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初夏の木々

私の住む地域では最近、あっという間に木々が緑色になっていて、その勢いに驚いている。ついこの前まで、葉っぱのない茶色い裸の木ばかりだったのに。きっと毎年、初夏はこんな感じなんだろうけど、今までずっと気づかずにいた。昔は、若さのせいと忙しさのせい。この数年は、精神的な苦しみのせい。でも今年は、春からずっと周りの植物の勢いに心を奪われていて、それはきっと気持ちに余裕があるからのような気がする。

不安や心配事はまだあるけれど、夫も息子も娘も、ほぼ落ち着いている。というか、それぞれが不安や心配事にうまく対処できるようになって来ているのだと思う。結局のところ、人はそうやって生きて行くしかないのだろう。それでじゅうぶん。

この前、朝起きたら、とても気分が重くて起き上がりたくない日があった。でも何とか起き出して、その曜日のルーティンのバスルーム掃除を始めた。家中のバスルームをきれいにした後、ルーティンではないけれど、何となくキッチンのカウンターからシンク、コンロ、電子レンジの中まで掃除した。最後にキッチンの床。まだ寝ている家族を起こさないように、掃除機ではなく箒と塵取りできれいにしたら、暗い気分はすっかり消えていた。掃除の力はすごい。ヨガや整理整頓、散歩や草取りにも同じ力があることを今の私は知っている。気分に浮き沈みのある毎日を、なるべく変わらず、穏やかに過ごすための私の大切なツールたち。

家族のみんなも、それぞれが自分のツールを見つけて、日々を過ごしている。それは自分に合う薬であったり、バスケであったり、テニスであったり、アニメや漫画、音楽、友人やセラピストとの時間であったりする。夫の場合、それが買い物や次々と変わる趣味だったりするのかもしれない。お金がかかるので、かなり迷惑な話だけど、彼にとって心を安定させるためのツールであるならば、仕方ないのかも…。

今年は、初夏の緑の勢いに心を奪われるほどに、気持ちに余裕があることが嬉しい。そして、そのことに気づけたことも。こうやって毎日を過ごしながら、周りの自然の変化を感じることができたら、それでじゅうぶん幸せなのかもしれない。

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