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エサを探しに山を下りて来るのは熊だけではなかった

知り合いのおじさんが巻き込まれた話をします。

おじさんが赤信号で車を止めたら、ストンと変な感じにエンジンが止まり
青信号でアクセルを踏んでも動かず走行車線で困惑していると、
後ろの方から様子を見ていた車が少し先の道端に止まり、
中から緑の帽子を被った男の人が駆けつけて
「故障ですか、車を押しますよ」
「近くに修理してくれる所があるから搬送を頼みましょうか」
と親切に声を掛けてくれた。

2人で道の端へ軽自動車を押すのだが、何故か緑帽の男は凄い勢いで押す。
そして何故か男の車の方へ向かって押す。おじさんの車は
コツンと軽く男の車のバンパーに当たる。車の傷は分からない程度。
「あ~あたっちゃたな」と言う男の車には
奥さんと子供数人が同乗していた。
運搬依頼の電話をしている男に不安を覚えたおじさんは
保険会社の担当に電話をして直ぐに来てもらえることになった。

男の知り合いの運搬修理業者は、実は近くではなく
隣の県の山の中腹にある遠距離だった。
もし頼んでいたら運搬代を高く請求されただろう。
自分で当てておいてコツンの傷も好きなように修理されただろう。
案の定その後それだけではなく、何と
同乗者のムチ打ち症状の慰謝料まで請求してきたのだ。

不景気なると当たり屋がたまに出没するが、
オレオレ詐欺が色々なバージョンで仕掛けるように
仲間や家族がグルになった当たり屋の変形型のようだ。
幸いおじさんは保険会社の迅速な処理で事無きを得て胸を撫で下ろした。

エサを探しに山を下りてくるのは熊だけじゃなかった。
親切なフリをして気弱なカモを探しに通ってくる悪い奴もいる。
山里の田舎だから皆が親切だと思っていてはダメ。
事件は都会だけじゃあないからね。
そういえば私が都会から田舎に越して来た頃、
玄関に鍵をかけていることを笑われたことがあったな。
今では都会の方が防犯カメラが充実している分は安心なのかもね。

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