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20歳から始まった機能性構音障害の訓練 ~訓練開始10年目の気付き~

こんにちは奥住啓祐です。


トークテーマの背景


今回のテーマはSTさんからの「ある症例の口腔に関する相談」がきっかけでした。

Virtual_Learningの翌日には何人かのSTさん、ST学生さん、そして歯科の先生方も交え、この症例のことも含めてオンラインでディスカッションしましたが「保険治療」、「口腔における予防」、「口腔環境の変化が及ぼす影響」など改めて考える良い機会になりました。

日本で舌といえばこの先生!という歯科の先生にも参加して頂き、パーキンソン病の症例なども急遽出していて頂きましたが(ほんとにありがとうございました)、いろんな症例をみるほど思うのは「口腔って何なんだろう」というひとこと。

将来的に今構想しているある企画に参画されるSTさんには「口腔と全身の関係性を知る」という意味で知っておいて欲しい内容ではあるので、その時にまた個別にお伝えしようかなと思います。

口腔ってほんとに奥が深くて面白いんです。学ぶほど分からないことが増えていくのがまた楽しいです。

さて第1回 Virtual Learning では、ST magazineを購読して頂いている方を対象に、

①勉強している人が失敗しやすいコミュニケーション

②20歳から始まった構音障害~訓練開始10年目の気付き~

をテーマにお話しました。


オンライン研修用


今回の記事ではトークテーマ②でお話した内容から一部抜粋して書いていきます(当日行った口腔機能のバラツキチェックのワークなどは割愛します)。

当日、聞き逃してしまい、もっと詳細に聞きたいという声が多いようでしたら、また今後のVirtual_Learningのテーマとして取り上げたいと思います。


そうそう今回は講義中も多くの質問を頂きまして、たとえばトークテーマ2の時に「小さい時から錠剤を呑むのが苦手でこれは何とかなりますか?」と質問を頂いたのですが、皆さんがこのように相談されたらどの様に考えるでしょうか。



この記事はST magazineに収録されてます。ST magazine は国内外の言語聴覚士が共同で執筆している月額500円のマガジンです。言語聴覚士が関わる幅広い領域についての記事や言語聴覚士の関連学会などについて、記事を配信しています。


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以前の記事で舌の探求の原点となった機能性構音障害(口蓋化構音)についてお話しました。

よくよく考えると今年で発音の仕方を修正し始めてから12年。

その中で得た様々な気付きは宝物です。

1年目:はじまりは構音点の修正から

さて、僕の場合は純粋に「発音の時の舌の使い方」が間違っていたわけです。20歳の最初の訓練で行ったことは構音点の修正です。

奥舌で「ら行」を発音していたので、本来の舌尖での発音へ修正。最初に深浦先生との構音訓練で行ったことはとてもシンプルで、

①自分の誤りのパターン

②これから学習する正しい戦略を知り

③ひたすら反復練習。


ちなみに皆さんは「か」と発音する奥舌で「ら」と発音できますでしょうか(僕がずっと行ってきた戦略)。きっと出来る人もいれば、出来るけど難しい、もしくはどのように発音するのか意味がわからないという方もいるでしょう。


はじめて舌尖でら行の発音を試みたときに感じたのはまさに

「意味がわからない」でした。



Virtual_Learningのときに頂いた質問 

 Q.「20歳まで呂律不良感はありましたか?」

 A.「呂律不良感はなかったです。構音訓練はじめてからが大変でした。」



構音訓練自体はだいたい月に1回、半年ほどで卒業。この時点では呂律不良感はもちろん残っていました。


2年目:姿勢と口蓋化構音


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