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ノルウェーの死刑制度を知った、映画『ウトヤ島、7月22日』

この映画を見ようと思ったきっかけは、「虐殺のスイッチ」という本を読んだことから。(タイトルは物騒だが、なぜ人が人を殺すのかを徹底的に考え尽くされた本です。)


この本の一部にウトヤ島事件について、ノルウェーの死刑制度について書かれており、ウトヤ島の事件はニュースで知っている程度だった私には衝撃で、もっと知りたくなり映画を見ようと思いました。

「ウトヤ島、7月22日」

2011年の7月22日、オスロの政府庁舎が爆破され、その後ウトヤ島のサマーキャンプで銃乱射事件が起きた。

ちなみにウトヤ島の地理的場所はここ。

この島でサマーキャンプを楽しんでいた若者たちは、突然現れた犯人によって次々と仲間が銃殺されていく、何が起きているのかわからないまま閉ざされた島の中を逃げるしかない悪夢、これが現実に起きたことが恐ろしい。

衝撃と希望とやるせない気持ちが混ざりあうようなラストだった。

この事件で狙われたのは政治家の卵である10代から20代の若者たち。移民受け入れに寛容的な若者たちが未来の政治のリーダーになることを危うんでの犯行だった。

ノルウェーでは死刑制度がない

この映画を観て新たに知ったのが、ノルウェーには死刑制度や終身刑がないということ。そもそもヨーロッパ諸国はベラルーシ以外死刑制度を廃止している。

ヨーロッパ諸国が考える刑罰の目的は「更生」にあり、対して日本の目的は「罰を与える」という部分にあるような気がした。

この事件の犯人にはノルウェーの最高刑である禁錮最低10年、最長21年が言い渡され、「日本であれば死刑に値するような事件が、たった21年?」と驚いたのですが、よく調べてみると21年後に、再び彼を社会に放り出しても安全かどうかの審議が行われ、安全ではないとの判断を受けたらまた刑が伸びるそうだ。

それでも許しがたいことだと思う、これに対して被害者遺族はどう思うのだろうか?事件の翌日、事件現場を訪れた被害者遺族の中に、加害者の母親が花束を持って現れた。

そこで何が起きたか、被害者遺族は加害者の母親を抱きしめ「あなたが一番辛いわね」と言ったそうです。憎しみを憎しみで返すことが負の連鎖を生むだけと分かった上で、感情よりも合理性を重視した考え方をしているように思えました。


日本なら、加害者の母親を「お前の教育が悪かった」と「責任をとれ」と攻撃するのでは?そんな事例を今まで何度も見てきたし、なんとなく日本の方が考え方が幼稚なような気がしました。

さらなる報復や憎しみによってこのような事件が二度と起きないことを願う。

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