詩:ついによこたわる木
ついに横たわる老木
虚ろな目を開いて
何を見るともなく見る
無気力は墨を染み込ませたように広がって
今に始まったことではないと呟く
冷たい地面に耳をつけていると
なつかしいほど遠くから
あたたかい足音が響いてくる
眠れぬ夜は幾日と続いて
白い花びらがちらちらと
なぐさめのように降りそそいだ
ついに横たわる老木
小鳥はさえずり
太陽がのぼり
雲がながれて
恋人たちにも別れが来る
かわし合ったむすうの言葉たち
水にとけてさらさらと流れ
いま西の空が死んでゆく
いつか東から生まれ変わる
そんな夢を見ながら
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