チーム竹島の見果てぬ夢 第5章 嘘と憎しみ合いと
チーム竹島の見果てぬ夢 ・・・これは30年程前に出版された本を加筆訂正し、再録しています。1990年代から始まる日本人選手の世界進出と大躍進のきっかけをつくった「チーム竹島」を助監督として追いかけた遠藤智が書くノンフィクションです。全7章、全7回でアップします。第1章「竹島将の死」 第2章「大きすぎる夢」 第3章「ヨーロッパに」 第4章「レースの興奮と空しさ」 第5章「嘘と憎しみ合いと」 第6章「夢の残がい」 第7章「クレイになれなかった男」。第1章はチームオーナーの死というちょっと重苦しい空気の中で始まりますが、第2章はチームが活動を開始、第3章ではいよいよヨーロッパラウンドへと旅立っていきます。そして第4章では、スペインのヘレスで、いよいよヨーロッパラウンドがスタート。第5章はスペインGPからイタリアGPへと舞台を移します。高田孝慈とチームオーナー竹島将がぶつかります。
「目まぐるしい移動の日々」
ここにぼくの日記がある。その日記でイタリアGPまでの足跡を追ってみたい。
5月7日(月曜日)快晴
盛長さんを日比野さんに任せて、出発することにした。竹島さんをセビリアの空港に送る。出発30分前に到着。遅すぎるチェックインのためカウンターで一悶着。それでもなんとか乗せてくれた。
竹島さん、荷物検査場に入ったところでパスポートの入った紙袋をチェックインカウンターに忘れたことに気付く。ここでもひと騒動。
1時、セビリア出発。マラガを通り、アルメリアのLARABITAという小さな町に泊まる。ふたつ星のホテルだったが、さすがにミシュラン推薦のホテルだけになかなかいい。夕食を食べている時、夕唯が大泣き。レストランのおばさんが食べ終わるまで抱いてあやしてくれた。
この日、夕唯が右手と左手をつなぐ。それまで右手と左手がまったく別の動きをしていたのだが、手が2本あるということを知ったようだ。夕唯はまだ、生後4か月だ。
*盛長さんとは、ぼくの友人でカメラマンである。
5月8日(火曜日)
目が覚めると10時。朝食を食べて11時30分に出発。
アルメリアを抜け、ムルシアに到着したのが6時。ルノーの販売店で車のオイルとエレメントを交換する。それからバレンシアまで高速道路を180km/hでぶっ飛ばす。8時30分、バレンシアのメリアホテルにチェックイン。
今日は疲れた。
4つ星で料金の高いホテルだが他のホテルを探す元気はない。もう寝ます。おやすみ。明日はバルセロナを抜け、フランスを目指す。
*ルノーでは、オイルとエレメントを交換してもらったが、言葉がまった< 通じず、身振りで手振りでやっと理解してもらう。おそろしいほどスペイン語だけの世界があった。
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