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【盛岡市】(1/2)冬来たる盛岡で「仮想・一人旅」気分で呑み歩き、老舗スナックで大先輩たちと歌った夜 2019年12月7日(土)

旅が大好きですが、家庭と仕事もありますので、そうそう旅に出ることができません。なので、時々「仮想・一人旅」を地元盛岡でしているという遊びの記録です。
注)こちら、2019年12月の記事になっています。


思い立ったら「仮想・一人旅」なのです

休日出勤していたら、急に一人で旅に出たくなりました。札幌、いや新潟も捨てがたい、京都は今年行ってないな。。。などと旅へと思いを馳せgoogle
mapを開いて、その札幌やら新潟やらのまちを仮想で歩き回ってみました。

ホテルは空いているか、移動手段はどうしようかとさらに思い巡らせます。が、すぐに「アホかオレは、こんなに仕事溜まって休日出勤してるのに旅どころじゃないだろ。仕事片付けなきゃ年末年始をゆっくり迎えられないだろ」と現実に戻り、ぱたぱたと仕事を再開したのでした。

しかしです、どこか出かけたい気持ちを消え去ることができなくなりました。
仕事どころではなくなり、早めに休日出勤を切り上げ家に帰り「ちょいと呑まなきゃならない事態になった」と家族に伝えて家を出ました。

そして、さも今さっきホテルに荷物を置いて、まだ明るいうちから旅先で一人呑みをはじめようというシチュエーションであると思い込むことにして、“仮想・一人旅”気分で盛岡のまちを呑み歩いてみることにしたのです。まあ、くだらない“ごっこ遊び”というものですが、自由になれると自分の心は浮き立ちました。

セルフ居酒屋の人気店、八幡界隈「晴れる屋 ひろき」でスタート

一軒目に訪れたのは八幡のやきとりの名店「菊すい(いつも「菊水」なのか「きく水」なのか「菊すい」なのかわからなくなります)のお隣に、今年の夏に新規開店した「晴れる家 ひろき」の暖簾をくぐります(「ひろき」は脱サラしてこの店をオープンさせたご主人の下の名前です)。

こちらの店の暖簾、八幡の老舗名店「水前寺」から贈られたものだとのことです。たしかに暖簾には「水前寺より」としっかり入っています。
なんでもご主人は「水前寺」に足繁く通っておられた縁もあり、「水前寺」の大将もいろいろ応援してくれたということでした。

15時オープン、ドリンクはセルフというシステムの個性的な店ですが、ご主人は至ってまともな方。勤め人時代はだいぶ呑み歩きがお好きだったらしく、市内飲食店のことには随分お詳しいのです。
で、飲食好きが高じて、定年退職前に早期で仕事を辞められ、店を出したととのこと。

ドリンクは黒ホッピーを氷なしで。片口に注いだキンミヤを、きんきんに冷えたジョッキに入れ、やはりキン冷えの黒ホッピーをどぼどぼ注ぎます。

堂々たるマグロ刺し
キク汁(キクはマダラの白子です)

ツマミは鮪刺しとキク汁としました。
午前中に軽く適当なものを口にしただけでエライ空腹だったのと、まるで1月厳寒期かのような冷え込みですっかり体が芯から冷え切っていたので、汁物を注文しました。

まず出された鮪は養殖のそれとはまったく別物の色合いと食感、味わい。これも鮮魚系にめっぽう強い「水前寺」と同じ仕入れでしょうか。

「キク汁」は、今から春を迎える真鱈の白子入りの塩ベースのもの。真鱈の身も入り、体が暖まる贅沢な一品でした。

呑みながら食べながら、ご主人と盛岡の飲食店について今のこと昔のことを話しました。
自家製塩辛を追加で注文し(たっぷりの肝が使われていて旨いのです)、これから上田通まで歩いて足を伸ばし、十数年ぶりに呑むのだという話をすると「お、では『トクちゃん』とかですか?」とご主人。

さすがわかってらっしゃいます。「トクちゃん」は上田通で一、二を争う名酒場。わたしは十数年前まで近くに住んでいたから、わりとよく足を運んでいた店です。

上田通は八幡から徒歩で40分程度、5-6kmは離れているでしょうか。中心市街地北側の文教地区・住宅街です。国立の岩手大学も近いので学生が多いエリアとなります。

黒ホッピーは外をお替わりし、鮪刺し、キク汁、塩辛で2000円ちょっと。滞在時間は1時間といったところでした。

上田通の名店「トクちゃん」で思い出話

やってきました、トクちゃん

二軒目「トクちゃん」までは、予定通り八幡から歩きました。
一軒知り合いのワインショップに立ち寄り時間調整をしつつ、中央病院前に「Nagasawa Coffee」の洒落た店舗を眺めつつ、「トクちゃん」が開店する17時半に店に到着です。
迎えてくれたご主人と女将さん、十数年ぶりにお邪魔したと話すと「すっかり齢をとったし、お客さんも変わったのよ」と笑顔で話されます。

生ビールを呑みつつ昔話をしました。景気が良かった時代、岩手大学の学生が溢れていた時代、不便だったけど心底楽しかった時代。
上田通にはもっともっと飲食店があり、年がら年中週末だろうとなかろうと日が暮れると会館(上田会館、八重洲会館)からは嬌声があがり、今はなくなった「光楽園」は学生たちが朝まで呑み、同じくなくなった「鳥信」は渋い焼鳥店、同様の「養老乃瀧」は激安呑み放題ができ、やはりなくなった「政」は小洒落た居酒屋だったがラーメンがとても美味しかった思い出があります。

そして「さわ」という喫茶店も好きでした。ハヤシライスが美味しい店で、呑んだ後に洋食を食べたり甘いものを食べたりした思い出の店。
ご主人と女将さんに聞いてみたが、今も営業しているかどうかはわからないとのことでした。

以前訪れていた時は刺身類と日本酒(昔から『よえもん』があります)だったのですが、この日はご主人が担当するやきとりをいただきます。皮、シロ、砂肝、ハツ、カシラを焼いてもらい、ちびちび「よえもん」を。

少しするとわたしより一回りぐらい年上の女性二人客が入ってきて、隣の席に座り女将さんと世間話をし始めます。

やきとりは小ぶりでどれもぱりっとかりりと焼けていて、塩が薄めでしみじみとした味わいが、なんだかどこか懐かしい昭和の味。
鮮度が良くジューシーでしっかりとした肉を使ったやきとり(焼鳥)もいいですが、良い意味で脂気の少ないものも、干物を食べているようで趣があります。

本シシャモ

本シシャモの干物もあるよ、とのことなので焼いてもらいます。
「しっかり干してるから、さっと炙っただけで美味しいですよ」と女将さん。
こちらも期待通りのしみじみと旨い。お隣二人客は本鮪のカマトロ刺しを美味しそうに食べていて、そちらもとても美味しそうだったが、わたしはやきとりとシシャモと昔話で十分でした。
「こういうのでいいんだよ」と満足し、グラスに少し残った「よえもん」をぐいっと空け会計をしました。

「トクちゃん」を後にし、上田通を街中に向かって歩いていると霙が強く降ってきました。
“仮想・一人旅”のわたしは、旅支度に抜けがあって傘を持っていなかったので「これはいかん」と中央病院前の屋根付きのバス停に逃げ込み、やってきたバスに乗って映画館通のど真ん中で降りたのでした。

(2/2へつづく)

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