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八丈島でマグロを狙う旅 -本質や真実は見た目に表れるばかりではない-

ショアからのキハダマグロを狙った八丈島遠征もカンパチ一本に終わり帰路は複雑な心境にあった。たくさんの素敵な出会いがあったし、自分のタックルがマグロにも耐えられるとお墨付きをもらえた事も嬉しかった。

カンパチしか釣れなかったがこういったステップを踏んでキハダマグロに近付いていくのだと考えれば、今回の遠征には非常に大きな意味はあったがそれでも目的のキハダマグロが釣れなかった事には落胆している。

しかもカンパチも何本と釣れていればもう少しこの消化不良感も解消できたかも知れないが、初日の一流し目でカンパチが釣れそれが最初で最後のまともな釣果になるとは思ってはいなかった。
 
何日も保管しておくのもなんだし今回大変お世話になった方と一緒にカンパチは食べたのでそれは良かったと思っている。ただできればお土産の魚もほしかったところだ。

帰りの飛行機は手ぶら。「八丈島に来れば大魚が釣れる!」と勘違いしてやってくる旅行者によくある姿なのだろうが、一応私は釣っているのにその後が続かなかったために結局手ぶらで帰るのは残念だ。
 
羽田空港のターンテーブルで自分の荷物を待っていると釣り人らしきグループと遭遇した。道具からして船釣りの人々だが皆さん大変陽に焼けていて、八丈島での長い闘いを思わせる肌色を見ていると戦友の様な気持ちになる。

釣り人の荷物は特殊なので彼らや私の荷物が流れてくる度に子供達が『ねぇねぇ!あれは何?』なんて親に尋ねているのだが、空港職員が発泡スチロールに入った魚を持って来て『魚をお預けの方ー!』と叫んだ瞬間に『凄い!あんな大きな魚が釣れたんだ!』と子供達がざわつき始めた。
 
アサギクなど八丈島の船宿に頼んで沖で釣ればかなりの高確率でカンパチは釣れているし釣果を東京に持って帰ってきたのだろう。「私もあれがしたかったんだよなー」なんてぼんやり眺めていると子供達がこちらを眺めているのに気付き突然私は恐怖を感じてしまった!
 
もしかして「あの人は八丈島で魚が釣れなかったんだね...」なんて思っているのでは?!子供達のじっとりした眼差しに耐え切れなくなった私は、既に全ての荷物が到着しているのに魚の入った発布スチロールでも待っているかのようにその場に残り子供達が去るのを待った。

子供達よ、大人になれば分かるが本質や真実は見た目に表れるばかりではないんだぜ!

船釣りの彼らの発布スチロールの中身も勝手にカンパチだと思い込んでいるが大量の明日葉である可能性も否定できない。恐らく子供達は羽田空港のターンテーブルで勝者と敗者を分けたのかも知れないが、君たちが敗者と誤認した私はしっかり八丈島でカンパチは釣っている!全く証明できないだけで。

世の中を知るには時間がかかるのさ。

そんなあまりに下らない事を考えつつの帰宅となった。




◾️ネットラヂオ『旅の鳴る木』

私が釣りを始めたきっかけは八丈島の底土キャンプ場でのある経験にある。それから4年間ひたすら釣りを探究する旅を続けてきてついに釣り人として八丈島に舞い戻った。私が八丈島にこだわる理由、そしてこの島の魅力とは?

旅ラヂオ、ぜひ聴いてみて下さい!

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