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新型コロナウイルスの感染拡大が終息に迎えば7月のスペインから開幕。トップライダーでいられる条件とは。ロッシとマルケスの面白写真。

「トップライダーでいられる条件とは」

この写真は3月8日、ドーハのロサイル・インターナショナル・サーキットで開催されたカタールGPのMoto2クラスで、長島哲太がトップでチェッカーを受けた瞬間である。まだ一戦しか行われていないが、僕にとっては、今年のベストショットである。

大接戦となった優勝争い。その中からするすると抜け出した長島は、終盤、2位以下を一気に引き離す見事な勝利だった。初表彰台が初優勝という最高のレースとなったが、初優勝からすでに2ヶ月。「さすがにもう初優勝の喜びも・・・」と長島は笑うが、いつレースが再開してもいいようにトレーニングは欠かさない。

どんなスポーツでもそうだが、優勝した喜びと達成感を味わえる時間は短い。すぐに次の大会に向けて気持ちを入れ替えなくてはいけないからだ。その反対に負けた悔しさは、そのまま次の大会のモチベーションになるが、長い間、トップの座にいる選手は、自己完結の能力が優れていると思う。

MotoGPクラスでは、バレンティーノ・ロッシ、マルク・マルケスといった何度もチャンピオンを獲ってきた選手は、気持ちの切り替えがうまいと思う。いつでも勝てるわけではないし、2位、3位でも表彰台に立ったときは嬉しそうにしている。そうした自己完結ができなければ、長くトップライダーではいられない。

今年は開幕直前にMoto2とMoto3クラスの公式テストがロサイル・インターナショナル・サーキットで行われ、選手と関係者はそのままカタールに滞在していたため、3月8日の開幕戦を行えた。しかし、MotoGPクラスは現地入りしておらす、その間にカタールの入国制限が実施されたため開幕することができなかった。

その後、カレンダーが変更になり、7月下旬にスペインのヘレスから再開することが発表された。勿論、新型コロナウイルスの終息が条件となるが、7月のヘレスの最高気温の平均は32℃。太陽の国スペインは日射しが強いので路面温度は50度を軽く超えるし、それはもう半端ではない暑さになる。

そういうこともあり、スペインのグランプリは春か秋に行われてきたが、7月のヘレスが実現したら、どんなレースになるのか想像もつかない。ライダーにもタイヤにも厳しい条件が揃うレースになることは間違いない。

選手たちにとっても4ヶ月ぶりのサーキットランは、ぶっつけ本番のレースとなる。ファンにとっても関係者にとっても再開はすごく楽しみだが、無観客で開催することが決まっているし、我々取材陣も当分はリモート取材となる。僕は原稿を書く仕事もしているのでリモート取材でもやることはあるが、今シーズンに向けて投入した最新型キヤノンEOS1DX MarkⅢの出番は当分なさそうだ。開幕戦カタールGPの長島のチェッカーシーンが、当分は僕の今季ベストショットのままとなる。

グランプリを転戦して31年目のシーズン。こんなに長い時間、レースがなくて、自宅にひきこもっているのは初めての経験となる。グランプリからグランプリへ。国境を越え、海を越え、移動していたことがなんと幸せだった時間だったことだろう。撮って書いて、の忙しい日々が待ち遠しい。一日も早い新型コロナウイルスの終息を願うばかりである。

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○・・・数年前に撮影したバレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスの面白写真。トップライダーでいる条件は、この二人を見ているとわかることがたくさんありますよ。

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