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心穏やかな一日

オフィスで仕事している時に、娘から電話があって、たった今、運転中に警察に止められた、と言う。スピード違反で捕まったらしい。ママは警察に止められたことないんだけど、怖かったでしょ、と言うと、娘は泣き出して、はい、ごめんなさい、と言った。泣かせるつもりはなかったし、まだ運転中だと言うので、大丈夫だから、とにかく気をつけてね、と慌てて電話を切った。とりあえず、運転に集中してもらわなければ。

娘は完璧主義で、自分に厳しいので、自分を責めているだろう。あまり落ち込まないといいんだけど、と心配しながらも、仕事に没頭して一日を過ごした。

その日の夜、この家は最近いつもそうなのだけど、夫と息子と娘が一気にドタバタと帰ってきた。なぜか、示し合わせたように、みんな同じくらいの時間に帰ってくるので、家の中は突然騒がしくなる。しかも、たいてい私がもう眠たくなっている頃(私は午後8時には眠くなる)。でも、その日は私もがんばって起きていて、みんなが夜ごはんを食べるのを見ながらおしゃべりした。

話題はもちろん、娘のスピード違反。優等生の娘のことだから、夫も息子も驚いていた。切られたチケットには、裁判所に出頭する日時しか書かれていなくて、罰金を支払う方法が分からない。息子が「見せて、僕は何回もチケットを切られてるから」と得意げに言う。頼りになるのか、なんなのか…。結局、よく知っているはずの息子でも分からなくて、警察に電話してみるか、指定の日時に裁判所に行くことになった。

また問題が起きて、本来なら穏やかとは言えない日のはずだけど、私の心はなぜか穏やかだった。娘のことは心配だったけど、仕事で気が紛れたし、何よりも一日の終わりに家族みんながそろって、落ち着いておしゃべりできた。短い時間だったけど、こういうことが私には大切なんだ、とよく分かった。

心穏やかに過ごすためには、家族みんなと落ち着いて話をすること。疲れていても、眠たくても、家族みんなが帰ってくるまで、そしてちゃんと話をする時間が取れるまで、がんばって起きていよう。毎晩は無理かもしれないけど、できるだけ。そうすれば、きっと揺らぐ心が平らになる。たとえ風が吹いても、大地にしっかりと錨を下ろした小舟のように、流されたり転覆したりすることはない。だからと言って、大きな嵐のような問題はもう勘弁してほしいけど、そうであっても、きっと大丈夫な気がする。

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