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【前編】こっこ株式会社の養鶏業に迫る〜「畜産=働きにくい」そのイメージ本当ですか?~

こっこ株式会社(以下、「こっこ」)は、山口県長門市で1986年(昭和61年)に曽祖父が創業した養鶏場を2016年(平成28年)に継承し、2018年(平成30年)に現在の社名こっこに変更され、「長州どり」(ブロイラー)の生産を中心に成長を続けてきました。社長の末永光佳(すえながみつよし)さんは、「自分の価値に自信を。長門にいる自分に誇りを」というスローガンのもと、地域や養鶏業全体の活性化のために日々奮闘しています。

この度、こっこのもとで、畜産業とは無縁の2人が3日間限りの職場体験(という名の弟子入り!)を経験しました。「養鶏舎に入るのも、人生初だった」という2人の初々しい生の声から、初心者でもわかる養鶏業のリアルに迫ります。

体験者:
赤崎沙綾(あかざき・さあや)
研修への意気込み:こっこの方々とお会いするのは初めてなのでとても緊張しています。農業に関する知識が全くない私です が、そんな学生の目線でしか気づけないことをしっかりと感じてこようと思います!

渡部幹菜(わたなべ・かんな)
研修への意気込み:養鶏場に行くのは人生初なので緊張していますが、なかなか見られない現場をしっかり!体験してきます!

文:土谷奈々

衛生面を徹底!女性でも働きやすい環境づくり

赤崎:人生初の養鶏場で、臭いがきついイメージだったけど、こんなにきれいなんだ、臭いはあまりきつくないなと思ったな。

渡部:めっちゃわかる。農業って3K……
きつい・汚い・危険とかよく言われるけど、どれもあまり感じなかったな。

鶏舎に初めて入ったとき。

体験した学生2人は、養鶏場の清潔感に驚いたと口にしています。確かに、養鶏場というと、鶏糞の臭いがきついイメージがありますが、意外にも綺麗で作業しやすい環境だったそうです。

その秘密は、こっこが力を入れている“5Sプロジェクト”にありました。“5Sプロジェクト”とは、5つの『S』―「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」を守ること。意識することで人も鶏も快適に過ごし、安全で高い品質を保ち続ける取り組みです。

中でも、2人が感動したのは、女性にも配慮された仕事環境が実現されていること。例えば、事務所の中には綺麗な女性用トイレと休憩スペースが整備されています。これは、今年入社した女性新入社員さんのために整備されたものだとか。こうした衛生面への配慮は、「長州どり」の品質向上のためであるのはもちろん、女性が快適に働くうえでも重要なポイントです。

鶏舎横に整備された休憩室。
休憩室に整備された女性用トイレ。

渡部さんも言っていたように、一次産業というと、どうしても後ろ向きなイメージ(きつい・汚い・危険…)ばかりが先行してしまいますが、こっこの“5Sプロジェクト”はそれを覆してくれるものです。性別を問わず、一次産業の世界に飛び込みやすい環境を与えてくれます。

命の尊さを実感。 『原点、それは命』

鶏舎の中の雛たち。

3日間で2人が体験した仕事は主に、「①出荷作業」「②鶏舎見回り」「③鶏舎清掃」「④エサ供給」「⑤出荷前日準備」など。以下、2人が作業の詳しい工程を教えてくれました。

①出荷作業

早朝出荷作業の様子。

 この日は早朝3:30から作業をされていました。何千羽もいる鶏たちを慣れた手つきで素早く籠の中に入れていきます。一つの籠に6羽の鶏を入れ、鶏舎の真ん中に敷いたレールにのせて鶏舎の外へと運び出します。

②鶏舎見回り

鶏舎の中の見回りに同行。
肥料の残量確認の様子。

 鶏の様子や鶏舎内の設備に異変がないかどうか確認しながら、鶏舎の見回りを行います。この時に、死鶏の回収も同時に行います。鶏たちの様子を観察して、鶏舎内の温度や換気を調節する作業は、経験や感覚を必要とする難しいものです。

③鶏舎清掃

鶏舎の外を水洗ホースで水洗い。同時に、水圧の確認も行う。
鶏舎の中を水洗ホースで水洗いする様子。

 出荷した後の鶏舎内は入念に清掃・消毒を行います。まず鶏糞を集めてダンプカーにボブキャットという重機で積み込み、堆肥化処理施設に運搬します。そして鶏舎内を、水洗ホースを使って水洗いし、最後に消毒を行います。

④エサ供給

飼料運搬車の到着。
肥料の補充。

 8トンも積むことができる専用トラック(バルク車)で飼料を補充します。背の高い白い飼料タンクの上まで登り、トラックから伸びるアームを飼料タンクの上部につなぎ、飼料を流し入れます。飼料配送業者との仲睦まじい様子も印象的でした。

⑤出荷前日準備

出荷前日は送風機(ファン)にカバーをかけて、当日の作業に備える。羽に手を巻き込まれて怪我するのを防ぐための大切な作業。

 鶏舎内の温度を調節するために、大きな扇風機を使用しています。その扇風機はカバーがなく、手が当たると容赦なく指や手が切れてしまいます。そのため、出荷時の事故を防ぐ目的で出荷前日に、網をかけます。また、出荷の15時間以上前から自動で補充されていた飼料の給与を止めます。鶏の胃の中に食べたものが残ると、その後の処理が大変だからだそうです(特に砂肝のような部位)。

 こうした作業の端々で、社員の皆さんの生き物に対する思いを実感したという2人。それはまさに、こっこのスローガン『原点、それは命』を意味しているといえます。中でも、異常鶏を淘汰する際に社員の方が話していた「このような作業に慣れてはいけない」という言葉が、2人の心に強く残ったそうです。

ヒヨコを手の平に乗せると、命の尊さを実感。

赤崎:異常鶏を淘汰することは、他の鶏たちを守るためにも必要な作業ですが、日々このような作業を行っていても、生命であることを忘れないようにしているということが、消費者である私にとっても忘れてはいけないことだと感じました。

渡部:異常鶏や鶏へのこっこの考え方や想いに感銘を受けました。私も淘汰するときの話が印象に残っています。『原点、それは命』をスローガンにあげているように、鶏の命への想いは誰よりも持っているのではないでしょうか。

ヒヨコの体測で成長を確認。

 2人とも3日間の研修を通して、この言葉が最も印象に残ったようです。命に対峙する仕事の厳しさと尊さを実感できた瞬間でした。また、こうした生き物への向き合い方は、鶏舎の見回りの中でも学ぶことができたそう。ほんの少し水入れの高さを変えただけで、鶏が水を飲み出したりして、そうしたことも生き物への配慮の一つを体現していると言えるのでしょう。

人との繋がりが未来を創る

 こっこの魅力は、「人との繋がりを大切にする姿勢」にもあります。特に、外部との繋がりには積極的で、「こども食堂」に鶏肉を提供したり、コロナの影響を受けた飲食店へ支援をしたりしています。

 また、会社の内部に目を向けても、社員同士の強い絆が感じられます。こっこでは社員の育成にも力を入れており、社員間のあいさつやコミュニケーションを重要視しているということでした。それは、仕事という域を超えて、人が生きていくうえで大切なことです。

赤崎:養鶏を学びに行ったのに、それだけじゃなく人間として大切なことをたくさん学ばせてもらいました。農業はもちろん、人としての考え方・見方が変わった気がします。外部セミナーに行ったりしている個人や企業はいても、それを実行しない・できない場合も多いですよね。でも、こっこはきちんと実行に移しているところがすごいと思いました!

渡部:社員さん同士でよくコミュニケーションをよくとっていました。例えば、翌日休みの人は、翌日の担当者に細かく状況を伝え、指示を出している姿が目立ちました。こうしたことが、翌日のミス防止につながると知り、社員間のコミュニケーションの大切さを実感しました。

 3日間の研修でこっこの魅力を存分に味わったという赤崎さんと渡部さん。2人が感じた「衛生面の徹底」、「命の尊さを噛みしめる姿」、「人とのつながり」。これらの根底には「養鶏業、そして地域を盛り上げたい」という社長末永さんの強い思いがあるようです。

 記事の後編では、こっこに勤める従業員の方々の思いを聞いていきます。

こっこ株式会社の採用情報、お問い合わせはこちらから。
https://cocco-nagato.com/


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