放って泳がせている。

これはサビキの技術の差でもある。サビキは初級の釣りと思われがちだがそれは魚の食いが立っている時に簡単だと感じるだけで、魚がいるのに食わない時どのように工夫するかが技術なのだ。

八丈島の場合は海の透明度が高いから群が来ているのに食わない時もその様子を視認する事ができるので、次々にサビキ針の色や素材、サイズを換えて食いのいい仕掛けを探すが、東京湾など透明度が低い海に慣れている私は想像するしかない釣りの経験が豊富なのだ。

見えないし釣れない場所で試行錯誤してきた経験が見える海で泳がせる餌をなんとか確保する事に繋がったが、餌釣りの経験値が高くないと餌の確保は難しい。つまりそれは泳がせ釣りにならないという事。

 ルアーの技術は非常に重要で自分はそれが足りていないのが大きな問題だが、餌釣りの技術がないルアーマンも同様に問題で、局面によってルアー以外の釣りに移行できないと釣果に直結する。八丈島で泳がせ釣りをしたいのであればサビキの技術が問われる。ファミリーフィッシングのイメージが強いサビキはマグロやカンパチを狙う上では一丁目一番地の釣りなのだ。
 
しかし最終目的の魚はムロアジではないのでサビキの技術があるだけでもダメで、次の段階として釣ったムロアジを泳がせる瞬間まで健康な状態で保管する技術や知識も大切になる。私にはそれがなくて何匹も貴重なムロアジを死なせてしまった。

 島の人は生簀を作って釣ったムロアジを海の中で管理し、水温の調整、酸素補給の徹底を行うなどして泳がせ釣りの現場まで運んでいる。泳がせ釣りをする現場でムロアジが釣れるとも限らないのでこの様な知恵を身に付けたのだろう。

勿論島外の人間が生簀まで自作して持ってくるという発想はないしこの時点で島の人との釣りの差が出てしまうのだ。我々はそれを補うために足を使う。ムロアジが一人二匹確保できれば欲を出さずに泳がせの釣り場に直行し、早い段階でクーラーの中のムロアジを少なくする。

クーラーのサイズによって元気に活かしておけるムロアジの数も変わってくるので、欲張らない事、小まめにムロアジの健康状態を確認する事、死んだムロアジはすぐに取り出すなどが大切になる。

ムロアジ釣り場と泳がせ釣り場を何往復もする事で生簀を持つ地元の人とのハンディキャップを埋めようとしていた。

八丈島の釣り人が言っていた事で一番心に刺さったのは『八丈島の釣りの基本はムロアジ釣り』という言葉だ。サビキの技術と魚を保管する知識が大型の魚に直結する。つまりムロアジこそが大魚への切符なのだ。




◾️ネットラヂオ『旅の鳴る木』

私が釣りを始めたきっかけは八丈島の底土キャンプ場でのある経験にある。それから4年間ひたすら釣りを探究する旅を続けてきてついに釣り人として八丈島に舞い戻った。私が八丈島にこだわる理由、そしてこの島の魅力とは?

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