見出し画像

最近よく聞く「コト消費」 を、原理から解説してみた記事です。

from:窓の外で雪が斜めに落ちてる。(3月下旬やで泣)


消費形態は「モノ」→「コト」へ。みたいな話を、少し前からよく聞きます。結果こぞって、「体験を売れ!」などの話に終着しがちなのですが、

コト消費って、一体なんでしょう。という話です。


原理や背景を知らなければ、的を得た見解を導くこともできません。この記事では、コト消費の正体を、プロダクトライフサイクルを用いて解説してみます。


▼ライフサイクルとは

全ての商品・サービスは、市場に生み出され、出回って浸透し、需要と供給が飽和するまで成長を続け、その後衰退し、新たな業態へと転換して行きます。

この一連の流れを、「ライフサイクル」と呼んだりします。

これは、僕たち人間が生まれて、成長し、成熟してアジが出てきたと思えば、後は老いていくだけ。と同じ様に、原理原則です。だからライフサイクルなんですね。

では試しに、旅行業のライフサイクルをみてみます。

実は市場は横ばいなのですが、それは訪日市場や、OTAなどのEコマース市場が活性化したお陰であって、いわゆる従来の旅行代理店の社数は、減少の一途を辿っています。ので、図では転換期と捉えています。


転換期以降の市場の特徴を、簡単に一言で表すと、「顧客ニーズの細分化」、「業態の専門特化」なのですが、FIT顧客が増加傾向にあるのも、ひとえにこれが主な要因です。

旅行業の場合は更に加えて、加速する「情報化社会」が相まったことで、コト消費なる表現が早く用いられ出したのだと、解釈しています。


この現象を総じて、「価値の主従転換」と呼んでいます。



▼価値における、主従の逆転現象

では、コト消費の原理を、「スマホケース」市場と「ペットボトルの水」市場を例えに考えてみます。


①スマホケースの主従逆転

スマホが浸透しきってますので、当たり前ですがスマホケースも浸透しきっていると言えます。つまり、成熟期を超えて、転換期を超えていますね。

こんなスマホケースをよく見かけませんか。もしあなたがこのタイプのケースをお持ちであれば、とても共感していただけるはずなのですが。どのような基準でそのケースを選んだのか、ということです。


おそらく、基本価値であるはずの「スマホの保護」ではなく、→「ワタシがよく使うカードが入るか、使いやすいか」で選んだはず。


よって、保護性ではなく利便性消費の目的となっています。




②ペットボトルの水の主従逆転

みかん味やヨーグルト味などの様々な種類が出ていますが、おそらく、間違いなく、何回飲んでも、みかん味の水 よりも みかんジュース の方が確実に美味しいはずです。(主観)


ではなぜ、みかん水を手に取るのかという事ですが、結論から言うと、〇〇味の水を買う理由は、見栄えなんです。例えば会議にファンタオレンジは持込み辛いけど、透明なみかん水ならかろうじてと言った様に、味付き飲料をよりフォーマル化しています。

水の基本価値であった「水分補給」ではなく、→「見栄え」を守ってあげるのが主の価値となり、その結果、水市場ではなくみかんジュース市場も侵食しています。


このように転換期の市場では、価値の主従関係が逆転し、同じ商品・サービスに対して突如、全く別の価値を求められるようになります。


これが、「コト消費」の正体です。



▼情報の非対称性をどこで生み出すか

旅行業におけるこれからのテーマは、この一点と言っても過言ではありません。

これまで価値としてきた、良いホテル、安いエアー、訪れるべき観光地などに関して、顧客との情報格差が0になっていますので、サービスに必要な要素は「そんな "コト" あるの!?」という類の情報優位性です。

ちなみに私が今、観光業に置いて一番その点にコミットしているなと感じている企業は、ANAホールディングスのpeachさんです。


また機会があれば、ここで触れたいと思います。






リクエストと一緒にお待ちしております。