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第2回 口腔機能探求部

こんにちは奥住啓祐です。

これまで集合研修で行ってきた口腔研修。

ありがたいことに7月頃から研修のお問い合わせも増えているのですが、医療職×口腔ということで感染リスクを考え、まだ研修を開催する予定はありません。

このような状況であっても、皆さんの「口腔について学びたい」という要望に応えるため、先月から始まりました口腔機能の探求部(セルフケアで学ぶ口腔機能)

STマガジンを購読して頂いている皆さんには感謝の意味をこめて追加料金なしとしております。

アンコール開催と合わせて80人ほどの方に参加して頂きまありがとうございました。

これまで全国で研修受講して頂いた言語聴覚士さんや、他にも学生、声優さん達にも参加してくれたことがとても嬉しかったです。

なるべく理解しやすいよう、皆さんと一緒にディスカッションやセルフケアも行いながらお話していきますね。

構音障害、摂食嚥下障害、音声障害など口腔が関わる活動について、皆さんのアセスメントやアプローチの視点が1年後どのように変化しているか、とても楽しみです。

毎月、皆さんと楽しくディスカッションしながら、摂食嚥下や構音などの土台となる口腔機能を探求していきましょう。


第2回 口腔機能探求部の日時

日 程: 9月26日(土)

時 間: 21:00~ zoom予定


対 象: 

 ①口腔に関わる専門職、ST学生

 ②zoomの接続が可能な方

 *第1回に参加していない方も歓迎です。

 *当日はマイク、画面のオンオフは自由です。

 *成人、小児どちらの領域にも関連する内容です。


料 金: 

①STマガジンを購読して頂いている方は追加料金なし

②STマガジン購読者以外の方は 2,000円(先着10人まで)

 この記事の購入をもって第2回への参加申込みとします。


参加URL: 

9月26日 20:00 この記事に参加用URLをはります。

20:50~URLをクリックして口腔機能探求部へ入室ください。

 

第1回の内容をおさらい

前回は下記のテーマを中心にお話しました。

1.実は口腔専門職も抱えている口腔機能の悩み ~宝物探し~

話しにくい、水分でむせるといった悩みから、そんな悩みってあるの?というものまで実はいろんな口腔に関する悩みがあります。

参加者の皆さんもスライドで提示した食べること、話すことなど口腔に関する悩みがあるという方は多かったですね。口腔機能部の皆さんは、これらの口腔に関する悩みを「年齢のせい?」で終わらせず、今後、これらの背景を考えながら、一つずつ解決していきましょう。

人によって獲得した口腔機能は思っている以上に違います。大人になっても続いていく口腔育成。

言語聴覚士がしゃべりにくいって専門職としてダメ?

言語聴覚士がむせるって専門職としてダメ?

いえいえ、口腔の専門職が口腔に関する悩みがあるということは幸せです。なぜなら、自分の口腔機能が変化していくプロセスを体験できるからです。その経験は口腔に関わる専門職にとって、きっと宝物になると思います。

口腔機能探求部は楽しい宝物探しの時間です。

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2.アセスメントとアプローチの時に大事にしているポイント

赤ちゃんから高齢者など年齢関わらず大事にしているポイントがありして、それぞれ3つずつご紹介しました。あれからアセスメントのポイントについて1つ追加したので、また第2回でもお話しますね。


3.評価の実践

皆さん日々、様々な自主訓練も指導されていると思います。今回もオンラインという環境ですが、セルフケアでの実技を行っていきます。

どのようなセルフケアか気になると思いますが、セルフケアであっても大切にすべきものの1つは「評価」です。

歯科の記事で大まかに挙げていた評価項目についても少しずつ深めていく予定です。

第1回はセルフケア前後での評価項目として、①水分の嚥下、②開口時の開口範囲以外の評価ポイント、③口腔以外の筋緊張(上腕二頭筋など)の確認を行いました。

特に①と②は簡単にできて、人による戦略の違いが分かりやすい、興味深い評価ポイントです。


4.セルフケア

評価が終わったらセルフケアです。

今回は誰でもできる簡単な2つの方法を紹介しました。1つは口腔内を触るもの、2つめはうがい。どちらの方法であっても、セルフケアを行っているときに、口腔以外(上肢など)も筋緊張の変化などが起こることを皆さんに確認して頂きました。

とても簡単ですが奥の深いこの2つのセルフケア。実際に思った反応とは違う結果となった時に、どの様に分析していくのか。そのプロセスを一緒に共有できるのは、記事上ではなく、オンラインで行うメリットですね。次回さらに実践的に深めていきましょう。


第2回口腔機能探求部の内容

さて、それでは第2回の内容を簡単にご紹介します。

アイキャッチ

1.セルフケアにおける難易度調整の考え方

実は第1回のアンコール開催の時の、セルフケア実践の時に少し内容に触れています。

セルフケアの前後で評価を行いましたが、セルフケアを行っている時も評価が必要です。同じセルフケアを行っていても、その人の口腔機能によっては、そのセルフケアの難易度が高すぎる場合があります。

難易度が高くても、クライアントがその課題を頑張って行おうとすると、本来使わなくても良い筋まで過剰に動員して、誤学習に繋がる場合もあります。セルフケアに限らず、何事も「やりっぱなし」にせず、常に評価を行っていることはとても大切です。

実際に難易度が高いかな?と感じたときの分析と修正方法の考え方についてお話します。今回の考え方を押さえることで、その他のセルフケアについても臨床応用がしやすくなると思います。


2.開口時の舌の評価と構音を関連付ける。

第1回では、クライアントが開口した場面の観察から、構音や嚥下、発声に関する影響を予測していくとお話しましたが、今回は開口時の舌の評価から、口腔が関わる様々な機能への関連付けを行う練習をしましょう。

そうすることで、例えば舌のトレーニングを行いながらも、それを行うことで、その後に「変化が期待できそうな」発音などがイメージしやすくなるでしょう(第1回の時点でここまで出来てそうな方もいましたね)。

基本的に構音との関連付けについてお話しますが、今回の考え方がわかると、摂食嚥下などとの関連付けも自ずと出来るようになると思います(嚥下や発声との関連はまた後日)。


3.オーラルハンドリングの基礎①

Twitterでも投稿のトップにハンドリングでの立ち上がり誘導の動画を載せています。先ほど確認したら、もうすぐ再生回数8,000回になりそうですね。

この動画は立ち上がり誘導ですが、今回はご要望の多かったオーラルハンドリングの基礎についてセルフケアを行いながら学んでいきましょう。

舌のハンドリングも奥が深くて面白いです。

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第1回参加者の声


第2回 口腔機能探求部(終了)

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20:20 部活前の雑談タイム

トークテーマは自由。お話したい方はお入りください。

今回は講義前の自分の声のケアについてお話しました。

21:00 口腔機能探求部スタート

23:20 フリーディスカッション

赤ちゃんの口腔について観察する視点や環境調整、子どもの口腔についてや、参加者の皆さんから頂いた質問に回答させていただきました。

24:00 終了

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第2回を終えて

今月も約60人の参加ありがとうございました。

何より各Workshopの中で、皆さんの自己評価結果を共有して頂いたことで、より深い学びの場となりました。

獲得した機能ってあれほどバラツキがあるんですよね。今回評価として観察した活動以外にも、皆さんが日頃あたりまえに行っている活動について、先入観をなるべく持たず、丁寧に観察してみると大切な気付きが得られると思います。

さて、第2回が終わったあとも口腔機能探求部は続いています。

Twitterでは「 #口腔機能探求部 」をつけて投稿して頂けましたら、そこからまたディスカッションしていきましょう。

他にも感想などありましたら共有して頂けるととても嬉しいです♬


今回ハンドリングの基礎として舌へのふれ方を練習しました。

オンラインという環境でも「圧コントロール」がいかに大事かを共有できたのは嬉しかったです。

口腔内、表情筋のハンドリングを行うときは、指一本もしくは道具を用いて行うと思います。

それは、通常PTさんが上肢等に対するハンドリング以上に、セラピスト自信の高い上肢の機能が要求されます。

クライアントの口腔へ向けて上肢をリーチする際、セラピスト自信の身体のバランスを無意識に手でとってしまうと、どうしても舌に触れるときの「圧」は強くなってしまいます。

または何かしらの理由で、手指伸展筋のコントロールが苦手で、指を曲げる筋を使う方が得意な方も、舌にふれようとすると指の屈筋が無意識に働いてしまい、結果的に意図せず舌へ過剰な圧をかけてしまうSTさんもいました。

とても繊細な口腔内に意図しない圧刺激を入力してしまうと、セラピストが想定していた現象とは違う結果が返ってきてしまいます。

口腔機能探求部の際には、皆さんから頂くチャットの情報から想像できる範囲で、個別にふれ方のアドバイスもさせて頂きました。ちょっとした条件の変化で口腔内の反応も変化するので面白いですよね。


さて、動きの誘導を行う以前に、そもそも「クライアントの動きを邪魔しない」ということが大切ということを今回は共有しました。

以前公開した、動画で学ぶハンドリングの記事で共有した動画では、クライアント役の方に自由に頭を動かしてもらい、僕がその動きを邪魔せずに「ただ動きについていく」ということをしています。

ただ動きについていく

これが上手な方は、それだけでもクライアント役の方は動きやすいと感じます。

反対に動きを邪魔してしまう方は、クライアント役の方は1人で動いた方が楽と感じるでしょう。

そのような場合も落ち込む必要はありません。まずはその要因を分析しましょう。

・運動スピードについていけないのか

・ある運動方向(左回旋時など)の時に動きを邪魔するのか

・動きが止まった状態から動き始めるときに反応できないのか

・運動方向が切替わる時についていけないのか

・圧が強いのか

などいろいろ要因があります。ぜひ友達と一緒に自己分析されてみてください。


セラピスト自信が無理にクライアントに合わせようとする必要はありません。無理をするとセラピストが腰痛になったり、口腔や頭頚部にふれる手が力んでしまいます。

まずは自分の身体の状態に気付き、

自分が楽に動ける条件クライアントが楽に動ける条件のなかで、両者の楽な条件が重なる条件下で動きを反復できると、セラピストもクライアントも楽に動ける運動範囲が一緒に広がっていくことを経験できます。

この「条件」にどのような構成要素があるかは、またハンドリング特集の時に共有します。少なくとも5つの条件があるのですが、ハンドリングが上手な方はこれらのスキルが高いです。

第3回口腔機能探求部

来月の口腔機能探求部のテーマと日程が決まりましたらまた報告いたします。以下のようなテーマの中から選ぶ予定です。

声優さんとのスケジュールが合えば、「舌と声」そして声優さんとの口腔トーク会を行います。

第2回 口腔機能探求部 - コピー

口腔機能探求部に参加するなかで、もっと学びたいテーマなどが見つかりましたら、「#口腔機能探求部」のハッシュタグをつけて投稿して頂けると嬉しいです。

また時々、ハッシュタグの検索時に投稿が引っかからない場合もあるので、Twitterの場合、タグ付けか、言語聴覚士オンラインの投稿をリツイートする形で投稿して頂けますと、もれなく投稿に気付けます。

第2回 口腔機能探求部 - コピー

これからも一緒に口腔機能について楽しく探求していきましょう!


配布用資料のダウンロード期限:9月30日


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国内外11人の言語聴覚士を中心に執筆。このmagazineを購読すると、言語聴覚士の専門領域(嚥下、失語、小児、聴覚、吃音など)に関する記事や、言語聴覚士の関連学会に関する記事を読むことができます。皆さんからの体験談など、様々な記事も集めて、養成校で学生に読んでもらえるような本にすることが目標の一つです。

国内外の多くの言語聴覚士で執筆しているので、言語聴覚士が関わる幅広い領域についての記事を提供することが実現しました。卒前卒後の継続した学習…

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