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静かなる純愛、大胆なる花: 河原撫子

カワラナデシコの花には、不思議な力があるように思う。
小さく可憐でありながら、どこか凛とした気品を持つその姿は、時折、我々が忘れかけている日本人の精神の奥底に触れてくる。

花言葉には「純愛」「大胆」という言葉があるが、それはこの花が持つ二面性をよく表しているようだ。

純愛とは、何も若者たちの恋愛だけを指すものではない。
むしろ、人生のさまざまな局面で、静かに、けれど確かに心に宿る感情のことである。カワラナデシコのように、何も声高に主張せずとも、ただそこにあるだけで深い愛情を示すことができるのだ。

一方で「大胆」という言葉は、一見、この小さな花には不釣り合いに感じるかもしれない。しかし、その生命力としなやかさを見れば、私たちが持つべき強さや覚悟を教えてくれる。
風に吹かれながらも、その小さな根を地に深く張り、決して折れない。その姿に、人生の試練を乗り越える力強さを感じるのだ。

人は時に、自分の感情を見失い、心の中に生まれる静かな愛や信念に気づかずに過ごしてしまうことがある。
しかし、カワラナデシコのような控えめな花がそっと咲き誇る姿を目にすれば、忘れていた心の片隅に再び火が灯るかもしれない。そんな風に、この花は私たちに寄り添い、静かに励まし続けているのだろう。


人生の節目に咲くカワラナデシコ、その姿はいつまでも私たちの心に残り続けるに違いない


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