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海外での見知らぬ友 2

ロサンジェルス編 

「まえがき」と「測量をするおじさんたち」

まえがき


1970年に(当時LA在住の)兄が車で連れて行ってくれた場所は、どこもかしこも強烈な印象を与えてくれた。
 
私の一人旅で、どうしても行けなかった場所が2つある。
一つは「フォレストローン」(Forest Lawn)、そして天文台だ。
 
兄が連れて行ってくれた場所で覚えているのは、勿論ハンティングトン・ライブラリー(Huntington Library)がその筆頭だ。他にはラ・ブレア・タール・ピッツ(La Brea Tar Pits Museum)、China Town、 夜のビバリーヒルズ、サンディエゴ動物園、サンディエゴの海軍基地、教会、Nuts Berry Farm、レストラン(タコス専門)、LA 陸軍病院(当時はベトナム戦争真っ盛り)での慰問訪問など。
 
1988年での妻との訪問先は、ディスニーランド、ベニスビーチ、ユニバーサルスタジオ・ハリウッド、ファーマーズマーケット、チャイニーズシアター周辺など。
 
2016年の私一人の旅では、ハンティングトン・ライブラリー、ラ・ブレア・タール・ピッツ、サンタ・モニカ、ベニスビーチ、ユニバーサルスタジオ・ハリウッド、チャイニーズシアター周辺、Union Station周辺(ここでは、ドジャーススタジアム行のバスがわんさか客を運んでいた)、Little Tokyo、Melrose Street、などなどだ。
 
それ以外に、生徒のホームステイでLAに寄ると、必ず行っていたのは、DisneyLandとLittle Tokyoとコミュニティーカレッジだ。Community Collegeは安く泊まれる学寮(学生は夏季休暇中だ)の利用が目的だ。

測量中のおじさんたち

ハンティングトン・ライブラリーにはぜひ行きたいと思っていた。地上を走る地下鉄で近くまで行くことにした。ホテルで下調べをしていたのだ。と言っても、地下鉄の駅を降りてから、どうすればいいのか不明だ。行ってからのお楽しみだ。一人旅はそんな気楽さがあるから好きだ。

前にも何かの記事にその辺りは書いた覚えがある。何かの記事と言っても、間違いなく2022年7月に公開した「ワクワクHuntington Library in LA」に決まっている。
 
今回の記事では、おじさんたちに焦点を絞ってみる。
2022年7月には「Union Station Los Angeles」を公開しているが、そのハブ駅Union Stationで乗り換えて乗った地下鉄に運ばれて、降りた駅がAllen駅だ。
この駅は高速道路の浮島のような感じだ。駅以外は数車線からなる高速道路だったのである。どう進めば普通の道路に出られるのか迷っていたが、数人の降車した人の後ろからついて行くと、階段があった。
階段を降りると、高速道路と直角に交差する道路に出た。
 
その場所でしばし立ちすくんだ。どっち向きに進めばいいかわからなかったのだ。すでに他の降車仲間はいつの間にか姿を消してしまっていた。私はスマホなど持っていない。持っていても日本に置いて行くのだ。最も当時はまだガラケーだった。
 
誰かいないかうろうろしていると、測量をしているおじさんたちがいた。
彼らは、日本の測量をする人たちと同じように、器械を覗き込んでは相手にいろいろと指示らしきことを言っては、何かを記録していた。
 
「すみませんが・・・」
 
仕事が少し中断した合間を狙って、声をかけてみた。
 
「なになに?」
 
「Huntington Libraryに行きたいのですが、この道をどちら側に向かえばいいかわからないので教えていただけませんか?」
 
地下鉄の駅を高速道路の高さから階段を下りてみると、高速道路とは交差する形で1本道があるだけだったのだ。
そんな時は地元の人に聞くのが一番だ。
 
声をかけられた測量士さんは、急に自信を無くしている様子だ。測量をするときとは別人のようだ。地元の人ではないのは明らかだ。

早速仲間に声をかける。2,3人の仲間が寄ってくる。
その誰もが、「Huntington Library」を知らなさげだ。

ロンドンの時と同じだ。
世界的に有名な「ドクター・ジョンソン」という辞書編集者の住まいの近くで工事をしていた人たちに聞いてみたのだ。
 
「そんな人、聞いたとがないよなぁ」
 
彼らは実にそっけなかった。仕方なくうろうろ探し回った末に、私が聴いた場所こそが彼の家の真ん前だったのである。実に地味なことだ。
 
しかし、Allen駅近くの測量士さんたちは親切だった。
みんな知らないのに、何とか探そうとしてくれる。そのうちの一人がふとスマホを取り出したのだ。観光客がするように、スマホで検索したのである。そして、そのスマホ片手に、私に画面をみせてくれた。画面には地図が映し出されていた。
 
「どうやら、こちらの方に向かえばあるらしいぜ。運よく1本道だ。歩けば30分以上かかりそうだね。」
 
「ありがとうございました」
 
私は彼らに別れを告げて、その1本道の先を信じて歩き出した。私の一人旅は30分や1時間は歩いて発見するスタイルだ。道中に誰一人出会わない道だった。
両脇にある家々。セキュリティーの看板。その看板には「変なことするなよ、ここは銃で守られてるんだからな」という感じの映像が、日本のセコムみたいに主張していた。さすがアメリカだ、と思いながらの長い道のりだった。
 
相当歩いたのちに、はるか向こうにHuntington Libraryの門らしきものが見えた時には小躍りだ。
 

 以下は 私の記事「Huntington Library」に詳細を既に公開している。
 


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