見出し画像

第3回 口腔機能探求部(10月31日に補講します)

こんにちは奥住啓祐です。

毎月1回開催している口腔機能探求部も今月で第3回となりました。

セルフケアで学ぶ口腔機能ということで、ご自分の口腔機能を評価し、実際にセルフケアを行うことで、口腔機能の変化、口腔以外の身体の変化を体感して頂きました。

少しずつ口腔機能の面白さが見えてきたのではないでしょうか。

ありがたいことに開催するたびに参加者も増えており、トータル150人を超える方に参加して頂きました。

前回からは言語聴覚士の方以外にも歯科医師、理学療法士、助産師など多職種の方にも参加頂き、楽しいディスカッションができましたね。

今回も楽しくディスカッションしましょう。

これまでのおさらい

今年度の口腔機能探求部は以下のような内容をとりあげる予定です。

画像1

来年度もさらに上記内容をバージョンアップして開催する予定ですが、これら基本的な内容と合わせて、疾患に伴う影響なども改めて一緒に考える機会を来年度は作っていきます。

さて第1回では「開口の評価」を中心にお話しました。開口の評価といっても、開口範囲だけではなく、開口時の舌の評価に重点をおき、実際に皆さんに評価して頂きました。

そのうえでセルフケアとして「うがい」「口腔内にふれる」の2種類を行い、「評価の視点」「一般的な筋力トレーニング以外にも出来ることがある」という視点を共有しましたね。


第1回でお伝えしたセルフケアも、日頃皆さんが行っている口腔トレーニングも「難易度調整の視点」が無ければ、セラピストが意図していなくても、代償運動を学習していまいます。

そこで第2回では「難易度調整の視点」の一つとしてセラピストがみるべき視点、クライアントの「主観」の評価を共有しました。

その上で「オーラルハンドリング」の練習を行いましたね。

1歳未満の赤ちゃんと1歳以上の子どもさん(成人含む)とではオーラルハンドリングの考え方が大きく異なるのですが、第2回では成人以降の方に対する内容としてお話しました。

ハンドリングというと、どのように動きを誘導するかという話になりやすいのですが、そもそもその前提として、セラピスト自身が様々な運動方向に様々なスピードでクライアントの動きについていける必要があります。

この「動きについていくワーク」をセルフで自分の舌に対して行いました。

はじめて行う場合は大抵「舌に対する指の圧」が強くなります。理想は水面に指が浮かんでいる状態をキープするようなイメージです。それを舌が動いているなかで維持します。

なにが難しいかって自分の手を空間に保持することです。特にベッドサイドなど自分の身体のバランスを保つ難易度が高い環境で、セラピストが手で自分のバランスをとってしまう方はオーラルハンドリングは不利です。

画像2

セラピスト自身の内的状態(バランス)を保つために、自分の上肢等を過剰に動員してしまうと、クライアントの舌の動きを引きだすために必要なセラピストの余力がなくなります。

そうすると、結果的に舌を下方に押してしまい(意図しない抵抗運動)、クライアントの口腔機能を過少評価もしくは誤学習の練習となってしまう可能性もでてきます。

口腔の評価、アプローチの視点と合わせて、自分の心身の状態を知ることも大切ですね。

このあたりもオンラインという環境ですが、チャットで頂く皆さんの情報をもとに出来る限りの手の使い方のアドバイスも行っています。


第3回 口腔機能探求部

それでは第3回の内容に入っていきます。

アイキャッチ

日時:10月24日(土)21:00~

対象: 

 ①口腔に関わる専門職、ST学生

 ②zoomの接続が可能な方

 *新規の方も歓迎です。

 *当日はマイク、画面のオンオフは自由です。

 *成人、小児どちらの領域にも関連する内容です。

料 金: 

①STマガジンを購読して頂いている方は追加料金なし

②STマガジン購読者以外の方は 2,000円(先着10人まで)

 この記事の購入をもって参加申込みとします。

参加URL: 

10月24日 20:00 この記事の下部に参加用URLをはります。


第3回 口腔機能探求部の内容

まず第2回でお話したクライアント自身の「主観評価」についてお話していきます。

特に口腔内についてのクライアントの主観的な意見は大切にしつつも、それだけでは不十分であることを僕自身よく体験します。

客観的評価、そして主観的評価これらをさらに一歩深めていきましょう。

「オーラルハンドリングⅡ」

第2回のオーラルハンドリングの内容を復習し、今回からより実践的な内容に入ってきます。

オーラルハンドリングに必要な要素(運動方向、スピード、筋緊張など)をおさえていきながら、実際にセルフケアで自分の舌に対して実践していきましょう。

実際に臨床でオーラルハンドリングを実践し、他のSTなどに対して、そのセラピストの状態に応じた指導をされている方は第3回はスキップしても大丈夫です。

クライアントの獲得している口腔機能の違い、そしてセラピスト自身の獲得している能力の違い。

これらを押さえながらハンドリングについて考えると、ハンドリングが上手な方の行ってることを単にマネするよりも効率の良い練習方法も見えてきます。


〇追加内容

今回、オーラルハンドリングの内容の延長で「先行期の口腔機能評価」についてもお話します。


第3回 口腔機能探求部の流れ

20:00 URL、配布資料を記事に公開

20:20 部活前の雑談タイム(参加は自由)

今回の雑談タイムのテーマは「飲み込みにくさと声の高さのコントロールが難しくなってから2日間での評価とアプローチ」を予定しておりますが、その時の参加者との会話の流れ次第では内容が変更となる可能性もあります。

21:00 第3回 口腔機能探求部スタート

22:30 フリーディスカッション


さらなる学びの環境へ

言語聴覚士オンラインでは「アウトプットを中心とした学習環境」を作るために試行錯誤しております。

口腔機能探求部でも「聴講のみ」からスタートしても良いのですが、慣れてきたら少しずつチャットでのコメントや、マイクをオンにしての発言にもチャレンジしてください。

さて既にアウトプットによる学習環境の一つとしてLT大会を開催しておりますが、LT大会で発表された方や口腔機能探求部が終わってSNSなどで感想を投稿して頂いた方など様々なアウトプットをして頂いた方に、さらなる学習環境を作りたいと今考えています。(今後はさらなるアウトプットの場としてオンライン症例検討会も加わります)

たとえば現在検討しているのは「オンラインで行っている実際の訓練」の見学です。

その他にもどのような学びの場を作れるか日々検討しております。


第3回を終えて

昨夜も約70人の方に参加して頂きありがとうございました。最後のフリーディスカッションは今回も0時近くまで続きましたね。

今回はハンドリング、そしてオーラルハンドリングについて入っていきました。特に今回初参加の方は難しさを感じたかもしれません。

第1回から開口、提舌、水の嚥下、母音の発音など様々な活動における戦略の個人差を共有してきました。

そして今回は

・バランス戦略における口腔周囲筋の役割の個人差

・セラピスト自身の楽にパフォーマンスを発揮できる運動範囲、スピード、筋緊張の違い

・反応速度の違い

・先行期における戦略の違いなどを共有しましたね。

「ふれる」ということをはじめると、ついついこれまで積み上げてきた尋ねる、構成要素に分解、そして一般的な正しい戦略と実際にご本人がされている戦略の違いを評価するとった大切な部分が抜けてしまう方がいらっしゃいます。

例えば海外の方の口腔写真を見せましたが、

その方においても

①苦手なフランス語の発音を聴取。

②その発音の構成要素を確認(どのような舌の動き・運動方向が求められるかなど)。

③その上で現在、ご本人が各構成要素(安静時、開口などなど)において、どのような戦略(得意な舌の運動方向は?)でおこなっているのかをご本人と共有。

④目標とする発音を追行するための各構成要素のどのフェーズに伸びしろ(より短期的に改善しそうなところ)を共有。

⑤その上で必要に応じて口腔にふれて検証していく

といったプロセスを踏んでいきます。もちろん小児の発音の場合は必要な構成要素は聴覚の機能など増えてきますね。

ふれる技術を磨きながらも、丁寧にこれら評価の視点も磨いていきましょう。

また、後半のオーラルハンドリングについては口腔機能探求部のメインテーマである「セルフケア」という要素が薄かったと感じております。

そこでセルフケアとして自分の口腔へのオーラルハンドリングができるよう、第3回の補講としてお伝えしたいと思います。

第3回口腔機能探求部(補講)

10月31日(土)21:00

時間は約1時間~1時間半程を予定しております。

実技として

・セルフケアとしてのオーラルハンドリング

・赤唇へのアプローチ

赤唇へのアプローチはスプーンを噛んでしまう方や、口腔期において口唇閉鎖が難しい方などに良く行います。

それでは補講までの1週間、いろんな方の口腔をみていきましょう。


第3回口腔機能探求部への参加用URL

ここから先は

148字
国内外11人の言語聴覚士を中心に執筆。このmagazineを購読すると、言語聴覚士の専門領域(嚥下、失語、小児、聴覚、吃音など)に関する記事や、言語聴覚士の関連学会に関する記事を読むことができます。皆さんからの体験談など、様々な記事も集めて、養成校で学生に読んでもらえるような本にすることが目標の一つです。

国内外の多くの言語聴覚士で執筆しているので、言語聴覚士が関わる幅広い領域についての記事を提供することが実現しました。卒前卒後の継続した学習…

皆様からの優しいお気持ちは、共同プロジェクト「言語聴覚士オンライン」の活動に活かしてまいります。