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#青春小説
【再掲】青い毛布(2/12)
ある朝、宮島信吾は会社に行く途中、駅のホームで丸々と肥った男に突然声をかけられた。
見覚えのない相手の顔を、判然としないままにしばらく見つめ続けていると、相手は親しげに「高校の……」とか「陸上部が……」などの身に覚えのある話をし始めて、そしてその口から共通の友人の名前が幾つか挙がった所で、ようやく信吾は目の前の男が高校時代の同級生であり、陸上部の同期である事に気が付いた。
いくら声が変わらな
【再掲】青い毛布(1/12)
印象的なエピソードが一つある。
1996年。この年の夏に開催された、アトランタオリンピックに関する話しだ。
その時、ある一人の黒人選手が、ハードル走の最終レースのスタートラインに立ち、メダルの采配を決めるべく、各国の選手達と共に並んで勝負の瞬間を待っていた。
「On your mark … Get set(※位置について、用意…)」
合図とともに彼が駆け出した十数秒後に、観衆はその不可解な