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言語聴覚士と食べることの支援(小児)

今週末はご依頼の講義ということで小児のSTさん達に「歯科での臨床と健常における口腔機能のバラつき」をテーマにオンライン講義を行います。現在100人を超える申し込みを頂いているとのことで、当日が楽しみです。

丁度、この講義を行っている時間に、いつも一緒に臨床を行っている助産師さんも歯科の先生方からのご依頼でオンライン講義を行うということで、僕もミニ動画講義を撮影し、ゲスト出演しようかなと考え中。ほんと便利な世の中ですね。

さて、今週末の講義に向けて小児の食支援や構音についての質問を受講予定者の方より複数頂いています。その中で、小児の食支援についての内容を1つこちらの記事でも共有しようと思い、今回の記事を書いています。

質問頂いた臨床現場における悩みや質問内容を拝見していると、そのほとんどは口腔機能探求部でもお伝えしている口腔に関する知識が不足していることによって生じる疑問や悩みだと感じました。

おそらく小児STさんも、子どもに関わる歯科関係の先生方も悩むところだと思います。今週末の2つの講義でお話しする内容も踏まえながら、現状の考えを共有していきます。

さてテーマは「月齢的には食べられると考えられる食形態。しかし口腔機能はそこまでの能力を獲得できていないと判断した場合における対応についてどのように考え、現在対応されていますか」

皆さんはどのように回答されますでしょうか。

今回は疾患の有無についての前提条件はなかったので、疾患の有無に関わらず共通して活用できる3つの視点で考えていきましょう。


1.口腔機能と食形態と声かけ

まず「現状の口腔機能に食形態を合わせる」という対応方法は小児STさんも、成人領域のSTさんも頭に浮かぶのではないでしょうか。

実際に乳幼児を見ていると、過度に口腔周囲筋の緊張を高めないと舌の左右運動が出来ない健常児(これは意外と日頃出会うSTさんや歯科の先生方のなかにもいらっしゃいます)、または前回の口腔機能探求部でもお話ししたように、就学前くらいのお子さんでも口腔内に触れると吸啜のようなお口の動きをはじめるお子さん(高齢の方でも出会うことがあります)など、咀嚼を行う必要のある食物を食べるには、少しハンディがあるかなと感じるケース。

その状態でも食欲のあるお子さんは難易度の高い固形物でも丸呑みに近い方法で食べているかもしれません。

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国内外11人の言語聴覚士を中心に執筆。このmagazineを購読すると、言語聴覚士の専門領域(嚥下、失語、小児、聴覚、吃音など)に関する記事や、言語聴覚士の関連学会に関する記事を読むことができます。皆さんからの体験談など、様々な記事も集めて、養成校で学生に読んでもらえるような本にすることが目標の一つです。

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