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【青森県青森市】(2/2)初秋の青森市で「横丁」という素晴らしき酒場に出会って感激した夜。2022年9月3日(土)-4日(日)

「青森市旅行記」のつづきになります。


最高の酒場「横丁」の夜はつづく

田酒なみなみ

日本酒はこのように、おそらく一合はゆうに入るであろうタンブラーで提供されます(控えめに言ってサイコーです)。
ご主人に「受け皿にこぼすもっきりスタイルじゃないんですね?」と尋ねると、「だって、受け皿にこぼれた酒って呑みにくいじゃないですか」とご主人は笑いながら語るので、「たしかに、たしかに!」と力強く頷いてしまいました。

なんだか知りませんが、このタンブラーで呑むという新鮮な経験からか、酒がいつもより美味しくてペースが進んでしまいながら、ぐいぐいと呑んでいったのでした。

ホヤとミズ

さて、日本酒を「豊盃 特別純米生原酒」にチェンジします。「田酒」が地元青森市の銘酒ならば、こちらは弘前市の銘酒。しかし本当に青森も酒どころ。旨い酒がたくさんあります。日本酒好きには堪りません。

そして酒肴はホヤといきます。食感からするに、おそらく天然もの。青ミズ(ヤマトキホコリ)が添えられ、目にも美しいこと美しいこと。
ホヤの鮮烈な海の風味(なんと表現すれば良いのか、いつも迷う)は、臭みとしての磯の匂いではなく、清々しさを伴った心地良いもので、本当に酒とよく合います。

くいくいと酒が進みそうになるところでしたが、「コレ、わたしの」とホヤ至上主義のムスメに独占されてしまい、二口ほどしか味わうことができなかったです(妻は一口も味わえませんでした、、、)。

味噌おでん

今回の旅に際しいろいろ教えてくれた友人が、「ぜひ、おでんも食べてみてください」と言っていた「味噌おでん」は、こちらの地方独特の生姜味噌で味付けされたものとなります。
豆腐、こんにゃく、竹輪、さつま揚げ(のようなもの)に生姜味噌がかけられ、これもまた酒とよく合って、くいくいと呑み進んでしまいます。

身欠きニシン

身欠きニシンが出てきたところで、酒を同じ青森の八戸市の銘酒「八仙 芳醇超辛純米火入」を。キレのある酒に、味噌をなすりつけたニシンが合わないわけがないのです。
「青森ってさ、ニシン系の料理美味しいよね〜」と以前訪れた弘前市でニシンの旨さを知ったムスメがしみじみ語ります。
そうなのです、盛岡では日常あまり口にすることにないニシンですが、青森や北海道では日常の魚であり、貴重なタンパク源であり、酒肴なのであり、そしてとても旨いのであります。

岩手・盛岡も青森県と同じく北国ですが、少し足を伸ばせば普段口にしない食材を愉しめて嬉しい限りです。旅の醍醐味。

サラダそば

だいぶ満足してきたので、〆に一品ということで、そばサラダを注文し、三人で分けます。
で、食べていて、ここ「横丁」は蕎麦屋であることを思い出します。居酒屋のように呑み喰いしてきましたが、実は蕎麦屋であり、写真にはありませんが、店内には蕎麦打ち部屋が併設されていました。

蕎麦は香り高く喉越しよく、とても美味しかったです。清潔感溢れるこの店にぴったりな、品のある味わいの蕎麦でした。何から何まで、質の高い店。教えてくれた友人にも感謝です。
店を出る頃には店内ほぼ満席。我々意外に観光客らしき人の姿は見えず、地元に根付いた店なのだということがわかります。
次に青森市を訪れることがあったら、迷うことなく「横丁」の暖簾をくぐるでしょう。

癒しのバー「BAR Arrow」へ

BAR Arrow

「横丁」を出たわたしは、妻とムスメと別れて、一人青森のまちを歩きました。コロナ禍の地方都市、ここ青森も夜の人出はまだ戻っていないようで、ひと気はまばらで寂しいようでした。

「横丁」のあった駅前古川のあたりから東へ向かい、善知鳥神社近くにある「BAR Arrow」へたどり着きます。東日本大震災後に訪れて以来だから、もう10年ぐらい経つでしょうか。懐かしさを覚えながら、扉を開けます。

まずはジントニック

10年前の青森旅行は二泊三日で、何軒かオーセンティックバーを巡ったのですが、一番気に入ったのが、ここ「Arrow」でした。女性二人で経営する小さな小さなバーは、今回情報をくれた友人に、そのときも紹介されて訪れたのですが、とても落ち着いた雰囲気で、かつ気取ったところがまったくなくて、心から落ち着けて気に入ったのでした。

ジントニックをいただきつつ世間話をすると、「前にもいらしていただきましたよね」とわたしのことを憶えていてくれたようです。10年前にどんな話をしたか、あまり細かいことまでは憶えていないですが、記憶を辿りながら「Arrow」での時間を過ごします。

落ち着くカウンター席

まさに、癒しのバー、という言葉がぴったりとくる店です。カウンターに腰掛け酒を呑み、くだらない話をし、嫌なことは忘れ、どこそこの店が旨かった、なんて話を延々と続け、そうやって、日々の暮らしにこびりついた疲労をちょっとずつ薄めていくために存在するのが、バーだと思います。
ここ「Arrow」は、そんな存在そのものだと感じました。

ジントニックを呑み干したらダイキリをいただき、〆に4年くらい前に終売となっている「富士山麓 樽熟原酒50度」でウイスキー&ソーダを作ってもらいます。
バックバーにずらりと並ぶ「イチローズモルト」を眺めながら、心地良く酔いの深みにはまっていったのでした。

朝の市場で乾物をたくさん試食

旅先ジョギング

翌朝、朝6時に起きて青森のまちなかをジョギングします。旅先のジョギングは気持ちがいいものです。
海の方まで足を伸ばして、陸奥湾の大海原に囲まれた青森港北防波堤にある西灯台まで行ってみます。

海風が心地良く、走っても走っても疲れを感じません。旅ランの醍醐味を味わいながら、小一時間走ってみました。

朝食をいただき

ホテルに戻り妻とムスメを起こし、ホテルからほど近い「アウガ」の地下にある新鮮市場の「丸青食堂」を訪れます。

ホタテフライ定食

こちら、ワンコイン500円カレーが有名らしいのですが、昨年名物お母さんが店を退かれ、それから少し経営方針を変えたのか、定食なども始め、座席数も増やしたらしいのです。が、残念、この日はカレーはお休み。気を取り直してホタテフライ定食をいただきました。

面白そうな乾物屋

食事の後、市場内を見学するも、日曜ということもあり開いてみる店が少なく寂しい感じです。ぶらぶらしていると、「おにいさん、コレ食べてって」と声をかけてくれたのが、「太田由蔵商店」という珍味などを取り扱っている店。

店頭に立っているお母さんが最高に面白くて素敵な方で、「ほら、コレも食べて、こっちもあっちも」と次々と店頭に並ぶ商品の包みを開けて、われわれにどんどん食べさせてくれます。

「朝ごはん食べに来たの? あら、そう、お腹はいっぱい? まだ食べれるでしょ、味見してって。え? 盛岡から? 今日帰るの? じゃあ、これあげるから帰りの車で食べたらいいよーー」などと矢継ぎ早にいろいろサービスしてくれました。
港町の、あったかいお母さんの優しさに触れて嬉しくなります。これもまた旅の醍醐味。

結局お土産はこちらで味見させてもらった乾物や珍味を買い求め、「青森県立美術館」に寄って、盛岡へ帰るだけになりました。
あっという間の青森の旅でしたが、名酒場に出会え、懐かしい酒場に顔を出せた、いい旅になりました。また、青森市が大好きになりました。

(おわり)

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