見出し画像

ついて な い

ガチャっと開けてホッとする
毎回ドキドキ ハラハラしていた

「あと何分?!」シリーズの最終回です。
今回はグロい表現があるので苦手な方は飛ばしてください。
わけあって出稼ぎ仕事をしていたあの頃の話です。

2週間に1度ほど新幹線のトイレ担当になった。
係名は「べんせん」便洗。1列車に4名の配置でした。
F便フロント、C便センター、G便グリーン車、B便バック

列車トイレnote

FCBは1つ目の車両にあるトイレの
♂用1、共用2、洗面台1or2を約3分15秒以内で仕上げ、
隣の清掃作業中のトイレ無し車両内を小走りで通り抜ける。
その際は必ず「通りま~す!!」と声掛けし、10秒以内で移動。
3つ目の車両で同じ様に3分15秒以内でまた仕上げる。
だいたいこんな時間配分だと間に合う感じだった。

素早く仕上げるための順番がある。
まず♂用で水流確認、便器、手洗い器、床
次に共用1つ目はゴミ、便器、クリーナーと
ペーパーの補充、手洗い器、床。
共有トイレ2つ目も同様。そして洗面台では
石鹸の補充や洗面ボール、鏡を磨く、カーテンを整え床掃除。
移動して2カ所目へ。

トイレ掃除

G便の1つ目は他と同じだけど、2つ目が
オストメイト対応のある(人工肛門や人工膀胱用の水栓器)
多目的トイレなので広い。
中には知らずにその水栓器で手や顔を洗ってしまう人もいる模様。

作業はこの一連の流れがスムーズに済むことは少ない。
初っ端から♂用から出て来ない男がいたり
♂用便器に大があったり
共用トイレの壁面まで飛び散っていたり
ブツがでかすぎて流れず詰まっていたり
髭剃りや散髪?で洗面台が毛だらけだった事もあった。

画像4

同僚が便洗の時は洗面台が嘔吐物でタプタプだったらしい。
で、間に合ったの?どうやったの?と聞くと
ゴム手袋を2重にした上にビニール袋を
バケツ代わりにすくったそうだ。
いや~地獄ですね・・・
彼女はそこの処理に専念してあとはチーフがヘルプしたそうだ。
どうしようと焦っていても時間は止まってはくれない
大事なのは、自分で処理しきれないと思ったら
誰かに助けを求めること。

画像4

大雪などダイヤが乱れて押せ押せ状態な時は
とにかく到着した順に作業をするので
次は何番線かさえ直前まで分からない。
だから連絡放送に耳をそばだて、
モグラのようにホーム下から顔を出し様子をうかがう。
そんな時はトイレも安心して行けない。
通路も階段もホームも人でごった返している中を
用具を担いで移動するにも時間がかかる。

そんな中、ホームで乗車待ちのオジサンの文句が聞こえた。
「あーあ、まったくいいかげんな掃除だな」
「カバーも変えないのか!ちゃんと仕事しろよ」
運行ダイヤが押せ押せで詰まっている時は
乗客を待たせないよう遅れを取り戻すために
清掃作業も簡略の指示が出ます。
目に付いたゴミの収取とイスの回転
モタレ(カバー)は汚れやシワが気になった物しか交換しません。

この寒い中を長時間待たされるより
早く乗って目的地に行きたいと思わないのかな?
いつなんどきでも快適なサービスを当たり前と求める人もいるんだな。
運休にならなかっただけ良かったと思わんかい?
時刻表なんてあってないような国々も多いだろうに。
最近は悪天候の場合に予め運休措置にするから本当に良かったと思う。
無理して途中で立ち往生なんて疲れるからね。

ペンギンnote


ある日、作業するはずの列車が回送になってしまった。
座席に座ったまま亡くなっていた人がいたという。
そういう場合は検死が入るのでそのまま車庫行きです。

そんな時に横にいた先輩が
「昔、閉まったままのグリーン車のトイレをこじ開けたら
ぶら下がっていたんだって」
えー!私、今日G便なんですけど!

宝くじも当たらない私はそこまでの現場にも当たらなかったので
ウンがついていなくて運がいい、そんな感じでした。
思い出せば他にも色々あったけれど、今年も押し迫ってきたので
このシリーズは最終回にしたいと思います。
長々とお付き合いくださりありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?