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ノンクリエイティブが見たデザイナーの祭典「DesignShip2019」

ほぼ自分の為の備忘録および感想文。

ビジネスの世界からエンジニアに転身したばかりながら前々からビジネスにおけるデザインに興味があるので、国内最大規模との触れ込みの「DesignShip」というイベントに自腹で行ってきた。

DesignShipとデザインの重要性

来ている客の多くがビジュアルなのかUI/UXなのか紙媒体なのかプロダクトなのか分からないが◯◯デザイナーという肩書きを持った人達もしくはそれを目指す学生が多かったように感じる。
うちの会社はデザイナー不在だし、以前勤めていた商社ではデザイナーという人種と会う機会はなかったので、少し不思議な感じがした。

登壇者は国内外で活躍する様々な分野のデザイナーで各自20分ほどの持ち時間の中、自分が伝えたい事を伝えていく。その多くがデザイナーもしくはこれからデザイナーになろうとしているデザイナーの卵達に向けたもので、「これからのデザイナーはどうなっていくべきか」というマクロな話が様々な業界に携わり、様々な媒体に携わるデザイナーから語られていく。その言葉により今デザイナーが置かれている状況というのを垣間見ることが出来た。

デザイナーが長らく日本で身を置いてきた、ビジュアルやそれらを含めたブランディング、更にブランディングが触れるマーケティングという領域はその領域を日々拡大している。それは突き詰めれば全てテクノロジーの進化と情報の拡散に寄る生産やサービスの陳腐化と言える。一昔前では資本力のある企業だけが可能だった生産やサービスがテクノロジーの進化により、低いコストで大企業と同等もしくはそれ以上の品質の製品やサービスを個人でも流通させることが可能になった。それによりもはや消費者は商品やサービスを値段や質だけでは選べなくなってきた。そこで重要になってきたのがデザイナーの力だ。

印象に残ったセッション・メッセージ

デザイナーが今直面しているのは端的に言えば、今まで身を置いてきたクリエイティブの世界以外の経営やビジネスへのリテラシーを持つ事の必要性。
デザイン・イノベーションファームTakramの田川氏がBTC人材と銘打つビジネス、テクノロジー、クリエイティブを横断する人材である事がより求められている。これはデザイナーに限らず、ビジネスマンを育てるグロービスの田久保氏もその重要性を説く。その背景としては答えのない世界に突入してきたからだ。

ただその中でも印象的だったのは、それはあくまでも今の時代に必要なのであって、30年後には必要とされなくなっている可能性が十分あるという言葉。確かにそうなのだ。日本でも今、プログラミングやデザインの重要性がしきりに叫ばれており、それらに取り組む事で現状を一度解体し再構築しようとしている。そしていつしか新しい秩序が確立された時、今必要と言われている人材は必要なくなっているかもしれない。

その未来に向かって今から準備する事はないが、それでもそれは非常に重要な視座だと感じた。30年後を描けるのは高い解像度で5年後、10年後を描けているからだろう。

そして最後に登壇されたニューヨークで活躍する世界的デザイナー、レイ・イナモト氏からは、デザイナーだけではなく何かを作り出し、人を動かそうとする全ての人に対する普遍的なメッセージが語られ、大きく印象に残った。下記に列挙するがどういった想いが込められているかは彼の会社I&COのWebサイトなどで見て欲しい。

1. When in doubt, subtract (迷ったら、削る)
2. never say no without offering yes (イエスを提供せずに、ノーは言わない)
3. Quality is a habit (習慣は良質への道)
4. Be tough, not Rough (厳しく、優しく)
5. Risk nothing changes nothing (リスクを取らずに、変化は起こせない)
6. Seek invisible (見えない事を探す)
7. Magic>Logic (ロジックより、マジック)

またAR・VR、AI、プロトタイピングなどのセッションも有り、テクノロジーとデザイン・デザイン思考の組み合わせについても考えさせられた。テクノロジーは今、ものすごい勢いで進歩している。その中で常にテクノロジーの利便性と同時に失われる人間性についても議論される事が多い。その時にとても重要なのがデザイン的思考でテクノロジーを世の中に実装する意識だと感じた。テクノロジーはツールでしかなく、人を幸福にする為にどうテクノロジーを使うべきなのかの示唆を人間中心に思考するデザイン思考から導き出し続けるのがテクノロジーを担うエンジニアにも必要だ。

「越境」というキーワード

イベントの重要なキーワードとして「越境」という言葉が頻繁に使われていた。これは何もデザイナーに限った話ではない。自分が長く関わってきたビジネスでも業界の垣根が希薄化し、融け合い、業界や業種の垣根に囚われずに考える事が必要とされている。だからこそデザイン思考やアート思考という考え方がビジネスマンの間でも話題に登ってきている。しかしビジネス界が参考にしているデザイナーやアーティストという人達もまた「越境」に迫られている事を知った。

業界や業種問わず、この世界をどうしたいのか?を軸にどんな手段も発想も出来る人材になる事がビジネスマンにも、エンジニアにも、デザイナーにも求められるカオスで面白い世界になってきたもんだね。

p.s. 自分メモ:新しく知ったコンセプト達(Spacial ExperienceDesign、Dynamic Identity、デザインエンジニア)

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