ぼくとリーダー

容器に氷だけ入れた状態でカウンターに行くと眼鏡をかけた女性がいて

「わかってる!ほしいんでしょ…?」

と青いシロップをかけてくれる『オトナブルーハワイ』というサービス業をしてます。
案外お客さんは来て「ここのブルーハワイがいちばんおいしい」と言ってくれる人もいるんです。

まあ、嬉しいですよね。味にはこだわりあるし。
ただブルーハワイ一本でやっていくってなると難しいからって、コンサル入れて、で、こういう感じでやってて。
やっぱ最初は嫌でしたけどね。ただ長谷川さん…あ、眼鏡の女性、長谷川さんなんですけど
「美味しいものを沢山の人に食べてもらって、評価されるのであれば形は関係ない」
って言ってくれて。
やっぱ若い人のほうがそのへんは寛容ですよね。投げ銭とか。抵抗ないみたいだし。
結果論かもしれないけどお客さんくると嬉しいし。
でも「こんな子供騙し」って頑固気取りというか、大人ぶってました。

ある日警察が来て、やっべ!って。
やっぱりマンションの一室でやってるし、うん、正規の飲食店としてはいないので…。
観念したところで俺じゃなく長谷川さん…眼鏡の女性に手錠かけて「殺人容疑で逮捕する!」って。

あとから聞いたんですけど、彼氏さんの暴力に耐えかねて、みたいな…。
長谷川さんってのも偽名みたいで…。
うん。
「オトナブルーハワイ、絶対流行ります」って言ってくれたのも嘘だったのかなあ……。

「「「大丈夫ですよ!!」」」

えっ?!あなたたちは…?

「「「新しいバイトリーダーズ」」」(決めポーズ)

新しい…バイトリーダーズ…?
バイトリーダーがこんなにもたくさん…!!
いける!!いけるぞ!!

長谷川さん。あなたは嘘をたくさんついた。
俺も騙された。
でも、でもさ。オトナブルーハワイがもしも長谷川さんが言ってくれたとおりに流行ったら、それ嘘じゃなくなるよね?
そうしたらあなたは悔しいかな?
それとも……喜んでくれるかな?

そんな君への負け惜しみ。
また、大人ぶる。

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